第六節 Mと河本のグループホーム
第六節 Mと河本のグループホーム
ここは、グループホーム――。
精神疾患の患者が、共同生活をしている、シェアハウスの様なモノである。ある日、MIYAZAKIがグループホームのスタッフに叱られていた。
「お小遣い我慢して、イスを買えばいいが?」
どうやら、部屋に置くイスを購入したいと申し出て、アドバイスを受けている様だ。
「それは違う」
!?
「何が違うん?」
「う~」
「イスは我慢して、ホールでご飯食べればいいが?」
「それは嫌だ」
!?
MIYAZAKIはわがまま放題言っている。
「アナタは人のせいにしてる。お姉さんに会いたいんでしょう? お姉さんに会ってほしいと私らは言いました。それで会わなかったのはお姉さんですよ」
「ゔ―んそれは違う」
「何が違うん?」
「ゔ―ん」
会話は平行線上を辿った。
翌日――、
「ゔ―ん!!」
「ブチブチブチブチ!!!!」
MIYAZAKIは服を引きちぎった。
そして――、
「そういうコトするからお小遣い減って、イス買えないんでしょう」
「ゔ―ん」
スタッフに怒られるMIYAZAKIだった。
場所を同じくして――、
「漏れる!」
河本がダッシュで便所に入っていった。間に合ったのだろうか……?
その日の検温の時間――、河本は体温計が鳴るのが待てずに、自分のタイミングで脇から取り出し、エラーを表示させた様だった。
「何で待っとられんの!?」
当然、スタッフに注意される。
「マットがいいんですか?」
!?
河本はソープ嬢か何かなのだろうか?
夜――、
テレビで野球中継がおこなわれていた。利用者kはグループホームの談話室でそれを見ていた。
すると――、
「広島とソフトバンクはいいね。歴史が強い」
「!?」
河本が現れた。
(今、阪神巨人戦なんだけど……)
河本は的外れな事を言い放った。
「僕は広島とソフトバンクが好きなんだ」
聞いていない。
「今僕は、リハビリしてるからねぇ、ギータと同じ」
無視していいところ、思慮深い利用者kは質問してやった。
「何のリハビリですか?」
「とーご、しっちょーしょ」
「!?」
利用者kは驚愕した。
(柳〇は統合失調症じゃねぇだろ……)
一方の河本、自信満々の笑みを浮かべていた。
小一時間後、夜の投薬の時間がやってきた。スタッフがグループホーム利用者の名前を呼んでいた、その時、河本がスタッフに話し掛けた。
「疫病が流行っているのですが、夜干して」
「何の話をしているのですか!?」
「ごめん間違えた。えっとー、すいません」
まるで会話にならない。
――、
一日の終わりということで、スタッフは河本に質問した。
「河本さん、今日はデイナイトケアで何をしましたか?」
「今日は運動神経をしました」
「!?」
「今日は疲れました。生きる」
「!!?」
今日もグループホームは平和だ。