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378ー鑑定

「リリさま、ボクも役に立ちたいです!」

「アウル、先ずは自分を守れる様にならなきゃ。アウルの父様も母様もみんな強いからね」

「はい! それに、ボクが転移門を使える様になったらいつでもリリさまに会いに来れますね!」


 アウルース、本当に良い子だ。いつか、アウルースに話せると良いな。俺が死ぬまでに、話せれば嬉しいな。


 ――コンコン


「失礼致します。おや、皆さんまだ召し上がっておられないのですか? 冷めてしまいますよ。さあさあ、食べて下さい。デザートも持ってきますからね」


 シェフ、ドアの外で頃合いをみていただろう。タイミングがバッチリだよ。

 なんせ、シェフはドアの外で気配を消して様子を伺う事に関してはプロだからな!


「そうだよ。食べよう」

「そうね、頂きましょう。パーティーでは殆ど食べられなかったもの」

「はい、母さま。リリさま、いただきます!」

「ほら、みんなも食べよう! シェフ、ユキは?」

「まだ厨房ですよ」


 ああ、きっとまた凄い沢山食べているんだろうなぁ。ユキさんは、食欲旺盛だから。

 アウルは、嬉しそうに大きなお口をあけて食べる。美味しそうな顔をして食べる。2歳の頃から変わっていない。

 そうか、こんな所も一緒なんだ。すっかり忘れていたな。


「ほら、アウル。お口に入れ過ぎなのよ。お口の周りが汚れているわ」

「母さま、だって美味しいんです」

「美味しいのは分かったから、拭きなさい」

「母さま、モグモグ……いいんです。どうせ汚れるから、食べ終わったら拭きます」

「もう、アウルったら。またリリと同じ事を言ってるわ」


 アハハハ。本当だ。こんな所も変わっていない。このまま、素直に真っ直ぐに育って欲しい。俺は、心からそう願うよ。



 食事を終えて、俺達は辺境伯一家が使っている客間に移動した。

 さっき、アルコースとフィオンと話していた子供達の鑑定をする為だ。

 アウルースは、ちゃっかり俺の隣を陣取っている。まだ、小さいからソファーに座っていても下に足がしっかり届いていない。

 両手をお膝において、お行儀良く座っている。が、顔は隣の俺を見ていてニッコニコだ。


「アウル、どうしたの?」

「エヘヘ。リリさまの隣です」


 可愛い! 何度も言ってるけど、こんな可愛い生き物がいるのか? て、程可愛いぜ! 思わず、頭を撫でてしまうよ。


「リリさま、髪伸びましたね」

「ああ、髪ね。短い方が良いんだけど、僕の髪はアウルみたいにサラサラじゃないからね、短いと朝起きた時に爆発するんだ。だから、面倒だけど伸ばしたんだ」

「爆発ですか!?」


 お? 驚いているぞ。パッチリお目々がより一層大きくなっている。


「そう、爆発。寝癖が凄いつくんだよ」

「でも、リリさまの髪はキレイです。キラキラしてます」

「何言ってんのー。アウルの髪だってピカピカじゃないか。しかも、サラサラだ」

「エヘヘ。ピカピカですか? リリさまと一緒!」

「二人で何を言ってんのかしら。アウルは本当にリリを好きなのね」


 アウルースの隣にいたフィオンが呆れているぜ。


「母さま、当たり前です! 母さまだって、リリさまが好きでしょう?」

「そうね。アウルもリリも大好きだわ」

「エヘヘ」


 何なんだ、この母子は!? 可愛い死するぜ! アウルースの弟は大人しくアルコースに抱っこされている。少しおネムか?


「お待たせしてすみません」


 アスラールが入ってきた。二人の小さな令嬢と奥方も一緒だ。


「リリアス殿下、ご無理をお願いして申し訳ございません」


 アラウィンが頭を下げてくる。


「いえ、僕は全然構わないのです。しかし、帝国に関する事なので……」


 と、話しているとフレイとセティ、デュークが部屋に入ってきた。ドアの前に、オクソールとリュカが並んで立つ。ラルクは俺の後ろだ。

 食事を終えて戻ってきていたユキが珍しく俺の足元に寝そべっている。

 デュークはフレイの側近だ。忘れられているかも知れないので念の為。


「辺境伯、私達も立ち会わせてもらう」

「フレイ殿下、勿論でございます」


 フレイ、次期皇帝。もう既に威厳がある。


「先に、アウルースを鑑定したそうだが光属性を持っていると聞いた。辺境伯、どう扱う?」

「フレイ殿下、扱うも何もどの様な属性を持っていようとアウルースは私の大切な孫です。慈しみ愛情をもって、今迄と変わらず育てて参ります」

「そうか。その言葉を忘れぬ様にな」

「はい、フレイ殿下」

「アウルース、お前はリリに魔法を学びたいそうだが、まだ5歳だ。そんなに早く学んでどうする? 普通は10歳の鑑定の儀の後からだ。それからでも遅くはないと思うが?」


 アウルース、分かるか? 答えられるかな?


「フレイ殿下、ボクはお祖父さま達やみんなのお役に立ちたいです。リリさまみたいにはできないですが、でもボクは守ってもらうだけなのは嫌です」

「家族と領地を守りたいか」

「はい、フレイ殿下。領地を守る事が、国を守る事になるといつもお祖父さまが言ってます」

「なるほど。そうか」


 アウルース、大きくなったなぁ。しっかりしてるよ。気負いせずに、フレイに答えている。

 アッと言う間に成長するんだなぁ。おじさんは泣きそうだよ。


「アルコース、フィオンお前達はどうだ?」

「恐れながらフレイ殿下。私達はアウルースの意思を尊重したいと思っております。

 今、アウルースが申しました様に辺境の地を守る事が、帝国の平和に繋がると思っております。その為にアウルースだけでなく、皆で力を合わせて守り抜こうと考えております」

「フレイ兄上、ご心配には及びませんわ。辺境伯領が今平和で、私達が幸せなのはリリや兄上達のお陰なのですから。私達皆で、辺境の地を守って参りますわ」

「そうか、分かった。セティ」

「はい、フレイ殿下。皆様、私から一つ要望が御座います。

 今日、リリアス殿下が鑑定された事も内容も他言無用にお願い致します。

 普通は10歳の鑑定の儀まで知ることのできない事ですので。辺境伯だけ特別にと思われる事は避けたいのです」

「勿論です。お心を煩わせてしまい申し訳ありません」

「辺境伯。確認しておきたかっただけだ。そう、気を使うな。じゃあ、リリ」

「はい、兄様」


 じゃあ、誰から鑑定しようか?


「リリ殿下、わたしからお願いします」

「アーシャ、分かった。アーシャ、どんな属性でも優劣はないんだ。何でも使い方だ。使い方を間違えてはいけないよ。分かるかな?」

「はい。リリ殿下」

「よし、じゃあ見てみるね」


 俺はアスラールの長女アンシャーリから順に子供達を鑑定していった。

 


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