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382ーシオン先生

「リリ殿下、何をするのですか?」

「アーシャ、オクの事は知ってるよね?」

「もちろんです! 帝国最強の騎士です!」

「アハハハ、そうだね。オクは僕の剣の師匠だ。アーシャとアウルを少しだけ見てもらおう」

「殿下! 嬉しいです!」

「2人共、始めは師匠には何て言うのかな?」

「「よろしくお願いしますッ!」」


 あー、もう! 2人共、ピシッと気を付けしちゃって超可愛い!


「ね、ね、リリ。この可愛い子たちは何なの! 可愛すぎじゃない!?」

「ね、フォルセ兄様。ですよね!」

「はい、宜しくお願いします。まだお二人共小さいので、どれだけ身体を動かせるか見てみましょう」

「「ハイッ!」」


 アウルースがハイッ! と返事をしながら、片手をピシッと上げている。アウルース、手を上げなくても良いんだよ。プクク。


「もう、リリ。笑っちゃ駄目だよ」

「フォルセ兄様、だって。僕はもう可愛死しそうです」

「何? 新しい死因なの!? うぅッ! 可愛い死するぅ〜て? アハハハ」

「フォルセとリリって、良いコンビだな。さすが、兄弟の可愛い担当の2人だ」


 テュール、遠い目をして何言ってんだ?



 リュカが持ってきた子供用の木剣を持ってオクソールに指導してもらっている2人。俺も使っていた子供用の木剣。あんなに小さかったんだなぁ。なんて、思ってしまう。懐かしいや。


「ね、リリ。あの子供用の木剣、懐かしいね」

「はい、フォルセ兄様」

「昨日の事の様だよ。リリが、あの子供用の木剣で一生懸命オクソールに打ちこんでいたよね」

「フォルセ兄様、見ていたんですか?」

「時々ね。兄上達もこっそり覗いてたよ」


 うわ、マジかよ。超恥ずかしいじゃねーか。


「止めて下さい。マジで」

「アハハハ、そう? だって超可愛いんだもん。リリだって、アウルを見ていて可愛いと思うでしょ? 僕達は兄弟だから余計だよ。歳も離れているからね。可愛いくて仕方ないんだよ」

「フォルセ兄様、そんなものですか?」

「そうそう。いくつになっても可愛いんだよ」


 フォルセがなんだか年上に感じる。いや、実際に年上なんだが。

 俺は意識していなかったけど、いつも兄達に守られていたんだな。なんて、思うよ。


「リリさまー!」


 おや、アウルースが手を振っている。どうした? 2人が駆けてきた。


「リリ殿下! 褒めてもらいました!」

「ボクもです! リリさま!」

「アーシャ、アウル、それは良かったね。オク、2人はどうだった?」

「はい。まだお小さいですから。木剣に振られてますが、お上手でしたよ。

 アンシャーリ様はお好きなだけあって、よく見ておられるのでしょう。頭の中に形があるのでしょうね」

「へえー、アーシャ凄いね!」

「リリ殿下、ありがとうございます! 楽しいです!」

「そっか。それは良かった! アーシャのお父上も強いから、教えてもらえたら良いね」

「はい! リリ殿下!」


 いやぁ、元気だなぁ。オーラが違うよ。て、見えねーけどさ。そんな雰囲気て話だ。


「リリさま、次は魔法を教えてください!」

「うん、アウル。基本から練習しようね。」

「はい!」

「リリ殿下! わたしも!」


 はいはい。おじさんは何でもするよ。喜んで教えちゃうよ。


 次の日。俺は、アンシャーリとアウルースを連れて魔術師団の詰所にシオンを訪ねた。2人に指南してもらう為だ。

 今日も、保護者としてアルコースが一緒について来ている。


「リリアス殿下、宜しいのでしょうか? なんだか、こんなチビ達に勿体ない気がします」

「え? どうして? 僕がシオンに教えてもらう様になったのも、同じ様な歳だったよ」

「いやいや、殿下は特別ですから」

「アルコース殿、子供はみんな特別だよ。可能性の塊だ」

「なるほど。確かに」

「でしょ? 駄目なら止めておくけど?」

「いえ、殿下。駄目な事はないです。有難いです。宜しくお願いします」

「あれ? もしかして、アルコース殿緊張してる?」

「まあ、普通はしますよね。なんせ、副師団長殿ですから」


 あら、そうかよ。でも大丈夫だよ。

 シオンは、予想通り快く指導を引き受けてくれた。


「お二人共、いいですか? お腹の下辺りにホワッとしたものが感じられますか?

 確かにそこにあると認識……いえ、分かる事が大切ですよ」


 シオン、小さな子に慣れてないのか? 言葉を言い直したな。そうだよ。出来るだけ簡単で単純な言葉で説明してやってほしい。

 結果を言うと、2人共筋が良かった。シオンが説明すると、直ぐに魔力を感じられる様になり、アウルースは身体中に動かす事も出来た。

 ん? ふと横を見ると、アルコースも一緒にやってるよ。真剣だよ。


「リリアス殿下、アルコース殿、素晴らしいです! このお二人は才能がありますよ。どうですか? 将来は魔術師団に入りませんか?」


 シオンにそんな事を言わせてしまう位だった。でもシオン、勧誘はしないでね。


「リリさま、魔力量を増やすのはどうするのですか?」

「ああ、アウル。魔力はね、使ったら自然に回復するんだけど、ギリギリまで使うと次に回復する時に少し増えるんだ。だから寝る前に、後1回位は使えるな、てギリギリまで使い切るんだ。

 気をつけないといけないのは、全部使い切っちゃうと駄目なんだ。頭が割れる程痛くなって倒れてしまうらしい。それに、魔法が使えなくなってしまったり、体力もなくなってしまう事があるんだ。見極めが大事だから、絶対に1人でやっては駄目だ。まだ2人共、小さいからね。

 ギリギリまで使ってから寝ると、朝になったら自然に回復している。前の日より少しだけ魔力量が多くなってね。それを、繰り返すんだ」

「ひょぉ〜! 凄いです!」

「ほぉ〜!」


 ほぉ〜!て、アルコース。一緒になって感心してんのかよ!? 大丈夫かよ。

 てか、やっぱ親子だ。アウルースと2人似ている。同じ顔をして感心してるよ。

 この、魔力量を増やす方法は紙一重なんだ。普通の生活をしていれば、そこまで魔力量を増やす必要はないからな。

 前皇帝がスタンピードの時に倒れたのもすべて使い切ってしまったからだそうだ。

 俺はまだ生まれてなかったから、ルーから聞いた話だ。


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