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番外編ー1.変死体

お久しぶりの投稿になってしまいました。

番外編、今回は少し続きます。

リリが5歳で辺境伯領から戻ってきた後のお話しになります。

若干、おや?と思われる事があるかも知れませんがスルーをお願いします!

「リリアス殿下、クーファル殿下がお呼びです」

「リュカ、ありがとう。何だろ?」


 クーファルに呼ばれた。何だろう? また何かあったのだろうか? ユキが俺の横を歩く。大きいままのユキが歩くと知らない人は驚いて避けている。それでも、城ではもう名物みたいになっているがな。なんせ、朝昼晩と時間になると勝手にシェフのいる厨房まで行くからさ。


「さあ、俺は何も聞いてませんよ」

「そう。また何かややこしい事じゃなければいいんだけどなぁ」

「そうッスね。クーファル殿下に呼ばれる時は、ややこしい確率が高いですからね」

「だよねー」


 俺は辺境伯領から帰ってきて、5歳のお披露目パーティーも終わった。

 その時に助けた侯爵令嬢や協力してくれた子息達とのお茶会も終わった。

 だから、ちょっとゆっくりしていたんだ。

 毎朝の、オクソールのシゴキが終わったらお昼食べてちょっとお昼寝してりんごジュースも飲んで、そろそろレピオスのところに行こうかなぁ、なんて思っていた時だ。


「リリアス殿下をお連れしました」

「入りなさい」


 クーファルの声だ。いつものトーンだが油断は禁物。中に入ると、側近のソールと先に呼び出されていたのかオクソールもいた。


「クーファル兄さま、お呼びですか?」

「ああ、リリ。お昼寝していたかな?」

「いえ、起きてました」

「今朝ね、辺境伯から手紙が届いたんだよ」


 アラウィンから? 何だ? まさか魔物が増えているとかか? いや、それにしてはクーファルが落ち着いている。まあ、慌てるクーファルなんてめったに見た事がないが。


「ユキが銃弾で撃たれていただろう」


 ユキは辺境伯領の森の中で助けたユキヒョウの神獣だ。呪詛を込められたクリスタルの弾丸で撃たれていたところを助けた。


「変死体があがったんだそうだ。それも3体」

「兄さま、それとユキとどう関係があるのですか?」

「変死体が発見されたのが、ノール河がボスコニ湾に流れ出てすぐの所らしい。しかもね、呪詛の込められた弾丸を装填したライフルを持っていたんだ」

「兄さま、それって……」

「ああ。多分、ユキを狙った奴等だろうね」

「じゃあ、隣国の人ですか?」

「そうだろう。帝国ではライフルは流通していない。拳銃もだ。父上が使用も所有も禁止されているからね

「はい。では……えっと、ミスヘルク王国でしたっけ? その国の者に決まりですね」

「だろうね。で、リリ。問題は呪詛の込められた弾丸だ」


 ああ、なるほど。呪詛か。解呪しなきゃな。


「兄さま、ボク行きます」

「そうだね、兄さまも行くよ。オクソール明日にでも出れるか?」

「はい、私達はいつでも。殿下、第2騎士団はどうしますか?」

「そうだね、念の為20人だけ連れて行こうと思う」

「じゃあ、兄さま。明日の朝でいいですか? シェフとレピオスに聞いてきます」

「リリ、レピオスは今回は駄目だ」

「え、兄さま。どうしてですか?」

「レピオスは今、医局の者達のテストの審査に当たっているから駄目だよ」

 

 マジかよ。俺の心の友、レピオス。

 レピオス偉いんだな。そっか。医療チームをまとめているもんな。残念だ。


「じゃあ、シェフに伝えておきます。明日朝一出発でいいですか?」

「ああ、そうしよう」


 で、俺が転移門に魔力を流してサクッと転移した。

 まあ、転移するまで一騒動あったんだが。

 どこから聞きつけたのか、フィオンが一緒に行くと言い出したんだ。まあ、気持ちは分かるがな。アルコースに会いたいだろうから。だが、クーファルに撃沈されていた。


「フィオン、遊びで行くのではないんだ。フィオンが行って何か役に立つのか? 足手まといだろう?」


 クーファルのこの言葉で、フィオンはガックリと肩を落として諦めた。仕方ないさ。クーファルが言う様に遊びじゃないからな。

 ちょっと言い方がキツイけど。クーファルは容赦ないんだよ。

 

「クーファル殿下、リリアス殿下、またご足労頂いて申し訳ありません」


 転移門の向こうには、辺境伯アラウィンと側近のハイク、アスラールと側近のセインが待っていた。

 1ヶ月程しかたっていないのに、久しぶりな感じだ。


「辺境伯、詳細を聞きたい」

「はい、クーファル殿下」


 再会の挨拶もそこそこに、俺達は1階の応接室に来ている。


「リリアス殿下、またご足労頂いて申し訳ありません」

「アリンナ様、もうすっかりお元気そうですね」

「はい。殿下とレピオス殿のおかげですわ」


 良かった良かった。またアリンナ様の元気そうな笑顔が見れて本当に良かったよ。


「第1発見者を呼んでおります。通しなさい」

 

 アラウィンの側近に呼ばれて部屋に入ってきたのは……


「おっちゃん!」

「リリ殿下! 殿下が来たのか!」


 思わず走り寄ってしまったぜ。おっちゃんこと、漁師のニルズだ。俺の心の友No.2だよ。もちろんNo.1はレピオスだ。


「おっちゃんが発見したの?」

「ああ、そうなんだよ」

「リリ、座りなさい。これから詳細を聞こう」

「はい、兄さま」


 ニルズの話によると……

 ニルズの奥さんテティが昆布を干したり、干物を作ったりしている場所がノール河がボスコニ湾に流れ出している近くなんだそうだ。

 だから、ニルズも毎日の様に通るらしい。大河が流れ出している場所なので、河口付近の海流が独特らしい。そこに、プカプカと何か浮いてるぞと見てみれば遺体だった訳だ。

 但し、その遺体にはライフルが絡みついていた。肩から斜めに掛けていたのだろう。そのライフルスリングを斜めに掛けていた為にライフルは流されずに遺体と一緒に引き上げられた。


「しかしだ、リリ殿下。黒いモヤモヤがまとわりついていて悍ましいったらないんだ。それで、領主様に報告したら呪詛だと言われてびっくりしたぜ」

「おっちゃん、触ったの?」

「触ったさ。知らねーもんよ」


 マジか。これは念の為……


『鑑定』


 俺はニルズを鑑定した。大丈夫だ。侵されていない。もしかして、ニルズは精神異常耐性が高いのか?


「おっちゃんだけ? 他に触った人はいない? 身体が怠い人とかいない?」

「それがよぉ、リリ殿下。テティが触っちまって、それから変なんだ。外に出れなくなっちまった」


 ヤバイな……


「兄さま!」

「ああ、リリ。直ぐに行くかい?」

「いいですか? 行きたいです!」

「ああ、構わない。オクソール、リュカ頼んだよ」

「はい、殿下」

「いや、リリ殿下」

「おっちゃん、急がなきゃ!」

「いや、テティは今この邸で世話になってんだ。奥様が連れてこい、て言って下さってな」


 なんだよ! 先に言ってくれよ!


お久しぶりです!また読んで頂きありがとうございます!

宜しければ、評価とブクマお願いします。

毎日投稿はできないかも知れません。申し訳ないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ちょうど2章を読み返していた最中で、撃った犯人はどうなったのか気になっていたので、この先が楽しみです。 [気になる点] 感想が送れるようになったので、この話ではなく物語全体として読み返して…
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