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369ー洞窟



 リュカを先頭に洞窟を進む。

 もちろん、俺はサーチと鑑定をしながらだ。洞窟の壁が普通の岩盤ではない。これは何だ? 見た事がないぞ。


「殿下、魔鉱石です」

「オク、魔鉱石て?」


 ここに来て、超ファンタジーなワードが出てきたな。


「オクソール、本当か!?」


 あれ、クーファルが食い付いたぞ。貴重なのか? 珍しいのか?


「リリ。魔鉱石は、気が遠くなる程の年月をかけて濃い魔素の中で出来る鉱石だ。私も今まで見た事がない。これは、是非持って帰りたいな!」

「兄さま、そんなにですか!?」

「ああ。貴重だが、どこにあるのかも分からなかった」


 マジかよ! どうなってんだ? いや、待てよ。


「兄さま、じゃあ此処は魔素が濃いのですか?」

「そうなるのだが。しかし、魔鉱石が出来る程の魔素濃度だと私達は平気ではいられない筈なんだが」

「殿下、今は薄まっている様です。人体に影響はありません」

「オクソール、そうなのか。獣人は大丈夫だろうが、普通の人間だと魔素が濃すぎるのは害だ」


 ん? なんかルーに言われた気がするな。獣人にとっては多少の魔素は傷を治したりすると。


「オクとリュカは平気なんだよね?」

「はい。私達は全く。逆に身体が軽くなるような」


 お、おう。さすが獣人だな。


「リリ、壁を少し崩してくれないか?」

「兄さま、そんなにですか?」

「当たり前じゃないか! 少しでも良いから持ち帰りたい!」


 お、おうぅ。クーファル、分かったよ。


『アースショット』


 ――ドドドドッ……!!


 ガラガラと壁が崩れた。


「リリ、有難う!」


 クーファル、本当に嬉しそうだな。

 クーファルとソールが崩れた岩盤を拾っている。


「リリアス殿下」

「オク。来たね」

「はい」


 オクソールとリュカがいち早く反応して俺の前に出た。

 クーファル、ソール。拾ってる場合じゃないぜ。だが……ちょっと待てよ。


「オク、待って。敵意を感じない」

「殿下、しかし」


 洞窟の奥から出て来たのは、真っ白なフサフサの体毛を持った狐だった。


「狐!?」

「リュカ、でも真っ白だよ?」

「殿下、ユキから下りないで下さい」

「オク、でも見たい」

「駄目です」

「リリ、白い狐だね」

「はい、兄さま」

「リリ、私はとても嫌な予感がする」

「兄さま、嫌な予感ですか? でも、敵意はないみたいですよ?」

「そうじゃない。ルー様も真っ白。ユキも白いユキヒョウだ」


 そして目の前に白い狐。ん? いや待て。あれれ? この感じ、久しぶりじゃないか?


「ルー!」


 ポンッとルーが現れた。


「やあ、リリ。久しぶりだね」

「本当だよ。何してたの?」

「まあ、僕も忙しいんだよ」


 ほぉ〜、そうかよ。


「ユキがいるから多少の事は大丈夫だろ?」


 そんな問題じゃあないな。


「リリ、冷たいね。久しぶりなのに」

「ルーが出てきたって事は何かあるんでしょ?」

「ああ。まさか、こんなに早くここを見つけるとは思わなかったよ」

「ルー様、ご存知だったのですか?」

「クーファル、そうだね。まあ、進むといいよ」

「ルー、あの白い狐さん達は?」

「白狐だ。この場所を守っている。ユキ程の能力はないが、神使だ。光の神の使いだよ。リリの魂に気付いたみたいだ」


 出たよ。また光の神関係だよ。

 しかも、俺か? 俺の魂だと? て、事は前世に関係あんのか?


「リリ、どっちもだ」


 ルー、知ってたなら何で教えてくれないんだよ!


「まだ教えるつもりはなかったんだ。まだまだリリには早いと思っていた。もっと大人になってからと思っていたんだ。だが、リリは自力でここにたどり着いた。そう言う事なんだろう」


 意味分からん。何なんだ?

 ルーが黙って洞窟の奥へと飛んで行く。白い狐もルーに続く。


「殿下、もう行き止まりですか?」

「リュカ、違う」

「ああ。この先に古い何かがある」


 ユキが言う様に古い何かがある。俺はユキに乗ったまま、ルーが進む先を見る。おや? 何だ? 白っぽい岩盤か?


「いや、リリ。岩盤ではない。人工的な物だ」

「ユキ、人工的?」


 人工的だと? こんな場所にか? 滝の裏の洞窟の奥だぞ。誰が何の為にこんな所に?


「オク。あれ、見れる?」


 オクソールの『精霊の眼』で見てもらおう。


「殿下、あれが遺跡ですね」


 ルーに付いて行ってたどり着いた場所には大きな白い扉があった。確かに遺跡だ。俺の鑑定でもそう出ている。


「ルー、ここは何?」

「リリ、ここから先はリリだけだ。クーファルやオクソール達もユキもここで待つんだ」


 やっぱな。そう来たか。白狐とか光の神の神使とか言うから絶対に何かあると思ったんだ。

 最近、ルーは何かある時しか出て来ないしな。


「ルー様、いきなり一体何なのですか? リリの安全は!?」

「大丈夫だ。僕も一緒に入る」

「ルー?」

「リリ、分かるか。扉を開けられるか?」

 

 ルーが言った大きな白い扉の両脇に、さっきの白い狐達がお座りをしていた。

 まるで、お稲荷さんの狛犬じゃなくて狛狐? の様にだ。

 あー、なんか嫌な予感がする。これ、絶対に前世に関わる事だよな? 止めておく方が良くない? チラッとルーを見る。


「リリ」

「ルー、分かったよ」


 仕方ない。俺は、ハァ〜と一つ息を吐いてユキから降りて扉を見上げた。

 その白い扉には、転移門の11本の柱にあるものと同じ幾何学模様のアラベスク柄が彫り込まれていた。

 そして柄の中心に、また同じ透明な丸い魔石が嵌め込まれている。

 もう、それだけで何となく分かるだろ。きっと初代皇帝絡みだ。だが、それなら前世はどう関係あるんだ?

 あ、そうか。初代皇帝も日本人だと光の神が言っていたな。

 俺は、手をかざして幾何学模様のアラベスク柄の中心の透明な丸い魔石に魔力を流した。


 ――ゴゴゴゴゴ


 大きな音を立てて、扉が開いた。その先には広い部屋が作られていた。部屋の両脇には転移門と同じ様な柱が立っている。

 そして、中央にはまた幾何学模様のアラベスク柄と魔石があったが、その先は暗くて奥が見えない。まるで、ダンジョンのボス部屋みたいだ。まあ、空気感は全く違うが。

 何かの装置か? まさか、強制的に転移されたりしないよな?


「リリ!」


 クーファルが、叫ぶ様に俺を呼んだ。


「兄さま、大丈夫です。待っていて下さい」


 クーファルが不安でたまらないと言った表情で俺を見ている。

 俺は、クーファルに向かって微笑む。

 ルーが俺の肩にとまる。

 そして俺は、ルーと一緒にゆっくりと部屋に入って行った。


雰囲気が伝わるか、とても不安なのですが。

なんて自分は表現力が乏しいのだろうと思ってしまいました。

なのに、ブクマ、評価して下さる皆様有難うございます!

本当に励みになります!

最終話まで、頑張ります!

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