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番外編ー7.隣国へ

 タクラート伯爵に了承をもらい今日はゆっくり休んでもらう事にした。

 今から向こうに行っても直ぐに陽が暮れてしまう。翌朝、出発だ。


「リリアス殿下、お気をつけて下さい」

「うん、ニル。大丈夫だよ。こっちで待っててね」

「はい。ご一緒出来なくて残念です」

「転移する人数が限られているからね。仕方ないよ」


 さて、りんごジュースも飲んだし、俺はもう寝るよ。寝ちゃうよ。



「殿下、おはようございます」

「ん〜……ニル、おはよう」

「シェフが待ってますよ」

「うん。シェフも一緒に行くのに元気だね」

「お弁当も作ったらしいですよ、大量に」

「本当に? シェフ凄いなぁ」

「彼方で殿下がお腹を空かせない様にと言ってましたよ」

「アハハハ、ありがたいなぁ」


 シェフの食事が普通だから、他で食べても美味しくないしさ。嬉しいぜ。


「あ、ニル。りんごジュースも入れてくれた?」

「もちろんです。沢山入れておきましたよ」

「ありがとう」

「殿下、一気飲みは駄目ですよ」

「はぁ〜い」


 言われてしまったぜ。

 さ、朝食だ。しっかり食べて頑張っていこう。


 朝食を食べて用意して玄関に降りると、もうクーファルがいた。タクラート伯爵もいる。自分の力でしっかり立っている。


「兄さま、お待たせしてしまいましたか?」

「いや、リリ。大丈夫だ」


 結局、ルーにもう1度だけ転移をお願いしてご遺体と、騎士団と領主隊あと6名ずつ連れて行ける事になった。先に両隊の隊長と副隊長が俺達と一緒に転移する。

 向こうで魔物を間引くのも、これだけの人数がいれば大丈夫だろう。皆、強いからな。

 で、向こうについたらユキにはまずタクラート伯爵の息子夫婦を助け出してもらう。その間に俺達は馬鹿子息の捕縛だ。



「兄さま、ミスヘルク王国に行くのは初めてです」

「そうだね、兄さまは1度船で行った事がある。遠かったよ」

「船でですか? あまり交易をしてない様に感じます」

「そうだね。最近はあまりないね。少し前はよく商船が入ってきていたんだよ。それも、もしかしたら馬鹿子息の家に関係あるのかな?」

「どうでしょう?」

「とにかく、リリは無茶しないように」

「はーい」


 俺はいつも無茶なんてしていないさ。


「リリ、そうか?」


 ポンッとルーが出てきた。お、タクラート伯爵が固まってるな。可愛い白い鳥さんだけどさ、これでも光の精霊なんだよ。


「ボクはいつも大人しくしてるじゃん」

「リリ、自覚がないんだな。まあ、気をつけて行ってきなよ」

「うん。ルーも頼むね」

「ああ、任せなさい!」


 白い鳥さんが胸を叩いたよ。アハハハ。


「では、クーファル殿下」

「アスラール、皆いいかな?」


 クーファルが皆を見渡して確認した。


「リリもいいかい?」

「はい、兄さま」

「では、ルー様。お願いします」

「はいな。皆出来るだけ近くに寄ってくれるかな? 転移させるよ」


 ルーがそう言うと、視界が真っ白になって次の瞬間には知らない部屋にいた。ルー、やっぱスゲーんだ。


「あなた!」


 タクラート伯爵の夫人の部屋らしい。ユキが先に転移して事情を説明して待っていてくれたらしい。


「大丈夫だ。それより、帝国第2皇子のクーファル殿下と、第5皇子のリリアス殿下、辺境伯御子息のアスラール殿だ。此度は我々を救って下さった!」


 いや、まだこれからなんだけど。


「はい、はい! 神獣様からお聞きしました。有難い事です」

「ああ、本当に。奇跡が起こったッ!!」


 いや、だからまだこれからだぜ?


「ユキ、じゃあ頼んだ」

「ああ、クーファル。任せておけ」


 ユキがシュンッと消えた。ユキさんに任せておけば楽勝だろう。


「夫人、例の子息達は?」

「はい。主人の執務室におります。兵達は1階に」


 丁度、第2陣が転移してきた。領主隊がご遺体と一緒に1階へ向かう。

 俺達と伯爵、騎士団は伯爵の執務室へ。


「私がまず入ります」


 タクラート伯爵、元気だな。マジで。辛くないか? あれか? アドレナリンがドバドバ出てる感じか?


 タクラート伯爵が勢いよくバンッとドアを開けた。


「な……!? なんでいる!?」


 リュカとシェフで部屋にいた護衛を倒し、馬鹿子息を捕らえた。


「離せ! なんだ貴様らは!?」

「殿下、バインドお願いします」

「うん、オク。分かった」


『アースバインド』


 倒れている護衛達と馬鹿子息をバインドした。


『リリ、救出した。夫人の部屋に連れて行く。我は次に行くぞ。子息が一緒に行って説明すると言っているので連れて行く』

『ユキ、分かった。気をつけて』

『ああ、分かった』


「兄さま、ユキは次に向かいました」

「そうか、早いな」

「はい。瞬殺ですね」


 タクラート伯爵が元気だ。馬鹿子息に向かって俺達の事も説明し、お前はなんて事をしたんだ! と、文句まで言っている。

 絶対に事が終わったら一気にくるぜ。倒れないでくれよ。帰る時は薬湯を渡しておこう。


「帝国の人間だと!? 帝国は関係ないじゃないか!」


 馬鹿子息がまだ吠えている。


「それが、あるんだ。お前が作らせた呪詛を込めた弾丸だ。あれで魔物は活性化すると知っていたか? あの弾丸を体内に残したまま朽ちたらどうなるか知っているか? 澱みができるのだぞ。また魔物が闊歩する世界になるのだぞ!」


 クーファルが怒ったよ。迫力あるぜ。


「そんな……嘘だ! 普通の弾丸なんかじゃ魔物は死なない! あの弾丸でないと討伐できないんだ!」


「殿下! リリアス殿下!」


 1階で兵達を捕縛していた領主隊員が慌ててやってきた。


「どうしたの?」

「1階にいた兵の殆どが黒いモヤを纏っています!」

「捕縛したの? 領主隊は大丈夫!?」

「はい! 一瞬ですから、私達は大丈夫です」


 マジかよ。てか、そりゃそうだろ。どうせ、呪詛を込めた弾丸を装填したライフルをずっと持っていたんだろう。それより何? 一瞬て何だよ。 一瞬で捕縛した、て事かよ!?


「兄さま、浄化してきます」

「ああ、リリ。仕方ないね。解呪も頼むよ」

「はい、兄さま」

「殿下、ご一緒します」

「うん、オク。ありがとう」


領主隊員に案内されて1階に降りる。



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