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番外編ー5.アイシャと浄化

 アイシャには浄化を覚えてもらっておこう。あとは、魔術師団の団長かな。


「アスラ殿、アイシャはこの後ボクに付き合ってもらって浄化を覚えてもらいましょう。あと魔術師団の団長さんにも覚えてもらえるかな? だから、今のうちにお昼食べてもらって下さい。アスラ殿も食べて! めちゃ美味しいですから!」

「本当に、とても美味しいわ!」


 アリンナ様だよ。だろー? 超美味いだろー!?


「アハハハ、母上まで。ありがとうございます。いただきますよ」

「焦っても仕方ないしね。それにリリは食べたらお昼寝するだろう」

「兄さま、それは抗えないので仕方ないです。お昼寝は大事」

「ああ、その後浄化でも大丈夫かな? アルコース」

「ん……はい! テティほど酷くはないので平気ですよ。皆、普通に働いてましたから」


 アルコース、頬張っていたよな。


「彼に話を聞くのにも丁度良いだろう?」

「クーファル殿下、そうですね。アイシャにも伝えておきます」


 まあ、クーファルが言うように焦っても仕方ないさ。

 俺は、しっかり食べるよ。




 さて、クーファルが言ったように食べたら寝ちゃったよ。熟睡だ。


「殿下、りんごジュースお入れしますか?」

「うん、ニルありがとう」


 俺はベッドからヨイショとおりてソファーに座る。


「ニル、我もほしい」

「はい、ユキ。どうぞ」


 ユキちゃん、りんごジュースがスープに見えるよ?


「ねえ、ユキ。ユキが行った時、あの貴族はどうだったの?」

「ああ……側に夫人がいて泣き付かれてしもうた。我の話を貴族からよく聞いていたそうだ」

「そうなんだ」

「死ぬ前にまた我と会う事ができて良かったと言われてしまってな。毒だと分かっていたからリリなら必ず治せると思ったんだ」


 なるほどね。でも、まさか連れて来るとはね。


「夫人がな……」

「ご夫人が?」

「自分達はかまわないから、解毒できるならなんとかしてくれと泣いて頼まれてしまってな」

「そっか……夫人は文にも、自分達を助けて欲しいとは一言も書いていなかったね」

「そうか……リリ、すまんな。面倒を持ち込んでしまった」

「ユキ、そんな事ないよ。放っておくとこっちにも悪い影響があるからね。早く分かって良かったよ」


 ――コンコン


「リリ、起きたかな?」

「兄さま、はい。さっき起きました」

「じゃあ、先にアイシャ達を連れて浄化してくれるかな」

「はい、分かりました」



 さてさて、久しぶりのアイシャだ。アルコースに案内されて行くとアイシャと魔術師団団長が待っていた。


「リリアス殿下!」

 

 アイシャだ。手まで振ってるよ。はいはい、そんな大きな声を出さなくても分かっているよ。賑やかなアイシャの隣りで魔術師団団長が頭を下げている。偉い違いだな。


「アイシャ、元気にしてた? もう皆に馴染んだかな?」

「はい! 以前働いていましたから! 殿下! それで……」

「ああ、はいはい。アイシャと団長さんには浄化を覚えて欲しいんだ。アイシャはレイリに聞いたけど、解呪はできるんだよね?」

「はい! ディスエンチャントですね! できます!」

「じゃあ、浄化もできると思うよ。ピュリフィケーションだ。」

「はい、殿下! 頑張ります!」

「団長さんはどうかな?」

「私もアイシャ殿と同じです。解呪はできますが、何しろそう使う事もありませんので」


 そりゃそうだ。頻繁に解呪が必要な事なんてないよな。


「団長さん、解呪ができるなら大丈夫だ」

「はい! 頑張ります」

「うん、お願いね。じゃあ、見てみようか。アルコース殿」

「はい。全員、治療室にいます」


 

 うん、微かにだけど黒いモヤモヤがあるんだ。この程度だと平気そうだね。


「2人共、よく見て。微かに黒いモヤモヤが見えるでしょ?」

「黒いモヤモヤですか……ああ、はい! 分かります!」

「穢れをうけている症状だね」

「あれが穢れですか……初めて見ます」


 魔術師団の団長が、ジッとみている。

 この団長、魔術師団の制服を着ていなければ領主隊と間違えてしまう程屈強な身体つきをしている。まあ、以前やった腕相撲大会ではシェフに負けてしまったが。


「じゃあ、魔力を意識して、2人共ピュリフィケーションしてみよう」

「はい! 殿下! ピュリフィケーション!」


 おや……アイシャは発動しなかったな。魔力不足か。

 魔術師団団長は……流石に魔力を込めるのが上手い。アッサリと浄化していた。


「団長さん、完璧だね。魔力の扱いが上手いよ。アイシャは魔力が足らない」

「はい、殿下」


 今度はアイシャが集中して身体の中で魔力を集めるのが分かった。


「いきます……ピュリフィケーション」


 白い光が出て消えると、黒いモヤモヤが綺麗に消えていた。念の為……


『鑑定』


「うん、アイシャ。成功だ」

「殿下! ありがとうございます!」

「でも、あんまり数を熟せないみたいだね」

「すみません……」

「まあ、いいよ。2人共、魔力が枯渇しないように気をつけて次の人もお願い。ボクは鑑定で確認するね」

「はい! 殿下!」


 結局だ。アイシャはあの後1人しか浄化出来なかった。魔力不足だよ。

 魔術師団団長は合計3人だ。見ていると魔力量を加減しながらやっている。流石だよ。アイシャはまだまだだ。


 領主隊員3名と、領民2名だったんだけど魔術師団団長が頑張ってくれた。

 アイシャはパワフルで元気なんだけどなぁ。もう少し魔力量が欲しいよな。


「殿下! 勉強になりました!」

「はい、私もです。殿下、ありがとうございます」

「そう、良かった。暫く同じ様なモヤモヤが出ている人がいないか気をつけてね。彼等と接触した人にも要注意だよ。微かでも出てたら穢れだからね」

「はい、分かりました!」


 じゃあ、次だ。クーファルがあの貴族の話を聞くと言っていた。


「リュカ、兄さまは部屋かな?」

「いえ、皆さま応接室に集まっておられる筈ですよ」

「はい。皆集まっている筈です」

「アルコース殿、そうなの? じゃあ行こう」

「はい、リリアス殿下」


 暫く歩いているとアルコースが遠慮がちに話しかけてきた。


「あの……殿下」

「ん? なぁに?」

「今回、フィオン様が無理を言ったと聞きました」

「ん? ああ、一緒に来たいって言ってた事かな?」

「はい。申し訳ありません」

「アハハハ、アルコース殿が謝る事ないよ。姉さま、クーファル兄さまに撃沈されていたし」

「はあ……撃沈ですか」

「クククク……」


 リュカ、また笑ってるぜ。


「本当に……思い込んだら真っ直ぐしか見ないと言うか……周りが見えないと言うか」


 お、アルコース。フィオンの事、よく分かってるじゃん。


「アハハハ! そうだね」

「フィオン様にとって殿下は特別らしいので、また何かご迷惑をお掛けするだろうと……」


 アルコース、そんなの迷惑に入らないんだよ。家族なんだから。


「ボクにとっても大切な姉さまだから、迷惑なんかじゃないよ。大丈夫」

「ありがとうございます」

「なんか……あれだね。もう夫婦みたいだね」

「いや! あの……殿下! 申し訳ありません!」

「アハハハ! 何で謝るの。アハハハ! 仲が良いのは良い事だ」

「ありがとうございます」


 だが、フィオンは想像以上にジャジャ馬なところがあるからな。アルコース、頑張れよー!


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