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アウルースの日常? 4

アウルのこのお話はこれで最後です。


 次の日のおやつの時間にフィーはまた来たんだよ。

 たくさんのキラキラ光る妖精さんが一緒だった。キラキラがいっぱいでボクはびっくりしちゃった。

 妖精さんの中で一番偉い妖精さんが、おじいしゃまにご挨拶をしてた。

 妖精さんなのに、白いなが~いお髭があってね眉毛も白くてフサフサでお目々があんまり見えてないの。

 どの妖精さんもおいしそうにたくさん食べていたよ。

 肉まんだけじゃなくてね、シェフがいりょいりょ作ったんだよ。

 全部、リリしゃまが教えてくりぇたお料理なんだって。


「しかし、アルコース。驚いたな」

「はい、父上」

「私は、妖精を初めて見ましたよ」

「アスラール、それは私もだ」

「本当にリリアス殿下は、本人がいらっしゃらなくてもこんな奇跡を起こされるのですね」

「妖精を間近で見るなんて事は想像もしなかったことだな」

「父上、本当にそうですね」

「アルコース、加護を貰っているお前が何を言う」

「父上、私も初めてフィーを見た時は信じられませんでしたから」


 とーさま達がなにかむじゅかしいことをいってりゅけろ。

 ボクはぜんぜん分かんない。とーさまのお膝の上に座って足をプランプランさせていりゅ。


「アルコース、アウル。今日はありがとう!!」


 あ、偉そうな妖精さんのフィーだ。

 やっぱ、ちゅかまえたいよねー。

 ボクはそぅ~っと親指と人差し指でちゅかまえようとした。やっぱお口もとんがっちゃうよ。


「アウル、いい加減に止めな。アウルにボクは捕まえられないよ」


 えー、分かんないじゃん。


 ――パチンッ!


 ボクは両手でパチンてした。

 残念。よけりゃりぇちゃった。


「ぉわおぉッ!! だから! 止めなって!

 アルコース、なんとか言ってよー!」

「アハハハ! アウル、止めなさい」

「えー、とーさま」

「フィーもリリ殿下のお友達だと言ったろう?」

「あい」


 仕方ないなぁ。リリしゃまの名前を出さりぇりゅと諦めりゅしかないよね。

 仕方ないかりゃ、ボクはとーさまのおひざの上でおとなしくしておこう。


「フィー、美味しかったかな?」

「アルコース、みんなめっちゃ喜んでたよ。ありがとう!」

「それにしても、こんなに妖精ていたんだな」

「アスラールだっけか?」

「ああ、アルコースの兄だ」

「兄ちゃんか。普通妖精は、人間の前には姿を現さないからな」

「ふぉふぉふぉ。フィーの言う通りじゃな」

「長殿、お気に召して頂けましたかな?」

「領主殿、此度は感謝致しますぞ。フィーを助けて頂いただけでなく、我々の突然の願いを快く受けて頂いてありがとうございます」

「いやいや、料理くらいで良いのでしたら、いつでも食べに来て下され」

「おー! ありがとうございます。初代の頃を思い出しますなぁ」

「初代とは、この領主の初代ですか?」


 妖精さんのおじいさんが昔のお話をしてくりぇたんだよ。

 ずっとずーっと昔。まだこの国に、もっとたくさんの魔物がいた頃なんだって。

 妖精さんたちも魔物に困っていたんらって。

 妖精さんがたくさん魔物に食べりゃりぇてみんな逃げていた。

 いっぱい逃げても追いかけりゃりぇて、もうダメー! て、思ったときに助けてくりぇたのが初代のおじいしゃま。

 ボクのおじいしゃまのおじいしゃまのもっともっとおじいしゃま。

 その時にリリしゃまのおじいしゃまのおじいしゃまのもっともっとおじいしゃまも一緒だった。

 助けてくりぇて、その時もお腹をすかせた妖精さんたちに食べ物をくりぇたって。


「あの頃は、今よりもっと魔物が多くて大変な時代でした。しかし、初代の領主殿と初代の皇帝陛下は諦めず毎日毎日魔物を討伐して、我々も保護して下さった。

 だから、我々も協力を惜しまなかった。我々の力で畑を蘇らせて、作物を実らせて。また、領主殿は礼だと言ってご馳走を振る舞って下さった。ほんに気持ちの良い方々でしたな」


 おじいしゃまやおじさま、とーさまはじぃっと偉い妖精さんのお話を聞いてた。妖精さんてすごい長生きなんだね。

 ボクは足をプランプラン。


「フィーとの縁も、初代皇帝陛下の子孫である皇子殿下が繋いで下さった。有難い事です。我々が妖精の皆さんを害する事は決してない。いつでも、いらして下さい。いつでも、料理を振る舞いますよ」

「ふぉっふぉっふぉっ。ほんにこれも縁ですなぁ。ありがとうございます。フィーが申しておった木には、懐かしい気配が残っておりますな」

「木とは?」

「父上、あの5本の木です」

「ああ、あの木は初代の領主と初代皇帝陛下が森から移植なさったと聞いております」

「なるほど。そうでしたか。あの木は守って参りましょうぞ」

「ええ。もちろんです」

 

 妖精さん達はたくさん食べて、またみんなで帰っていった。

 来りゅ時はキラキラーンて光って妖精さん達がいっぱい出てきて、帰りゅ時もキラキラーンて光って消えりゅんだよ。しゅごいね。

 ずっと飛んでりゅし、歩かないのかな?スキップできんの? ボクは得意なんらよ。



 ボクは次の日、いつものように5本の木のとこりょでスキップスキップ。


「らんらんらーん。らんららんららーん」


 5本の木の間をぐりゅぐりゅぐりゅ。


「ありぇ、また白いのが……」

「よう、アウル。今日もか」


 なに言ってんの? ボクは毎日ここに来てりゅよ。

 ボクはお手々を広げてぇ……


「ふわりふわり〜、ふわふわ〜ん」


 5本の木の間をクネクネクネクネ。


「ふわり〜ふわふわ。ふわ〜り」


 ペタペタと木を触ってみりゅ。

 ペトッと抱きついてみりゅ。

 目をつむって耳をすます。


「今日もぉ、なんにも聞こえな〜い」


 はしっこの木から順にペタペタ触ってペトッと抱きつく。5本全部に抱きついて、少し離りぇて木を眺めりゅ。


 サワサワッて、葉っぱの音がしゅる。うん、今日もいつも通りだ。

 ボクはまた鳥さんになって5本の木の間をクネクネクネクネ。


「アウルさぁ、毎日それやってんの?」

「うん」


 スキップスキップスキップ。


「リリしゃまがぁ〜、お花を咲かせてくりぇたぁ〜、木なんらぁ〜」


 スキップスキップスキップ。


「もう、朝ご飯食べたかりゃなんにもないよ?」

「いや、食べに来たんじゃねーし」


 そう? じゃあどうしたの? 捕まえちゃうよ? もう、パチンはしないけろ。


「ふんふんふーん。らんらんらーん」


 スキップスキップスキップ。得意のスキップスキップスキップ。


「アウルさぁ、昨日も思ったんだけどな」

 

 なぁに? なんなの?


「アウル、スキップできてねーよ?」 


 え……!? ほんちょに!?


「うん。全然できてないよ。片方の足しかあげてないじゃん。交互にあげなきゃ。まあ、足短いもんな」


 ええぇーーー!! ショックらぁー!!



〜おしまい〜


読んで頂きありがとうございます。

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