429 番外編ー鬼ごっこをしよう!
『6/1発売、感謝をこめて!』
番外編の2話目の投稿です。
SSですが、読んでいただけると幸いです!
「ねえ、リュカ」
「はい、殿下。何ッスか?」
「今日はヒマだね」
「そうッスか? 平和で良いじゃないッスか」
「ん~。リュカ、お外に行こう」
「え、行きますか?」
「うん、お外で遊ぶ」
「はいはい」
リュカと2人で外に出て来た。と、言ってもだ。俺達のいる皇子宮や皇家が生活するのは城の1番奥だ。そこから中庭に出るのも遠い。
トコトコ歩く。トコトコ、ポテポテと歩く。ああ、大きな階段を降りないとな。
「リュカ、おねがい」
「はい、抱っこしますよ」
「うん」
「殿下、このまま抱っこで行きますね。で、外で何するんッスか?」
「ん~そうだなぁ……リュカと2人で鬼ごっこしてもなぁ」
「何スか? 鬼ごっこ?」
「しょう。じゃんけんして負けた方が鬼さんで勝った方をおいかけりゅの」
「ほう。殿下と2人でッスか?」
「ね、楽しくないよね」
「そうッスね。俺すぐ捕まえちゃいますよ?」
「そりぇはありぇだよ。追いかけりゅ前に10読むの」
「ああ、殿下がまだちびっ子だからッスか」
「違うよ! しょういう決まりなの!」
「はいはい。ハンデですね」
「だかりゃぁ、違うって」
「はいはい。どっちにしろ2人だとあっという間ッスよ」
「だよね。ニリュもつりぇてきたりゃよかった」
「それよりオクソール様っしょ」
「あ……」
「殿下、何スか?」
「オクだ」
「マジっすか!?」
丁度前からオクソールが歩いて来た。ご都合主義だ。
「殿下、どちらへ?」
「オク、良いとこりょにきたよ! 一緒に行こう!」
「え!? 何です!?」
「いいかりゃ、一緒に行くの!」
ふっふっふ! これで3人だよ。あと何人かいないかなぁ……あ!
「フレイにーしゃま!!」
前を歩いているフレイを見つけた! 側近のデュークも一緒だ。
「おう、リリ!」
「にーしゃま、いしょがしいですか!?」
「そんな事ないぞ。リリが1番だからな!」
うん、意味が分からない。
「にーしゃま、一緒にいきましょう!」
「ん? どこに行くんだ? オクソール?」
「いえ、私も分かりません。リュカ?」
「あのですね、外に行きます。で、鬼ごっこをするそうです」
「「鬼ごっこ?」」
「はい。じゃんけんして負けた人が鬼で、勝った人を追いかけて捕まえるそうです」
「そうなんです! リュカと2人だとつまんないです!」
あ、また良い人を見つけたぞ!
「しぇふー!!」
「おやおやッ! リリアス殿下! どうされましたッ!?」
「シェフ! お前も行くぞ!」
「え? フレイ殿下、どこにですか?」
「ねえ、りゅか。こんなもんだよね」
「そうッスね。充分ですね、て凄いメンバーになってますよ」
よし。これで鬼ごっこができるぞ。
「リリ、何をどうするんだ?」
「にーしゃま、じゃんけんします。負けた人が鬼でしゅ。鬼しゃんが10数えている間に逃げます。鬼しゃんに捕まえりゃりぇない様に逃げりゅんです!」
「よしッ! オクソール、リュカ、シェフやるぞ! デュークはリリを抱っこして逃げたらどうだ?」
「ボクも自分で逃げます!」
「リリ、まだ小さいから無理だろう?」
「だって兄しゃま、自分で参加しないとおもしろくないです!」
「殿下、じゃあ殿下が逃げる時は10先に逃げるのはどうです?」
「オク、しょう?」
「はい。鬼なら10数えるのは無しで」
「えぇー、めっちゃハンデじゃん」
「リリ、そうしておけ」
「兄しゃま、分かりました」
「じゃあいいッスか? じゃんけんですよ」
じゃ〜んけんポン! で、オクソールが負けて鬼だ。
「リリ、先に逃げるんだ!」
「あい!」
俺は一生懸命逃げる! が、なんせまだ3歳だ。必死で走っても大した距離は稼げない。
「……10! 捕まえますよ!」
「うわッ! オクもう!?」
そりゃそうさ。俺はあっという間に捕まったさ。つまんねー。
後はもう鬼ごっこじゃなかったね。なんせ、みんな身体能力が高いからさ。シェフなんてオクソールが捕まえようとすると、ヒョイヒョイと躱して逃げている。
時々、バック宙とか披露している。意味が分からない。
「ハッハッハ! オクソール、まだまだだなッ!」
なんて、フレイは笑っていると不意をつかれてオクソールに捕まった。
リュカは呆気なくアッサリと1番最初に捕まった。
フレイの側近デュークも健闘虚しく捕まった。
残るはシェフだ。
「もう、信じられないッスね。何スか? あのシェフの身体能力は?」
「ね、シェフじゃないよね」
「リリのシェフは戦うシェフだからな」
「それにしても、シェフの身のこなしは素晴らしいですね」
て、俺達見学だよ。並んでしゃがんで見学だ。これ、鬼ごっこなの? 何なの? 何かの訓練なの? て、感じだ。
近くを警備していた兵や、城の使用人達が応援しながら見ている。みんな集まってきてもう一大イベントだよ。
見学していた野次馬から、あぁー! と、声が上がった。
シェフがとうとうオクソールに捕まったんだ。
「あぁ〜、やっぱりオクソール殿には敵わない!」
「シェフ、おちゅかれー!」
「殿下、捕まってしまいましたぁッ!」
いやいや、大健闘だよ。鬼ごっこには見えなかったね。
「はぁ、シェフは速いですね」
「いやいや、オクソール殿こそ」
俺、あんまり楽しくないよ?
「ブハハハ! 殿下は1番最初に捕まりましたからね」
「リュカだってじゃん!」
「リュカはもっと鍛えないとダメだな」
「そうですね、まだまだですね」
「えぇー! フレイ殿下!」
この後、騎士団で鬼ごっこが流行ったらしい。第1騎士団vs第2騎士団とかで対戦しているらしい。しかも、本気らしい。
俺は本当楽しくなかったよ。あっけなかったからね。やっぱ鬼ごっこは同じ様な年齢の子としなきゃ楽しくないね。
脳筋とはしちゃダメだ。うん、教訓だ。
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