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被疑者リストは憂鬱の元凶  作者: 檜尾眞司
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被疑者リストエピソード2

専門用語が結構出てくるため、読み難いかも知れません。

興味のある方は宜しく。


 窓口にはリストに載っていない者もやってくる。 


 罰金を払いに来る者、罰金の相談などで来る者である。当然、リストには名前は無い、したがって受付ではフルネームを聞かなければならない、名字だけでは多数いる場合があり、徴収係に連絡しても探しきれないからだ。

 当然、本人かどうかも聞く。親族や知人、弁護士の場合もある為だ。


「名前をフルネームで書いて下さい」奥村は男性にメモを差し出し書いてもらった。

「今日は全額お支払いですか?」「はい支払い来ました」いつもの手順で入館証を渡し金属探知をする。

「○○○○さん納付に来られております」徴収係連絡をし、待合で待ってもらうのである。

 数十分後、担当者が来て本人確認を行った。「支払いの手続きをしますのでもうしばらくお待ちください。

「……」私は言葉が無かった。

 我々には彼らが何をして罰金刑になったか分からないが、時には80万位払いに来たと、担当者との話が聞こえてくる場合もある。

「人身事故や窃盗、万引きなどが色々とあるが受付に来る多くが人身事故ではないかなー」

と、高原さんは言う。



 数日後にやって来たのは、30代の男性である。

 対応は高原だった。「こんにちは、お名前を教えて下さい」

「山本祐樹……」私と高原さんはリストに目を通すが名前は無かった。

「どのような用件で来られました?」

「えーっと、罰金でー」高原さんが直ぐにメモを用意し「お名前をフルネームで書いて下さい」徴収と判り私は金属探知機の方へ移動した。

「罰金はお支払いですか、相談ですか?」高原さんはいつもの手順で聞いていた。

「…………」


 しかし、彼の様子がおかしい。「いや……相談とゆうか……」言葉を飲み込んだような仕草だった。

 高原さんは、それ以上は聞かず消毒及び検温をし、入館証を渡した。

 検温をし、待合の椅子に座ってもらった。直ぐに徴収係は降りてきた。

「山本さんー!」声を掛けると同時に「入館証はいらないから返しておこうか」

 私は一瞬、どういう事か理解できなかった。

 そして、担当と一緒にエレベーターに乗り扉が閉まった。

「入るな」高原さんが呟いた。

我々には事情は分からない。その男性は何処かに連れていかれた。


「どうやら、収監されるみたいやなー」と、ベテランの高原さんがつぶやいた。

「えっ!」私は驚いたが、高原さんは経験上このような光景を何度も見てきたと言う。

「懲役して払ったら良いと簡単に思って入る人がいるが、3日も経つと後悔し親族や知人にお金をかき集めて貰い出てくる人も多い」

 そして、私も理解した。罰金の支払い期限が過ぎてしまい収監となった事を。

「かなり放っていた様子、それで今日呼び出された」

 高原さんの言葉で、彼が言葉を飲み込む仕草の理由が私にも分かった。


「もしも罰金が30万位なら、一日5千円として週5日(土日は無いらしい)働いて2万5千円、12週だから約3カ月かな」と、私に話してくれたが、あくまで高原さんの経験値からの予測ではあるとは言っていた。

 その瞬間私は、ごくりと唾を飲み込んだ……


     ……憂鬱な元凶はもう少し続くがまた後日。





ありがとうございました。

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