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第四節 患者達のデイナイトケアⅡ

第四節 患者達のデイナイトケアⅡ




ここは、デイケア室――。


例の、シゲミが参加に失敗したデイナイトケアがおこなわれている一室である。


デイナイトケアに参加していると言っても患者達はそれぞれ自由に活動していて、プログラムに参加する者、トランプをする者、麻雀をする者、寝てしまっている者までいる。


と、ここでひと際異彩を放つ者が――。


AZUMAである。




AZUMA――。


性格と顔が悪く、デイナイトプログラムのカラオケは、ジャイアン並みに酷いものである。




ある日――。


お菓子を作り食べる、そんなプログラムがおこなわれた。お菓子作りは無事、終了しあとは食べるのみとなった。AZUMAはくちゃくちゃと音を立てながらお菓子を頬張った。見事なまでのクチャラーである。今回のプログラムでは、飲み物も出る様で、AZUMAはアイスココアを頼み、それを手にしていた。


「飲み物飲みながらで良いんで今日の振り返りをしましょう!」


スタッフの一声で、お菓子作りの反省会の様なモノが始まった。


「ダッ」




「!」


「!?」




AZUMAは急に走り出した。


「ちょっとぉ! どこに行くの!?」


「ココアが溶けてない」




「!」




スタッフは驚愕した。AZUMAはスタッフに文句を言って、ポットの下へと向かった。


「今、振り返りでしょ!」


スタッフは少し強めに言った。


「だってココア溶けてないもん」


「ジッボボボボボ」


AZUMAはおもむろにポットの湯を、ココアの入った自分のコップに入れ始めた。


「振り返りの時間でしょうが!」




「!」




AZUMAはその言葉に強く反応する。


「今怒った? キキキ、気になるんだけど。いいい、今怒ったでしょ?」


「怒ったかどうかは関係ないでしょ、今振り返りの時間ですよ」


「オオオ、怒ったでしょ? キキキ、気になるんだけど」


AZUMAは怒ったかどうか気にしつつ、ココアを飲み始めた。


「アチッアチっ」


キョドっているAZUMA、ココアで火傷した。今回のプログラムは、特別なモノだったのでお菓子は余る、という結果になった。


「余ったお菓子は、スタッフで処理しますね」


その言葉を聞いたAZUMAは大声で駄々をこね始めた。


「あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。……。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー。あーお菓子食べたかったなー」


イラッ。スタッフはもちろんのコト、デイナイトケア利用者の患者達は、AZUMAの大人げなさに、イラついていた。




数日後――、


「あーしてーるのーひびーきだぁーけでぇー」


AZUMAはカラオケのプログラムに参加していた。ジャイアンもびっくりの歌唱力である。


「時間に余裕があるので、2曲目募集しまーす」


カラオケは、紙に名前と曲名等を書いてボックスに入れ、抽選で選ばれた人が歌うようになっていた。


2曲目の抽選が終わる頃――。


「私、気に食わんの! むしゃくしゃするの!!」


NAGAMORIが吠えていた。

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