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388ーepilogue 1

今迄、読んで頂き有難うございました。

ラストです。2話続けてどうぞ。

「リリ! アウルだよ。分かるか?」

「ルー…… アウル……?」

「リリ様! リリ様!」


 アウルースが今にも泣きそうな顔をして俺を見ている。


「アウル…… また来たのか」

「何度でも来ます。リリ様、しっかりして下さい」

「アウル…… 有難う。ユキも有難う」


 アウルースが、ルーを見る。ルーがポンッと光って消えた。


「やっと……やっと帰れるのですね? 皆心配して待ってますよ」


 何だ? 帰れる? 待ってる?


「……アウル……?」

「リリ様…… 父さん……!」


 アウルースが俺の手を握って言った。今、確かに父さんと言った。

 アウルースの目から涙が零れ落ちた。


「……!? アウル……まさか」

「俺だよ、陽輝だ」

「いつ……思い出したんだ?」

「父さんが倒れた時に思い出した。その時にルー様から詳しい事を聞いた」

「そうか…… 悪いな」

「何言ってんだよ。父さん、流石だよ。父さんには敵わないな」


 泣くな。アウルース、泣くんじゃないよ。笑ってくれ。


 アウルースは、辺境伯領が意外に快適であった事、しかも光属性を持っていた事と元皇族のフィオンが前面に出た事で守られて、記憶を戻す程の事がなかなかなかったそうだ。


「ギリギリだよ。父さんが倒れてやっと思い出したんだ。ルー様に、遅い! て、言われたよ。父さんが、食も住も色々改革してくれていたから、快適に暮らせていたんだよ」


 ハハハ。それだけ幸せだったんだな。良かった。フィオンにも感謝だな。



「ルーに全部話してある…… 陽輝、すまんな…… 」

「父さん!」

「アウル、私はリリだよ」


 俺は微笑んで、アウルースを見つめながらゆっくりと顔を横に振る。周りの従者達に気付かれてしまうだろ。

 お前はまだこの世界で生きて行かなければならない。自分の事を話すか話さないかは、じっくり考えてからで良い。


「……ハハ、リリ様。本当に敵わない」


 その時、部屋の外からバタバタと音がした。

 ドアが開くと、皆の顔が見えた。ああ、みんな来てくれた。嬉しいよ。


「リリ!」

「リリ様!」

「リリアス!」


 あー、もう皆うるさいよ。もう少し声を抑えてくれないか? 一気に賑やかになったな。

 オクソールや、リュカ、ニルまでいる。もう、おじいちゃん、おばあちゃんなのに転移してきたのか? ルーは無茶をする。


「リリ、僕の力ならどうって事ないさ」

「ルー…… 違う。ルーの力の事じゃない」

「お? そうか?」


 アハハハ、馬鹿だなぁ。

 でも、嬉しいよ。皆に看取ってもらえて俺は最高に幸せだ。


 俺の兄弟、その子供達、仕えてくれたみんな。心から有難うを言うよ。


「リリ! まだ一緒に遊ぶんだよ! で、クーファル兄上に一緒に叱られるんだ!」


 フォルセがベッドの中の俺に抱きついてきた。そうだな、フォルセ。歳をとっても妖精さんだよ。そんなに泣かないでくれ。

 フォルセとは一緒に色々やったな。楽しかったよ。変わらずいて欲しい。


「リリアス、まだ役目は終わってないぞ!」


 フレイ、もう充分だ。俺はよく働いたぜ? フレイだってもう引退しているじゃないか。俺ももう良いだろう。


「リリ、もう叱らないから元気になるんだ」


 クーファル、1番頼りにしていたよ。

 いつも、嫌な役目をさせてしまって悪かった。何をしていても、クーファルがいると安心だった。ありがとう。最後まで、あの洞窟の中での事を話せなくてすまない。


「リリ! まだ手合わせしてないぞ!」


 テュール、無茶言うな。もういい歳だろう。4人の息子達とすると良い。

 テュール、俺がいなくなったらフォルセを頼むよ。


「リリアス殿下、また一緒に馬に乗りましょう」


 オクソール、お前には本当に世話になった。何度命を守ってもらったか分からないな。オクソールは俺をよく理解してくれていた。いつも話を聞いてくれてありがとう。


「リリ殿下! 殿下!」


 リュカ、泣くなよ。涙で顔がグシャグシャだ。爺さんになっても、可愛いとこは変わらないな。俺のヒマ友よ、有難う。


「リリアス殿下、まだまだですよ」


 ニル、1番世話になったな。ありがとう。俺の一生に1番関わってくれたのはニルだ。もう一人の母の様で姉の様で、ニルには心から感謝しているよ。


「殿下! 殿下! まだ早いです!」


 ラルク、よく仕えてくれた。結構、放ったらかしにしていたのに、それでも側にいてくれて有難う。


「リリ様」

「アウル、兄上達、皆……ありがとう。幸せでしたよ。私は本当に幸せでした。ありがとう」


 うまく笑顔を作れたかな? 俺は静かに目を閉じた。





「アウルー! アウルー!」


 辺境伯邸の裏にある5本の光の樹の下で、リリ様が10歳の時の姿で肩にルー様を止まらせて私を呼んでいる。そばにはユキもいる。

 弾ける様なピカピカの笑顔で、大きく手を振っておられる。

 ああ、懐かしい。初めて会った時のリリ様だ。ピカピカでポカポカの皇子様だ。


「ボクはリリだよ! アウル、一緒に遊ぼう!」


 小さなアウルースが、嬉しそうに満面の笑顔でトテトテ走りながらリリを追う。小さな足と身体で必死に走っている。


「リリしゃまー! 待ってー! もう置いてかないで! リリしゃまー! リリしゃまー!!」


 アウルースがボロボロと涙を流しながら走っている。アウルースがいくら走っても、リリとの距離が縮まらない。手を伸ばしても届かない。リリは光と共に消えて行った。




「あぁ……夢か。夢を見ていたのか。リリ様…… 父さん。こっちの世界では、会う前から憧れてたんだ。まさか、リリ様が父さんとは思わなかったよ。

 見た目が別人すぎるだろ? 誰が気付くんだよ。ありえねー! て、ボヤいてそうだ。父さん、お疲れ。立派だったよ。自慢の父だ。

 父さん、いやリリ様が逝ってから、ユキはフォルセ殿下と一緒にいるが、ルー様は誰が呼んでも出てこられなくなった。もうお目に掛かる事はできないのだろう。

 リリ様、あなたは私の希望であり、道標でした。リリ様、お会いしたいです。

 私は、この辺境の地を守っていきます。それが帝国を守る事になるのだと、信じております。私が、そちらに行ったら褒めて下さいますか? リリ様。またお会い出来る日まで……」


根気よく誤字報告して下さった方々、ありがとうございました。

ブクマ、評価、いいね!して下さった方々、本当にありがとうございました!

また、閑話を投稿するかも知れませんが、とうとう、最終話になりました。

皆様が読んで下さったお陰で、最後まで続ける事ができました。本当にありがとうございました!

リリ達のお話を読んで下さって心より感謝を申し上げます。

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