第十三節 イブキの過去
第十三節 イブキの過去
「これを食べんさい」
ここは、○○屋。
吉〇屋や松〇の様な、牛丼チェーン店である。因みに、○○さんとは血のつながり等と言った関係性は皆無である。
○○さんはイブキに、親子丼をご馳走していた。
「こ、これは……? 鶏肉と、卵がある」
イブキは驚愕した。それを見ていた○○さん。得意げになって説明した。
「これは、親子丼って言うんだ。美味しいから、食べなよ」
イブキはふるふると震えた。
「親子……丼……? 親の鶏と子の卵を二人まとめて殺し、米の上に載せる……」
イブキは、親子丼のむごさに敏感だった。
「!? なっ、何を言ってるんだい? さぁ、食べ……」
「いらない」
「!?」
「こんなかわいそうなニワトリたち、アタイは食べない」
「……」
――、
イブキはセットもののみそ汁だけを飲み、○○屋を後にした。
○○邸に辿り着くイブキ。居間には○○太ったBBAが居た。
「イブキちゃん、この後、三時からデパートに買い物に行くのよねぇ? 柔らかいお菓子を買って来てちょうだい。私は歯が悪いからねぇ」
○○太ったBBAは体力が無く、(太りすぎで)デパートには行けなれい状態だった。
「あんだとBBA!? じゃが〇こ食わせっぞ?」
「え? ちょ」
数時間後、結局イブキはBBAにいもけんぴを買い、渡した。
「しわぃ……」
BBAは泣きながらそれを食していたという。
それから数日後――、
「あっるっくぉーあっるっこーアタイはー便秘ー」
イブキと○○さんは近所の公園で散歩をしていた。
そこへ――、
「キャンキャン」
首輪をつけたポメラニアンが、リードにを持った飼い主と一緒に歩いてきた。
「わぁああ!」
イブキは目を輝かせながら、ポメラニアンを見ていた。そして、ふるふると体を震わせたのち、ポメラニアンに向かって走り出した。
「もう我慢ならん!! そこのお嬢さん! その犬を触らせてはくれないか!?」
「えぇ!? 何!??」
飼い主の女性は突進してくるイブキに対し、恐怖した。間髪入れずに○○さんはイブキを追った。
「こら! 待ちなさい!!」
○○さんはイブキに追いつき、ヘッドロックをキメた。
「ぃいい、犬ぅう」
「キャンキャン! キャンキャン!!」
ポメラニアンはイブキ達を警戒し、興奮状態になっていた。
そして――、
「ガッ」
イブキの左脚に噛みつこうとする、瞬間――、
イブキはサッと自身の左脚と○○さんの左腕を入れ替えた。
「ガブリッ」
ポメラニアンは○○さんの左腕に噛みついた!
「ああぁ!!」
悶絶する○○さん。それに対しイブキは――、
「痛くない……」
ナウシ〇の様な澄んだ眼差しをしていた。
「ガブリッ」
「ああぁ!!」
更に、ポメラニアンは○○さんに噛みつく。そしてイブキは――、
「ほら、痛くない……」
更にナ〇シカの様な澄んだ眼差しをしていた。
「そりゃ確かに、お前は痛くないけどさぁ!!」
「あだっ」
イブキは、○○さんにピシッと引っ叩かれた。
それから一週間後――、
「これでもう、よそ様の犬に、近付いたりしないね?」
「うんうんうんうん!!」
イブキは首を前後に高速で振った。
○○邸に犬がやってきた。イブキはその犬にペロと名付けた。
犬種は――、
シベリアンハスキー。




