39ー結末
第一章ラストです。
3歳のリリが最後になります。
此処まで読んで下さった皆様、有難う御座います。
第二章も宜しくお願いします!
さて、時間を少し戻して振り返ってみようか。
リーセ河に架かる帝国と王国を結ぶ橋付近で、ファーギル・レイズマン子爵一行を捕縛。レイズマン子爵から計画を聞き出した、皇帝と第1皇子とオクソールは即座に引き返した。別邸を目指し全速力で馬を走らせた。
「陛下とフレイ殿下はゆっくりいらして下さい。私が先に戻りますので!」
「オクソール、馬鹿を言うな! 息子の危機にゆっくりする親がどこにいる!」
「そうだ、オクソール。弟を見捨てる様な事出来るか!」
「邸の者は皆強いので心配いりません! 大丈夫です!」
「なら、オクソールがゆっくり戻れば良いではないか!」
「陛下、私はリリアス殿下の護衛ですから!」
「オクソール、お前ばっかリリにカッコいいと言われてズルイんだよ!」
「フレイ殿下、それは関係ありません!」
「お三人共、喋ってると舌噛みますよ! 急ぎましょう!」
護衛騎士に突っ込まれながら、爆走して戻ってきた父、兄、オクソール。なんと余裕で間に合っていた。だって戻ってきてから、お茶飲んでたからね。
3人が戻ってきた時はビックリしたよ。どうした? 何だ? て、思った。まあ、良かったんだけどさ。
その頃、ルーは調子に乗って街の上をキラキラさせながら飛んでた訳だ。だって光らせる必要は全くないからな。ルーが言うには演出だそうだ。気分なんだと。
――あー! 光の精霊様だー!
――精霊様ありがとうー!
とか言われて、有頂天さ。ウホウホだよ。
さて、それから計画を練った。と言うか、戻って来た3人に説明した。
俺とニルの、間抜けな会話で油断していると思わせる。そして、応接室に誘き寄せる。ドアを開けた瞬間に、俺のライトバインドが炸裂さ! 破裂してないから炸裂じゃないか。まあ、いいや。雰囲気だ。
馬鹿だよね。王国て。何もかも遅れてるんだよ。帝国みたいに多種族国家じゃないから、切磋琢磨が少ないんだろうね。
王国から帝国の学園への留学はあっても、逆はないんだ。何故かと言うと、遅れているからさ。
魔法に対する意識も違う。帝国だと、バインド系の魔法はまず要注意だ。兵も鍛え方が違う。帝国は獣人を相手にする場合も想定しているから、兵達は皆屈強だ。
それにオクソールの様に兵の中にも獣人はいる。王国の工作員などには負けはしない。
でも正直、父や兄、オクソールが騎士団を連れて戻ってきた時は嬉しかった。いくら邸の者達が強いと聞いていても、不安だったから。
ま、振り返るのはこんなもんかな。大した事ないからな。
それよりも……さて、その後。
ファーギル・レイズマン子爵の自供により、フレイスター伯爵夫人の罪が確定した。フレイスター伯爵自身は既に爵位剥奪の上、国外追放になっていたが、伯爵夫人はまだ牢で勾留中だった。
フレイスター伯爵夫人、レイヤ第1側妃、そして二人の侍女とフォラン皇女の侍女は賜死。ファーギル・レイズマン子爵は絞首刑。以前会議中に、ルーの力で全身に黒いイバラの印が浮き出た従者も絞首刑。こいつは、レイズマン子爵と王国との橋渡しをして儲けていた事が発覚した。それを重く判断した為だ。
あと忘れてはならないのが、帝都民達に邸の前にゴミを置かれた貴族が3名いた。こいつらは、フレイスター伯爵夫人の子分だった。罪状を公表し、爵位剥奪、邸を売却しないと払えないだろう金額の罰金刑となった。貴族としてはもう終わりと言う事だ。
父はその罰金の半分で、帝都の街道整備と孤児院の援助を。そして、残り半分全てを帝都民に還元した。摘発できたのは都民達のお陰だと言って。
これから貴族は都民に見張られながら生活すると言う事になってしまうな。
それから、第1側妃の娘であり第2皇女のイズーナ・ド・アーサヘイム。父は友好国への留学を打診していたが、本人の希望でシスターになる勉強をする事になり既に教会へ入っている。
そして俺が泣き喚いた原因の第3皇女のフォラン・ド・アーサヘイム。俺を湖に突き落とした実行犯だ。かなり我儘な皇女だったらしく、難有りの令嬢の受け入れ先になっている修道院に入る事が決まった。
この修道院は、北の果ての山脈近くにある湖の中程に浮かぶ小島へ建てられた修道院で、一度入ると死ぬまで出る事は出来ない。周りは湖だから脱走もできない。女子刑務所みたいなもんだ。
俺は仕方ないと今は思う事にした。この二人は、既に帝国中に母親とフォラン本人の罪状が明らかになっている。普通には暮らせない。教会や修道院で、ただ心穏やかに暮らしてくれる事を祈るばかりだ。
最後に、王国の工作員5名。この5名を、クーファル・ド・アーサヘイム第2皇子と父の側近セティ・ナンナドルで王国まで送り届けたらしい。
ある意味、最強最悪の二人だ。二人共、とんでもなく頭がキレる。おまけに弁が立つ。
王国の国王は知らぬ存ぜぬで言い逃れをしようとしたらしいが、逃さなかった。2人して、ガンガン攻めて攻めまくった。全ての証拠を突き付け、それでも言い逃れをするなら、一切の貿易は取り止めると言った。
帝国は王国と貿易をしなくても正直然程困らない。まあ、貿易利益は減るので損失にはなるが。
しかし王国側は死活問題だ。食料は勿論、燃料や魔道具、装飾品も質の良い物は帝国に頼っている。
今の国王は自国で努力する事をあまりしない。当然、困るのは王国。そして二人は国王に一筆書かせて帰ってきた。
先10年間の関税の撤廃。
今後何があっても帝国に手を出すな。
もしも破った場合は、空から魔法の火の玉が降ると思え。
と、言い放ってきたそうだ。実際に超ド級の火の玉を出して見せたとか、見せていないとか。本当かどうかは知らない。
この二人、国王と謁見してまず最初の一言が……
『よくも我帝国第5皇子を殺そうとしてくれたな!』
と、凄んだらしい。本当かどうかは知らない。
うん、人間知らない方が良い事も沢山ある。俺は聞き分けの良い3歳児だからな。
「さあ、リリ。城へ帰ろう!」
「リリ、何してるの。帰るわよ!」
「はい、とーさま! かーさま!」




