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リリの秘密? 1

久しぶりの3歳のリリです。

あー、リリを書いていると安心するのは何故?

 ここはアーサヘイム帝国。

 別名『光の帝国』 

 光の精霊が加護を授けた小さな皇子がいる国だ。


「しょぉ〜ッと……」


 小さな身体をより小さく丸くして警備の兵達の目を気にしてキョロキョロしながら歩いて行く皇子。


「殿下、やっぱりやめましょうよ」


 小さな皇子の直ぐ後を、堂々とついて行く従者兼専属護衛見習い。


「リュカ、声が大きいの。見つかりゅじゃない」


 光の精霊に加護を受けた皇子、リリアス・ド・アーサヘイム。第5皇子だ。

 従者兼専属護衛見習いで狼獣人の、リュカ・アネイラと一緒に何やら秘密の計画を実行中らしい。



「静かに、しょぉ〜ッと……見つかりゃないように……」

「殿下、殿下。」

「リュカ、うりゅさいよ。もう、ボキュ1人で行くかりゃいいよ」

「いや、殿下。駄目ですって」

「見つかりゅ前に戻ってくりゅよ」


 いやいや、もうとっくに見つかっているのだが。

 どうやら、こっそりと城を抜け出そうとしている様だが、そんな事が出来る訳がない。

 たった3歳の子供が、沢山の見張りの兵士達に見つからずに抜け出せる筈がない。

 既に皇帝の側近であるセティ・ナンナドルの部下の影が何人も隠れて見ている。

 リュカはそれに気付いている様だ。知った顔でもいるのだろう。リュカは目配せをして……


『どうしましょう?』


 ……と、目で訴えている。泣きそうな、なんとも情けない表情をしている。

 リュカに訴えられた影の1人が、コクリと頷く。


『ええー!! マジッスかーー!?』


 ……と、言いたげな顔のリュカ。


「もう……マジで勘弁して下さいよぉ……」

「え? リュカなにぃ?」

「なんでもないッス。本当に直ぐに戻って下さいよ」

「うん、リュカ。わかってりゅ」


 諦めたのか、リュカは皇子を先導して城の中を駆けていく。


「殿下、遅いッス。抱っこしましょうか?」

「いいの! 自分で走りゅの!」

「はぁ……そうッスか」

 

 リュカはため息をついている。

 トテトテトテトテ……走っているのか歩いているのか、いっその事転がる方が早いのではないか?

 結局、途中でギブアップした皇子をリュカが抱っこして走る。城は3歳児にとっては広すぎる。


「リュカ、静かにね。見つかりゃないようにね」

「はいはい。分かってますよ」


 最初からバレバレで、とっくに見つかっているのだが。

 スムーズに城を抜け出したリリアス皇子とリュカの2人。


「そ、そ、外だー! お城の外に出ちゃった!」


 何やら感動しているみたいですね。


「で、殿下。どこに行きたいのですか?」

「リュカ、だめだめ。ボキュはリリ」


 片手は腰に、もう片方の手で短い人差し指を立てて横にフルフルと振っている。何故か片足を半歩前にだす事も忘れない。


「あー、はいはい」

「リュカ、あそこみて!」

「なんですか?」

「ほりゃあそこ! ねこちゃん!」

「はぁー?」


 見つけた猫ちゃん目指して、トテテテテ〜ッと走り出す。

 猫ちゃんは城にはいないのか? いや、そんな事はないだろう。


「リリ様! 1人で行っては駄目ですよ!」

「ねこちゃん、逃げないでね……おいでおいで」


 と、言いながらしゃがみ込んでジリジリと近寄って行く。


 ――ニャア〜


「ねこちゃん、いいこね〜。しょぉ〜ッと……」


 ――ニャア〜


「いいこでしゅね〜、ナデナデさせてね〜」


 猫は人に慣れているのだろう。逃げずにじっとしている。

 猫の頭をナデナデしている小さな皇子殿下。


「うわぁ〜、可愛いでしゅね〜。いいこいいこ」


 ご満悦だ。


「殿下、猫を見たかったんですか?」

「なんでよ! そんなわけないじゃん」

「じゃあ、さっさと行きましょう」

「えぇー、ねこちゃんまたね」


 猫ちゃんに小さな手を振ってバイバイしている。


 改めて……帝都の街に向かって歩いて……いや、スキップして行く皇子。


「ふんふふんふ〜ん。らんららんら〜ん♪」

「殿下、ご機嫌ッスね」

「うん! リュカ」

「ご機嫌のところ悪いんスけど、手を繋ぎましょうか」

「はいは〜い」


 小さな手を出す小さな皇子。それでもスキップは止まらない。


「ブフフッ」

「リュカ、なぁに?」

「殿下、前から思ってたんスけど、それスキップになってないですから」

「……え……!?」


 ガビーン!! て、表情のリリアス殿下。


「知らなかったんスか?」

「リュカ、本当?」

「はい。マジッス」

「……リュカ、スキップしてみて」

「え!? 嫌ですよ。俺、何歳だと思ってるんですか?」

「リュカ、スキップに歳は関係ないよ」

「いや、ありますって」

「リュカ、やって」

「いやッス」

「リュカ、お願い」

「だから、嫌です」

「じゃあボキュがずっとスキップできなくてもいいの?」

「はい。構いません」

「リュカー!」

「ああもう! 分かりましたよ!」


 そして大の男が街中でスキップをする羽目に……


「ほうほう……なんれ?」

「もういいッスか?」

「リュカ、何がちがうの?」

「だから、殿下は同じ方の手と足が出てるんです」

「そう……?」

「はい。そうです。足だけやってみますか?」

「うん。スキップスキップ」


 小さな短い足で、ヒョッコヒョッコとステップ(?)する。


「はいはい。出来てますよ。じゃあ、そこに手をつけましょう」

「うん。スキップスキップ」


 あらら? 手と足が一緒ですね。ある意味器用だ。


「だから何でそうなるんスか?」

「え? だめ?」

「いいッスか、俺が後ろから手を持ちますよ」


 リュカが後ろから、リリアスの手を持って動かす。


「うん。スキップスキップ……あー! 分かった!」

「分かりましたか? じゃ、殿下1人でやってみて下さい」

「うん、カンペキ。スキップスキップ」


 また、手と足が一緒に出ている。


「あぁー! なんで元に戻るんスかー!?」

「え……?」

「いいッスか? もう1度やりますよ?」

「うん」


 城を抜け出してまで、一体何をやっているんだ? と、見守っている影達は思っている。


 ようやく、スキップができたリリアス殿下。ご満悦。

 リュカと手を繋いで、スキップスキップ。


「ふんふふんふ〜ん、らんららんら〜ん♪」

「で、殿下。どこに行くんスか?」

「あ! リュカ見て見て! ありぇ食べたい!」


 ファンタジーでは超お馴染み、肉の串焼きだ。


「えぇ〜、夕食食べれなくなりますよ?」

「えー! 買ってー!」

「はいはい」


 リュカは仕方なく屋台で串焼きを買う。リリアスがヒョコッと顔を出して見ている。


「坊ちゃん、にいちゃんとお出かけかい?」

「うん!」

「そうかい。うちの肉は美味いぞー、ほら」

「おっちゃん、ありがとー!」

「で……ん゛ん゛。リリ様、あそこのベンチに座りましょう」

「うん!」


 本当に何をしたいのか? 影はまだまだついて行く……


頑張れよー!と、思って下さる方は是非、ブクマと評価を宜しくお願いします!


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