アウルースの日常? 3
「アウル!」
「ほりゃ来た。とーさまだ」
「お? アルコースか?」
「うん。そうだよ。いつも来りゅの」
とーさまがいつも通りボクのいるところまで走ってきた。
「あ……!?」
ありぇ? とーさまびっくりしてりゅ?
「とーさま、妖精さんだって」
「ああ、フィーか?」
「そうだよ、アルコース。久しぶりだな!」
「森に何かあったのか!?」
「え? なんで?」
「だって、フィーが言ってたろう? 森に何かあったら知らせてくれるって」
「ああ、違うよ。今日はさぁ、アルコースにお願いがあって来たんだ」
妖精さん、なんでとーさまを知ってんのかな?
ボクは、またそぅ〜ッと親指と人差し指で掴もうと手を伸ばす。
「だからな、止めな?」
「えぇー」
「ええーじゃないよ。アルコース、この子なんとかしてよ。さっきからボクを捕まえようとするんだよ」
「アウル、フィーはリリ殿下と父様の友達なんだ。仲良くできるか?」
「えぇー」
「こらこら! そこは、ハイッ! て可愛くお返事するとこだろう!?」
なんか、うりゅさいね。この妖精さん。
――パチンッ!
ボクはまた両手でパチンてしちゃった。
「こらこらこらー!」
「アハハハ! アウル、止めなさい」
「アルコース、笑い事じゃないよ!」
「とーさま、本当ですか? リリしゃまもお友達?」
「ああ、そうだよ。リリ殿下がいらした時に父様も一緒に森に討伐に行ったろう。あの時にリリ殿下がフィーを助けたんだ」
ふぅ〜ん。本当なんだ。じゃあいいや。
「フィー、ボクはアウリュ」
「そこからやり直しかよ!」
「アハハハ! フィー、息子のアウルースだ。アウルと呼んでくれ」
「そうか、アウルか。『らりるれろ』がまだ言えないんだな?」
「言えりゅよ?」
「言えてねーよ?」
「ありゃりゃ」
「アハハハ! なんかリリに似てるな!」
リリしゃまに!? 似てりゅなりゃうりぇしいなぁ!
「ああ、アウル。リリ殿下によく似ているよ。リリ殿下もアウルくらいの歳の時は、『らりるれろ』がちゃんと言えなかったそうだよ。それに、笑い方がリリ殿下とそっくりだよ」
「リリしゃまと一緒!」
「そうだな。アウルは本当にリリ殿下が好きなんだな」
「うん! 大好き! 会いたいなぁ! また一緒に遊びたいなぁ!」
ボクは木の間をスキップスキップする。リリしゃまがお花を咲かせた木だ。スキップスキップ。
もう咲いてないけどね。スキップスキップ。
「なんだ? リリは本当に花を咲かせたのか?」
「フィー、本当なんだ。この5本の木に満開の花を咲かせられたんだ。正に光の皇子殿下だよ」
「え? リリって皇子なの?」
「あれ? フィーは知らなかったか? リリアス殿下はこの国の第5皇子殿下だ。だから、帝都の城におられる」
「そうなのか。だから、ずっといる訳じゃないって言ってたのか」
「そうだ。で、お願いって何だ?」
「あのさ、助けて貰った時に食べた白い丸いのがあるだろ?」
「ああ、肉まんか?」
「そう! それ! あれさぁ、また作れる?」
「ああ、リリ殿下のシェフがうちのシェフに教えてくれたから作れるよ」
フィーて妖精さんのお願いはね、リリしゃまにもらった肉まんが食べたいんだって。
妖精さんの仲間が食べてみたい、て言ってんだって。
肉まん、美味しいよねー。
でも、リリしゃまが教えてくりぇたのは肉まんだけじゃないよ。
他にも美味しいの教えてくりぇたんだよ。
「作る手間があるから明日なら準備してくれると思うよ」
「じゃあさ、じゃあ明日みんなを連れてくるよ!」
「ああ、良いよ。あ、フィー。その時は長も来られるのか?」
「うん。もうじいさんなんだけど、食べてみたい、て煩いんだよ」
「アハハハ、そうなのか。その時に、父上や兄上とも会ってくれないか?」
「おう! もちろんだ! ボク達の方がお願いするんだから、挨拶しなきゃな」
「ありがとう、フィー。じゃあ、明日のおやつの時間にしよう」
だって。決まっちゃった。明日もフィーが来りゅんだって。
仲間の妖精さんたちもみんな一緒に来りゅんだって。
とーさまが話したりゃ、おじいしゃまがびっくりしてた。
ボクも少し楽しみだよ。
妖精さんかぁ……
リリしゃまとお友達っていってた。
ボクは? ぼくはリリしゃまとお友達?
ううん、ちがう。お友達じゃあない。
じゃあなにかな? リリしゃまはボクをどう思っていりゅのかな?
ボクは大好きだけろ……
考えだしたりゃ頭の中がぐりゅぐりゅしてきた。
「あら? アウル、どうしたの?」
「かーさま、頭の中がぐりゅぐりゅです」
「えっ? なに? どうしたの?」
ボクはかーさまにお話ししたの。
リリしゃまとボクはお友達じゃあない。じゃあなに? て。
考えだしたりゃ頭の中が、ぐりゅぐりゅしてきたの。
「そんなことを考えていたの。あのね、アウル。お母さまとリリは姉弟なの。お母さまの一番下の弟がリリなのよ。だから、親戚なの。リリの甥がアウルね。リリはアウルの叔父さんにあたるのよ」
ん~……余計に分かんない。
「お友達よりももっと近くて絆があるのよ」
分かんない……
「お友達よりも大切?」
「そうね、大切かどうかはアウルの気持ちだけど。ずっと、仲良くしていくのよ。そんなことより、リリはアウルの事が大好きで大切に思っているわ。それは分かるでしょう?」
「リリしゃま、ボクが大好き? 大切?」
「そうよ。だってこっちにいる間、ずっとアウルと一緒にいたじゃない。こっちにくるのも、アウルに会いたいと言って来たのよ。リリはアウルが大好きよ」
嬉しい!!
「かーさま! 本当ですか? 本当に!?」
「リリを見ていたら分かるじゃない。馬鹿ねぇ」
やった! リリしゃまはボクが好き! 大切!
ボクもリリしゃまが大好き!!
嬉しいなぁ~!!
「エヘヘヘ」
「まあ、リリと同じ笑い方をしているわ」
「リリしゃまと?」
「そうよ。リリと同じ笑い方よ」
「エヘヘヘ」
「アウル、嬉しそうね」
「あい! 嬉しいです!!」
「本当にリリが大好きなのね」
かーさま、当たり前じゃない。ボクはリリしゃまが大好き。
会いたいなぁ。また一緒に遊びたいなぁ。
リリしゃまの声が聞こえそうら。
「アウルー! 一緒に遊ぼう!」
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