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44ーマジックバッグ

「ニル、りんごジュースお願い」

「はい、殿下」


 俺の部屋だ。ニルが居ると落ち着くよな〜。どんな時でも平常運転。良いね〜。


「ニル。レピオスとリュカにもお茶お願い」

「あ、ニル様。俺はいいです」

「リュカ、座って。レピオスも」

「はい、では失礼致します」

「いえ、殿下。俺は此処で」


 ニルがりんごジュースとお茶を二つ持ってきた。何歳になってもりんごジュースは美味い。


「リュカ」

「いや、殿下。オクソール様に叱られます」

「え? だってオクも飲んでいくよ?」

「オクソール様はいいんです」

「……リュカ。外では仕方ないけど、ボクのお部屋ではいいの。ね、ニル」

「はい。リュカ、どうぞ」

「すみません。頂きます」


 やっと座ったよ。本当はニルも座って欲しいけど、ニルは何をどう言っても無理だった。


「ニル、あのね。ポーションができたら、第2騎士団や辺境伯と一緒に辺境伯領まで行くことになっちゃった」

「ああ、それで。フィオン様が騒いでおられたのですね。何事かと思いました」


 マジか…… もう騒いでんのかよ。行く気マンマンだな。


「姉さま、父さまの執務室に乗り込んできたよ」

「……まあ! 本気ですね」

「そうなの。で、ご一緒することになった」

「それは…… 」


 今、ニルは絶対『面倒ですね』て、言葉を飲み込んだよ。


「殿下、そんな事ありません」


 ニル、鋭いな! それよりもだ。


「あのね、レピオス。マジックバッグはボクに作れないかな?」

「おや、どうしました?」

「騎士団は隊に何個か持ってるでしょ? ボクもほしいんだ」

「あれは便利ですからね」

「でしょ〜?」

「あー、あれはいつも騎士団でも取り合いになりますね」

「そうですね。殿下、ルー様から空間魔法は?」

「うん、教わったけど、忘れたかも?」

「ハハハ、お忘れですか」

「だって2年前だし」

「ああ、あの頃ですか。そうですね……殿下は魔物素材の物、ポーチやバッグをお持ちではないですか?」

「ニル?」

「ございますよ。お待ち下さい」


 と、ニルが続きの部屋に消えた。


「レピオス、何で魔物素材?」

「何でも良いのですが……バッグでなくても。それこそ指輪等でも構わないのですが、無難にバッグに致しましょう。マジックバッグだと言う事を誤魔化せますし。それに、殿下の魔力だとかなりの容量の物が作れそうですから丈夫な方が良いかと。宝石だと割れてしまうかも知れません」


 割れるの? そうなんだ。耐えれない、て事かな?


「え? レピオス様。では、殿下は作れるんですか?」

「リュカ、当然です」

「殿下!」


 リュカが乗り出してきた。おい、リュカ。何だよ。


「なに? ほしいの?」

「はいッ!」

「そっか、騎士団でも取り合いになるって言ってたね。まあ、元になるバッグがどれだけあるかだね」


「お待たせ致しました」


 ニルが何個か持って来てくれた。

 これ、魔物素材だったのか。知らなかった。普通の丈夫な皮だと思ってたな。

 小さなポーチ型の物3個と、俺がよく使っている斜めに肩から掛けられるバッグ2個。普通の手提げ2個。

 あと、少し大きめのボストンバッグ2個。


「では、失礼して…… 」


 レピオスがバッグを手にして見る。


「殿下、試してみますか?」

「うん」

「空間拡張と時間経過をですね……」


 結局ニルが持ってきてくれたバッグ、全部マジックバッグにした。やったぜ。てか、楽勝だったよ。


「殿下、マジですか……!」


 なんだよリュカ、欲しいんだろ?


「だってリュカもほしいんでしょ? リュカだけ、て訳にいかないじゃん。オクの分もだよ」

「殿下! 有難う御座います! この小さいのが良いです!」


 あれ? そうなの? 1番小さいの?


「小さくていいの?」

「はい! このサイズなら剣帯に付けられますから!」


 そうなんだ。なるほどね。持ち運びに便利で剣を使う時にも邪魔にならない、て事だね。


「レピオス様、ベルト通しみたいなのを縫い付けても平気ですか?」

「ああ、大きく切ったりしなかったら大丈夫ですよ」

「殿下、マジ嬉しいです! いいんですか!?」


 なんだよ、今更。これ位全然いいよ。


「うん、いいよ」


 と、ポーチをあげる……ん?


「殿下、私も一つ……」

「レピオス、自分でつくれるのに?」

「はい、殿下の魔力量だと容量もかなりの物ですから。私では、ここまでの物は作れません」


 そうなの? 俺だと? て、事はポーションみたいに作る者の魔力量とかで変わってくるのか?


「レピオス、これ1個でどれくらい入るの?」


 と、リュカが選んだのと同じ小さいポーチを手にする。


「そうですね、殿下のこちらのお部屋位は余裕でしょうか?」

「マジですか!? 騎士団のはそんなに入らないですよ! 全然違いますよ! 殿下凄いです! ヤッタ!」

「レピオス様、では此方のバッグは?」


 ニルがバッグを手にして聞いてきた。


「そうですね、その倍とボストンはまた倍位でしょうか」


 レピオスがバッグを指しながら説明する。あらー、便利だわ。


「殿下、その辺境伯領に行く時に、お借りしても良いですか?」


 まあ、ニルまでのってきたよ。欲しいの?


「うん、いいよ。あ、でもこれとこれはボクがもつ」


 普段よく使う肩から掛けるバッグと小さいポーチを指した。


「はい、殿下」

「でもニル、そんなに荷物ある?」

「あ、いえ。このボストンをフィオン様にお使い頂こうかと。ドレスは嵩張りますから」


 あー、女の人は大変だね。荷物多そうだよね。


「もし、マジックバッグにしていいのがあるなら、ボク作るよ?」

「殿下! 本当ですか!? 」

「うん。まだ出発まで日があるし。少しならいいよ。沢山は無理だけどね」

「有難う御座います! では、早速明日にはご用意しておきます! お願いします!」


 エへへ、ニルが喜んでくれたよ。いつもニルにはお世話になってるからね。 


「殿下、殿下」

「リュカなに?」

「騎士団も……」

「ダメ」

「……!!」


 そんな、ガーン!! て顔するな。


「騎士団はキリがないからだめ。ちゃんと魔術師団に依頼すればいいんだよ」

「殿下、騎士団と魔術師団て、めちゃめちゃ合わないって知ってます?」


 知らない…… 頭をプルプル横に振る。全然知らない。俺は、魔術師団と関わりないからな。


「合わないんですよ。見事に!」

「そうなの? なんで?」

「知らないです」


 何だよそれ!! 知らないのかよ!


「殿下、お互いの矜持ですよ。騎士団は剣。魔術師団は魔法。相容れないんです」 

「レピオス、そんなのどうでもいいのに」

「殿下はそうですね」

「だから、騎士団が持ってるマジックバッグも少ないんです」

「そっか。でもそれなら余計にボクが作ったらダメだよ。父さまにいってもらおう」

「それが1番角がたたないですね」

 

 うん、そうしよう。俺が作って、後で魔術師団が知ったら余計に関係が悪くなりそうだ。

 父に一言言ってもらおう。

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