375ークーファルの婚姻
クーファルの婚姻式はフィオンの時と同じ城のすぐ近くにある、帝国の大聖堂で執り行われる。当然、大聖堂には光の神を祀っている。
クーファルのお相手、ミリアーナ・アイスクラー侯爵令嬢。俺が5歳からの友達のディアーナのお姉さんだ。
ミリアーナ嬢はフォルセと同級生で、アカデミーの卒業を待っての婚姻だ。
クーファルも、もう29歳だ。相変わらず、人気もあって超イケメンだけどな。
クーファルは俺が1番頼りにしている兄だ。長男のフレイ以外の兄弟は婚姻したら城を出て行くと聞いて、俺は一時落ち込んだ程なんだよ。
しかし、結局は誰も出て行く気はない様だ。
先に婚姻したテュールも城にいる。今迄いた皇子宮ではなくて、別宮にだが。クーファルもそうなる。
皇子宮に残るのが、俺とフォルセだけになるから少し寂しいが、同じ城の敷地内なのでいつでも会える。
「リリ、クーファル兄上蕩けそうな顔をしているね」
横に座っているフォルセが小さな声で話してきた。
「そうですね。卒業まで待ちましたからね」
「ね、同級生だよ。僕は少し複雑だよ。姉上なんて呼べないよ」
「そうか、そうなるんですね。でも、フォルセ兄様。シャルフローラ様や、エウリアー様にも姉上て呼んでないですよね?」
「あ、そうだね。じゃあいいや」
なんだそれは。フォルセは何歳になっても妖精さんだ。フワフワしていて超絶可愛い。
「リリ、なんか急に背が伸びてない?」
「兄様、急には伸びてないです。徐々にです。でも、ラルクの方が大きいんです」
「そりゃ、だってラルクの方が年上でしょ?」
「兄様、1歳だけですよ?」
「あれ? そうだっけ? ラルク、大きいね」
「でしょう?」
あ、母様に睨まれちゃったよ。
「フォルセ兄様、母様が睨んでます」
「あ、怖い。大人しくしとこう」
ペロッと舌を出す。もう、フォルセ超絶可愛いな。
無事にクーファルの婚姻式が終わって、婚姻のお披露目パーティーだ。
沢山の貴族が出席している。クーファルとミリアーナは父と皇后様、ミリアーナの両親と一緒に順に貴族達の挨拶を受けている。
「リリ、もう辺境伯一家とは会ったのか?」
長男で次期皇帝のフレイだ。フレイにも子供ができた。1歳の男の子がいる。
奥さんのシャルフローラは、今二人目を妊娠中で悪阻が酷い時期なので式には出席していたが、お披露目パーティーは欠席だ。
まだ、家族とその側近達しか知らない事だが、フレイの長男には光属性があった。
俺が鑑定したからな。魔力量も普通より多い。フレイはその事が分かって直ぐに側妃は持たないと宣言した。
「光属性を持った皇子が産まれたんだから必要ない」
と、ハッキリ言った。実際、そうなんだから父も皇后も了承した。
実は二人目も男の子だと分かっている。俺が見てしまって、うっかり口を滑らせてしまった。
「リリ、それは言ったら楽しみがないだろう」
と、フレイには言われた。
「まあ、そうか。じゃあ3人目も頑張るか」
だ、そうだ。女の子も欲しいそうだ。勝手にしてくれ。
「フレイ兄様、もう話しましたよ。アウルともしっかり話しました」
「アウル、大きくなっただろうな」
「はい。しっかりしてますよ。相変わらず可愛いですけどね」
「アハハハ、リリはアウル大好きだからな」
「フレイ兄上、アウルってフィオン姉様の?」
「フォルセ、そうだ。フィオンの長男だ」
「ああ、あれだね。贈り物で号泣していた」
「そうです。フォルセ兄様、よく覚えてますね」
「そりゃそうだよ。だって、花を咲かせるなんて事は誰にもできないからね」
ああ、そうだった。辺境伯邸の裏にある光の木と呼ばれている5本の木に花を咲かせたんだった。懐かしいなぁ。
「リリ、アウルの属性は見てないのか?」
「フレイ兄様、見てませんよ。どうしてですか?」
「いや、アウルは持っていそうだろ?」
そうか。そうかな。見てみたいな。
「フィオン姉様に何も言われてないので」
「そうか。フィオンに話してみよう」
「フレイ兄様、止めて下さい。自然に分かるまでいいですよ」
「いや、気になる。辺境伯はきっとアウルが継ぐだろうからな」
うわ、フレイ。それを言ったら駄目だろ?
「ん? リリ、どうした?」
「フレイ兄様、それは言ったら駄目ですよ」
「そうか? しかし、アスラもそう思っているぞ?」
そうなのか?
「フレイ兄様、でもアスラ殿は挑戦すると言ってましたよ?」
「リリ、挑戦て意味分かってるのか?」
「はい。挑む事です」
なんだよ。分かってるぜ?
「フレイ兄上、リリは天然ですから」
「フォルセ、そうだったな」
「リリはそのままでいいよ。変わらないでいて欲しいな」
「ああ、本当にな」
兄二人よ。俺は成長しているんだぜ。
「リリ。フレイ兄上、フォルセ」
「クーファル兄様、おめでとうございます!」
「クーファル、おめでとう」
「クーファル兄上、おめでとうございます」
「有難う」
「あー、俺だけ放っておかないで下さいよ! クーファル兄上、おめでとうございます!」
「テュール、有難う」
「クーファル兄様、おめでとうございます」
「フィオン、久しぶりだね。わざわざ有難う」
おー、久しぶりに兄弟が全員揃ったよ。
「テュール、婚姻の時に来れなくてごめんなさいね」
「フィオン姉上、気にしないで下さい。妊娠中は気をつけないといけませんから」
テュールが、あの叔祖母様の孫娘との婚姻式の時には、フィオンは二人目がお腹にいて欠席だったんだ。
だから、兄弟全員が集まるのは本当に久しぶりだ。何か嬉しい。
「フレイ兄上もフィオン姉上も子供がいるんですもんね。何か信じられないや」
「フォルセ、貴方呑気な事を言って。次はフォルセでしょう?」
「姉上、僕は想う人ができるまでしないと公言してますから」
「そんな事関係ないわよ。ご令嬢方はフォルセを狙っているわ。令嬢達は強かだから」
「えぇー! やだやだ。リリ、助けて」
「フォルセ兄様、頑張って下さい。分かっていた事ですよ?」
「やだ、リリったら冷たいね。ずっと二人で仲良くしようね、て言ったのに」
それは置いておいて、フォルセが令嬢方にロックオンされているのは事実だな。
「クーファル兄様、幸せそうですね」
こんな穏やかなクーファルは初めて見たぜ。
「リリ、有難う。リリも幸せにならないとね」
「兄様、僕は今でも幸せですよ?」
「リリ、それは意味が違うよ?」
「クーファル兄上、リリは天然ですから」
フォルセ、天然てさっきも言ったぞ。
誤字報告、有難う御座います!
何であんなミスをしたのか。助かります。有難う御座います。
ラストが近付くにつれて不安が大きくなります。
あともう少しです。
最初から読んで下さっている方々、本当に有難う御座います。
どんなラストでも、どうか大らかな気持ちで読んで頂けますようお願いします。
ブクマ、評価して頂けると勇気がでます!
有難う御座います!