第九節 グループホーム
第九節 グループホーム
ここは、グループホーム――。
皆の人気者、河本も住んでいる精神障害者用の施設である。少し不幸な男、利用者kも入居している。
ある日の夜、河本が利用者kに話し掛けてきた。
「今日は何々でした。何々が良くて、何々が悪かったです。そうっ書いていくと、会話が成り立つ!」
「は!?」
「そういうコトです」
(……どういうコトなんだろう?)
翌日、河本はデイナイトケアに参加した。河本は、服薬のプログラムに参加した様だった。ミーティングの様な時間がきて、河本は発言した。
「薬の服用は水曜日に忘れました。でも完璧でした」
!?
完璧とは?
「何言ってるのぉ!? 完璧じゃないでしょぉ!」
「あっ。でも、完璧でした」
スタッフがいくら言っても、河本は自画自賛し続けた。
夜、グループホームにて――、
「今まで散々同じことを繰り返しているけど、まだ分からんのかな?」
「……」
河本は学習能力が無く、何度も同じ失敗を繰り返していた。
「はぁー、頼んますよ。まったく」
河本は一人、虚空を見上げていた。そして――、
「まっ、東大行けるし、調理師免許とれるから、いっか!」
河本は今日もテラポジティブである。
翌日――、
「僕のアイスが、無い!!」
青田さんが嘆いていた。どうやら、グループホームの冷蔵庫に冷凍してあったアイスが、盗まれた様だった。
「僕のアイス……」
その様子を見かねた者が一人、老師Aである。
「こいちゃん見たおー」
「えぇ!?」
「昨日の23時くらいに、アイスを出して食びょうるもんが居ったおー。ありゃじぶんのじゃなかったんじゃあなー」
どうやらアイスは、何者かによって盗み食いされた様だった。青田さんは真犯人の素性を知りたくて仕方なかった。
「誰が盗ったん?」
「ありゃ××番」
グループホームは、個人用の各部屋のドア付近に番号が書かれてある。老師Aはよく、番号で人の名前を呼んでいた。
「MIYAZAKIさんじゃん! またぁ!?」
以前、MIYAZAKIはグループホームで卵とケチャップを盗んでいる。青田さんはこの状況を是としなかった。
「MIYAZAKIさん!! どういうコト!?」
直ぐに青田さんはMIYAZAKIに問い詰めた。
「えっと、えっと」
「んんー?」
キョドってしどろもどろなMIYAZAKI。遂に口を開く。
「おい、決闘しろよ」
「はぁ!?」
遊〇王ファイブディーズ並の展開が、幕を開けた。
「ドロー!! モンスタカード!!!!」
「ひぃいいい!!」
「ピピピピピピコン」
青田さんのライフポイントがゼロになった。
そして――、
「〇月×日、13時59分……」
青田さんは逮捕された。
「なんでぇ!?」
その時の様子を、MIYAZAKIは語る。
「僕は運が悪いんですよ。あの時も罠カードが出てこなかった」
でも勝ったろ……。
MIYAZAKIは無罪放免となった。日本の治安って一体……。
そんなMIYAZAKI、デイナイトケア、カラオケのプログラムにて――、
「2曲目は……MIYAZAKIさん、当たりました」
「っし!」
『僕は運が悪いんですよ』
……え?
ビンゴ大会のプログラムにて――、
「53番です!」
「しゃあ!!」
「MIYAZAKIさん、一等賞です。好きな賞品を選んでください」
『僕は運が悪いんですよ』
……は?