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45/442

45ー騎士団

「……ハァハァ……ハァ……ハァ…… 」

「殿下、お疲れ様でした。かなり慣れてこられましたね」


 いや、オクソール。だからってさ、どんどんキツくするのは止めて! 今もう既に喋れねーよ。

 今、俺は騎士団の鍛練場でへばっている。オクソール、容赦ないぜ!


「殿下、どうぞ」


 リュカがスポドリ擬きをくれた。


「……あ、ありがとう……ハァ……」

 

 リュカも一緒だったのに、平気そうだ。獣人て凄いよ。てか、俺はまだ5歳なんだけどね。オクソール、覚えてるかな? 俺、5歳児だよ?


「殿下、有難うございます」

「……ハァハァ……オク、なに?」

「マジックバッグです。助かります」

 

 ああ、あれね。


「……ハァ…… いいよ。ついでだったの。父さまにもいっておいたから、騎士団にも少しは補充されると思うよ」

「はい。申し訳ありません」

「本当にいいよ」

「殿下、レピオス殿も第2騎士団と同行されるとか」

「うん。フィオン姉さまもね」

「大丈夫です。お守り致します」

「うん、ありがとう。オク、おねがいね」


 オク、カッコいいなぁ。クールだよ。安心するよ。惚れちゃうぜ。



   ※ _ ※ _ ※



「失礼致します。第2騎士団です。ポーションを頂きに参りました」

「はーい」


 今、俺は医局にいる。今日はポーションの納品日だ。医局に第2騎士団の団員が取りに来た。俺がヒョコッと顔を出し対応する。だってレピオスいないから。できる者が対応するのが当たり前だ。皇子とか関係ない。と、俺は思っているから普通に対応する。騎士団も、もう慣れっこだ。


「ごくろうさま。こっちだよ」


 と、騎士団員にこっちこっちと手招きしながら移動する。


「リリアス殿下! この度は有難うございます!」


 ポーションを取りに来た第2騎士団員3名が一斉に頭を下げた。


「えっ、なに?」

「殿下が陛下にお口添えして下さったおかげで、騎士団用のマジックバッグが増えました! 有難うございます!」


 あー、その事か。父さま早速動いてくれたんだ。


「ううん、ボクは口を出しただけだよ。決めたのは父さまだから」


 話しながら、こっちこっちと誘導する。


「これ全部だよ。普通のポーションだけじゃなくて、毒消しも入れておいた」


 辺境伯の話を聞くとな、必要になりそうだからな。


「それとね、こっちのも一緒にもっていって」


 俺はポーションを纏めて収納してある箱の横にある少し大きな箱を指差した。


「はい、分かりました。まだ配らない方が良いですか?」


 騎士団員が纏めて持ってくれる。


「うん。後でレピオスと説明にいくよ。集まっておいてほしいな」

「はい! 殿下、頂いて行きます」

「うん。気をつけてね」

「有難うございます」


 と、頭を下げた団員とは別の団員が言った。


「あの、リリアス殿下」

「うん? どうしたの?」

「我々がお守りしますので、大丈夫です!」

「はい! 殿下! 皆あのオクソール様のシゴキを耐えた仲間です!」

「え! みんなもあれやったの?」

「はい、毎年新人がぶっ倒れてますよ」


 そう言えば、リュカがそんな事言ってたな。本当だったんだ。


「あー、あれはキツイもん」

「殿下はこなしておられました。素晴らしいです」

「そう? ありがとう。じゃあ、おねがいね」

「「「はい! 殿下!」」」


 なんでもない様に流したけどさ、俺も倒れたかったよ。マジでキツかったからな。

 レピオスの手伝いをしていると、騎士団員とよく話す様になる。それだけ騎士団員が出入りしているからだ。今の様にポーションの受取りだけでなく、訓練中の怪我もある。討伐から戻ってきてから、治療に通ってくる団員もいる。怪我して直ぐにポーションを飲んでいれば酷くならなかったのに…… て場合もある。

 もっと早くマジックバッグの事に気付ければよかったな。理想は、小さい物で良いから騎士団全員にマジックバッグを持たせてあげられればなぁ。と、思う。荷物を小さく出来れば動きも変わる。馬にも負担が掛からなくて済む。


「リリ、また遠出するんだって?」


 ポンッとルーが出てきた。


「ルーはどうするの?」

「何言ってるんだ。リリが行くなら僕も行くよ」

「いつもいないのに?」

「だからそれはさぁ」

「いいよ」

「ん?」

「あんまり当てにしてないから」

「リリー、酷い!」


 父や兄達から何かしら頼まれているんだろ? 仕方ないさ。


「殿下。戻りました」

「レピオス、おかえり。ポーション渡しておいたよ」

「有難うございます。では、説明に参りましょうか」

「ボクも?」

「はい、考案者ですから」

「わかった、いくよ」


 ポンッとルーがまた消えた。ま、何処かで見てくれているんだろう、と思う事にする。レピオスと一緒に騎士団の詰所に向かう。


「殿下、あれは良いですね」

「レピオス、どれ?」

「あの筒の」

「ああ、そう?」

「はい。あれは毒を吸い出す際の二次被害を予防できますね」

「うん。口を直接つけるよりはね」

「ええ」

「でも…… 」

「リリアス殿下、なんですか?」

「レピオス、現地にいってみないと…… 」

「はい。元が分かりませんから」

「そうだね」


「殿下、レピオス様、態々有難うございます。」


 リュカが走ってきた。


「うん、リュカ。もうみんないるかな?」

「はい、集まっております。此方です、どうぞ」


 リュカが開けてくれた扉を入ると、騎士団員が整列していた。俺が入ると前世で言う敬礼をしてくれる。


「ああ、みんな。いいから座ってね」


 と、言うとオクソールが第2騎士団長に合図する。


「殿下、此度は陛下にお口添え頂き有難うございます!」


 またお礼を言われたよ。そんな畏まるのは止めてくれ。俺は大した事はしてないよ。


「いいの、気にしないで。楽にして」

「はっ! 休めッ!」


 直立していた団員達が一斉に座った。スゲー揃ってる!


「では、ご説明させて頂きます。皆様、其々一揃いお持ち下さい」


 一式配られザワザワと団員達が順に手にとる。レピオスが団員達に配った物と同じ物を手にして見せながら説明をする。


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