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第三節 シゲミの大冒険Ⅳ

第三節 シゲミの大冒険Ⅳ




シゲミ――、


前科10犯で60過ぎの声優、ザビエルヘッドのオッサンである。


シゲミは精神科に入院して、数年経つ。よって体力が年齢以上に衰えていた。その為、グループホームに入所する、デイナイトケアに通う等して体力を戻すよう、試みたのだが見事に失敗。今も精神病棟に入院して、生産性の無い日常を送っていた。




「ほっ」




空を見上げる。シゲミが居る病棟は一階建てで、天井に日光が降り注ぐように天窓になっていた。青々と空は広がっている。しかしシゲミはその一部しか見上げるコトができない。いつかここを出て、いっぱいに広がる空をもう一度見たい――、


シゲミは一縷の望みを抱いた。


そこへ――、




「ドッガラガッシャン!!!!」




「!!!?」


ナースステーションの方から衝撃音が――。シゲミは事態を把握するべく、ナースステーションへ足を運んだ。


「んあ!! あぁああ!!」


そこにはナガトスグルが居た。




「コラァ!!」


「何してるんだ!!」


「ヤメロォオオ!!」




ナガトスグルはパワー系で、昨日入院したばかりの新入りの患者だった。40代くらいの歳と見受けられる。タッパは180cm程ある。


ナガトスグルは、看護師さん10人がかりでも敵わない。そのパワーは恐らく、患者特有のリミッター解除状態の肉体から繰り出されるモノと思われる。




――、


人間は本来、筋肉の最大のパワーを30%程しか発揮できない。何故か――? パワーを全部、100%使うと、筋肉の断裂や骨折等のケガに繋がるからである。しかし、精神疾患の民はそのリミッターがトんでいる為、100%に近いパワーを発揮してしまうのである。


「んあ!! あぁああ!!」


ナガトスグルは依然と暴れている。


(恐ろしや)


シゲミは恐怖した。そこで――、




「ボキッ」




「ぎゃああああああああああ」


全力を出し過ぎたナガトスグル、前腕部の骨が限界を迎え、骨折したのである。


「今だ! 掛かれ!!」


看護師さん達はここぞとばかりにナガトスグルを束になって取り押さえた。


数分後――。


「……」


ナガトスグルは隔離室に幽閉され、拘束された。


(うっふ。これで平和に過ごせる)


ナースステーション付近のホールに居るシゲミ、我が身の安全を確認し、安堵している。しかし――、




「ドッ」




「!?」


シゲミの肩にわざとらしくぶつかって来る者が……。MYである。


「なっ、何なの?」


シゲミは驚愕した。クルリと体の向きを変えたMYはシゲミに歩み寄り、顔を近付けてきた。


「俺は今、機嫌が悪いんだよ」


グルグルと顔を回しながらその様なセリフを口にするMY。それは天津梅飴の人形の動きにそっくりだった。


(エゴイズム……!)


シゲミは言葉を失った。機嫌が悪いからと言って肩をぶつけて来て良いのかと、シゲミは現状を受け入れられずにいた。


(看護婦さんに言おうか……?)


シゲミは戸惑いを隠せずにいた。すると、MYは恐怖するシゲミの表情を見て満足したのか、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた後、自室の病室に帰っていった。


(むぅ! 許さん!)


笑みに激怒したシゲミは、事の本末を看護婦さんに話した。


「まぁ、大変だったね」


「くぅん」




MY、隔離室行き、決定!!!!




MYの隔離室にて――、


「おい、そこの女!」


「!」


MYは看護婦さんに声をかける。


「俺と結婚しろ。金ならいくらでもある……」


「……嫌です」


「黙れ! 結婚しろ!!」


「せ、センセー!」




MY、拘束決定!!!!




立て続けに二人のキチがシゲミの病棟に入院してきた。


「ほっ」


束の間の平穏をシゲミは感じていた。が――、


「!?」


不幸というモノは、立て続けに起こる様で……。


「まだ何かあるの!!!?」


どうなるシゲミ!?

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