377ー魔力量
「フィオン姉様、アルコース殿、もしアウルが光属性を持っていたらどうなりますか?」
「リリ、私達の気持ちは何も変わらないわ」
なるほど。母だな。
「じゃあ、持っていなかったら?」
「リリ、もちろんどうもならないわ」
なんだ? じゃあ、どう言う事だ?
「リリ。さっきも言った通り、光属性を持っていてもいなくてもアウルは私達の子よ。変わりないわ。
そんなんじゃないのよ。ただ、知っていたいの。そして、アウルが望む事を一緒に考えていきたいのよ。
それに、何よりもサウエル家のためになるわ。不安な種があるとも言ったでしょう?」
そうか。両親の気持ちが変わらないならいいかな。
「じゃあ、見ますよ」
「はい。殿下、お願いします」
「リリ、お願い」
「アウル、良い?」
「はい! リリさま!」
じゃあ、見てみようか。
『鑑定』
俺は、アウルをじっと見た。そうか、やはりな。そりゃそうだよな。俺は、きっとそうだろうと思っていたさ。
「姉様、アルコース殿。アウルは光属性を持っています。しかも、そこそこ強いです」
「リリさま!」
アウルが俺に抱きついてきた。
「嬉しいです! リリさまと一緒!」
「アハハハ! アウル、そうだね。一緒だ」
可愛いなぁ。あんなしっかりと考えを言うのに、俺と一緒だと喜ぶなんて。可愛いすぎるぜ。
「リリ、どれ位強いのかしら?」
俺は、アウルの鑑定結果を伝えた。
アウルは光属性を持っている。だが、今は魔力量がまだMAXではない。将来的には、もっと増えるだろうと。
「魔力量は、まだこれから増えますし、増やせます。そうですね、今の魔力量はどう例えれば良いかなぁ」
「リリさま、お花は咲かせられますか!?」
「アウル、それは無理だ」
「あー、残念です」
アハハハ、アウルースが小さな肩を落としているよ。しかしアウルースは、花に拘るなぁ。そんな事、別に拘らなくて良いんだよ。
「アウル、魔法が使えても使い方を間違えたら駄目だ」
「はい」
「リリ、どれ位強いの? 私達が気をつけないといけない事はあるのかしら?」
「強いと言っても……どう説明したら良いかなぁ。そうだ、魔法をちゃんと勉強すれば、今でもヒールは余裕です。ハイヒールも可能でしょう。でも、エリアヒールはできても、エリアハイヒールは無理です」
「リリ、転移門はどうかしら?」
「ああ、そうですね。アウルースの力で転移門を稼働させる事は可能でしょう。しかし、可能だと言うだけです。何人も転移させる事はまだ無理です」
「リリアス殿下、それでも凄いです。では、アウルが殿下の代わりに魔力を補充できたりするのですか?」
「アルコース殿、そうですね。今はまだ無理です。でも、例えば僕はしょっちゅう行けないので一度に目一杯補充しますが、アウルなら毎日少しずつ補充できる位にはなるのではないでしょうか?」
「そんなに違うのね」
「姉様?」
「ああ、違うのよ。改めてリリの凄さにちょっと驚いたのよ。だってリリは5歳の時に転移門を修復したのだから」
あー、そうか。そうなるのか。
「リリさま、魔力量はどうやって増やすのですか?」
「アウル、待って。フィオン姉様、アルコース殿、もう教えても良いのですか?」
「リリ、早く覚えると悪い事があるの? 身体に影響があるとか」
「ありませんよ。僕は3歳から魔法を使ってます。魔力量を増やそうともしていましたね」
「3歳!? リリ、そんな事私は知らなかったわ。父上や兄上達は知っているのかしら?」
「どうでしょう? 魔法が使える事は知っていますよ。母様も一緒にいましたし、父様の目の前でバインド位ならした事があったかな?
魔力量を増やす事は、シオンには話したのでクーファル兄様は知っているかも知れません。あ、なら父様も知っているのかな?」
「リリ、そのシオンて誰かしら? 私は知らないわ」
「魔術師団の副師団長です。クーファル兄様に紹介してもらいました」
「もう! クーファル兄上はいつも内緒にするんだから!」
「フィオン、待て。それは今は置いておこう。リリアス殿下、他の属性はどうですか?」
「ああ、そうですね。火と土と風と水ですね。」
「まあ!」
ん? 何だ? フィオンが驚いている。
「フィオンと私が持つ属性です」
ああ、そうか。フィオンが火と土で、アルコースが風と水だ。
「母さま、父さま。ボク、リリさまに魔法を教わりたいです! 駄目ですか?」
「リリ、こちらにいる間だけでもどうかしら?」
「僕は構いませんよ。アウルが城にいる間は一緒にいようと思っていましたし」
「リリさま!」
あらら、アウルースがキラキラした目で見つめているよ。
「アウル、急がなくていいんだぞ?」
「父さま、急いでません! 逆です! 今迄我慢してました!」
「まあ、良いんじゃないかしら。どうせリリの側を離れないでしょうし」
いやいや、フィオン。俺もアウルの側を離れないよ?
「じゃあ、リリさまはボクの師匠ですね!」
アウル、なんて可愛い事を言ってくれるんだ! しかも、満面の笑みだぜ。
「アハハハ! 僕がアウルの師匠なの? 嬉しいなぁ!」
「リリさま! ボクも嬉しいです!」
「リリアス殿下。厚かましい事ですが、他の子供達も見て頂けませんか?」
「アルコース殿。構いませんが、良いのですか?」
アウルースだけ特別扱いするのもな、とは思うよな。
「リリアス殿下も理解して頂いているとは思いますが、辺境伯領は特殊です。少しでも、守れる力を持って欲しいのです。自分の事も、周りも守れる力を。何も出来なくて後悔するのは辛いですから」
ああ、そうだった。辺境伯領は魔物が出るんだ。万が一の事を考えるとその方が良いのだろう。
ただな、懸念はあるよな。
「アルコース殿、姉様。ただ、何も理解できていない小さな頃に大きな力を持つ事は危険もあります」
力に溺れてしまう事が絶対にないとは言えない。アスラールとアルコースの子供達なら、そんな事はないとは思うが。
きっと、子供達をちゃんと導いてくれるだろうしな。だが、念の為だ。話しておかなければならない。
「リリ、分かっているわ。人の欲望は暴走すると怖いもの」
「はい。私達大人がしっかり見ていますよ」
そうだな。辺境伯一家なら大丈夫だろう。
「そうですね。先ずは、自分で自分の身を守れる位にはなって欲しいですね」
「リリ、そうなのよ。もう二度とスタンピードが起こらないと言う確証はないのですから」
そうだ。実際にスタンピードが起こった30数年前には大変な被害が出たそうだから。
読んで頂き有難う御座います。
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大変ありがたく適用させて頂いております。
また、ブクマ、評価有難う御座います!
救われる思いです。感謝しております!
以前にも、後書きてお知らせした事と思いますが、再度のお願いです。
漢字をひらがなへ。ひらがなから漢字へ変換するかは誤字ではなく、作品の雰囲気作りや、考えがあってそう表記しております。
また、文章表現、作風等の添削はご遠慮ください。
私自身の力不足は承知しておりますが、作品の表現は簡単には変更する事はできません。
どうか、ご了承頂けます様宜しくお願い致します。