365ールドニーク
読んで頂き有難う御座います!
そろそろお話が動き出します。
「リリ、どうした?」
「兄さま、とにかく今は調査をやってしまいたいです」
「そうか。で、どうだ?」
「はい。ミスリルは……兄さま、少し戻ります」
俺は、鑑定しながら地図にもチェックを入れ坑道を戻る。
ルドニークが今は横道を掘っていると言っていた。それが右側に逸れている坑道だ。その坑道に入って行く。
「兄さま、この辺です。オクどう?」
坑道の途中で止まってオクソールに確認してもらう。
「はい、この直ぐ奥ですね」
よし、じゃあまた崩すか。
「リュカ、お願い。皆リュカより前に出ないで下さい」
「はい、殿下」
俺は、リュカにマルチプルガードを掛けてもらって、また今迄の鉱山と同じ様に右側の壁に手をつけて土魔法で崩して行く。硬い岩盤はアースショットで一気に割る。
ここは、直ぐだった。ついでに、反対側の壁も同じ様に崩す。
「リリ、両側なのか?」
「兄さま、こっちがミスリル。反対側が金です」
「殿下、本当ですか!?」
「え! ミスリル!? き、金!?」
伯爵もルドニークも驚いてるな。
「見て下さい。これがミスリルです。こっちはほら、ここに金が」
俺が説明する。伯爵とルドニークが近寄って見ている。
「伯爵! マジです! これ! ミスリルに金です! どうします!?」
「ルドニーク、どうするも何もあるんだから掘ろう」
「そうッスよね! スゲー!」
ルドニーク、落ち着こうぜ。鉱脈は逃げないからさ。
「伯爵、地図にチェックしておきました。硬い岩盤に当たったらボクがやったみたいに土属性魔法で崩すと良いです。
無理のない程度に掘り進めば良いと思います。出し過ぎても値崩れしますしね」
「リリアス殿下、ありがとうございます。
それでクーファル殿下、うちの鉱山だけでなくロウエル鉱山とビスマス鉱山にも出たのですよね?」
「もちろんだ。帝国にある鉱山の内、4箇所で見つかった。金鉱脈はここが1番大きいのかな? リリ」
「そうですね。金は此処が1番です。でも、ミスリルはビスマス鉱山ですね」
「そうか。一度、四つの鉱山で話し合いをする方が良いかも知れないね」
「クーファル殿下、これは調整しないといけませんな」
「そうなるね。まさか、こんなに埋蔵量があるとは誰も思わなかっただろう」
だよな。鑑定がないと見つけられないだろう。岩盤の向こうに何があるかなんて普通は分からないからな。
「ミスリルの剣て、夢ですよね!」
「ルドニーク、もう持ってるよ」
「え? リリアス殿下、マジッスか!?」
「うん。騎士団はみんなミスリルだよ。オクソールもリュカもだ」
「マジッスか!? スゲー! 騎士団カッケー!」
ルドニーク、お前さぁいくつだよ。ちょっと言動が若すぎやしないか?
1歳下のオクソールを見てみな? 落ち着いたもんだよ。
「取り敢えず、出ようか」
「はい! クーファル殿下!」
ルドニークの周りに小さな花が飛んでるよ。そんな感じ、てだけだけどな。天然か? 天然だよな?
俺達は事務所に戻ってきた。
ニルさん、俺はりんごジュースが飲みたいの。いいかね?
チラッとニルを見ると、ニッコリしてくれた。ヨシッ!
俺は、マジックバッグからりんごジュースを出して飲む。
「コクコク……コクン」
一仕事した後はまた美味いぜ! だが! これ以上飲んだらきっとニルさんの笑顔が消えるんだよ。だから、我慢我慢。
俺は、マジックバッグにりんごジュースを仕舞った。
「ブフフッ、殿下。おしまいッスか?」
「リュカ。ボクはね、我慢が出来る10歳児なの」
へへん。大人だからな。
「ニル様が見てますもんね」
「リュカ、それを言ったら駄目」
俺は、まだ短い人差し指を立ててリュカに注意する。
「リリアス殿下て、本当に可愛いッスね。あ、失礼な事言ってすんません!」
「ルドニーク、いいけど。でも、可愛いは駄目」
この件何回やってんだよ。もう飽きたぜ。
「ルドニーク、カッコいいと言って」
「クーファル殿下ですか?」
なんでだよ! 俺だよ、俺! もう、いいさ。可愛いでも何でも良いよ。
やっぱもう少しりんごジュースを飲もう。
「コクン……コクン」
「リリ、さっき何か引っ掛かっていなかったか?」
「クーファル兄さま、そうなんです。明日、カール底に出てみても良いですか?」
「坑道の向こう側かな?」
「はい。ユキが何か気になるみたいなんです」
「そうか、ユキが。じゃあ私も一緒に見るよ」
「はい。何があるのか楽しみです」
「そうなのか? じゃあ、危険なものではないんだね?」
「違うみたいですよ。ユキもまだ何かとしか分からないみたいです」
「なるほど。ユキ、分からないか?」
クーファルがニルに抱かれている小さいユキに話しかけた。
「まだハッキリと何かは分からないが、危険ではない」
ユキがそう答えた。
「え? え!? 何スか!? 今、ネコが喋りました?」
フッフッフ。そうかい。ルドニークにはユキがネコに見えるのかい。
「ルドニーク、ネコちゃんじゃないよ」
「リリアス殿下、何なんですか!?」
ふふん。教えてあげようじゃないか。
「ユキ、おいで」
ユキがピョンとニルの腕の中から飛び出して、ブワンと元の大きさになりシュタッと俺の横にきて座った。
「はぁッ!? ヒ、ヒ、ヒョウ!?」
「ルドニーク君、ユキヒョウと言うんだよ。しかも、神獣だ」
へへん! と、俺はちょっと胸を張る。
「ユキヒョウ! 神獣て本当にいるんですか!?」
「我はリリを守護しておる」
「カ、カ、カッケー!! リリアス殿下、なんて隠し玉持ってんスか!!」
「フッフッフ。カッコいいだろぅ?」
「超カッコいいッス!」
ハッハッハー! 超面白い!
「殿下、何遊んでんスか」
「リュカ、だってルドニークて面白いよ。リュカみたいでさ」
「意味分かんないです」
おや、リュカさん。嫌なの?
「殿下、俺の方が年下ですよ?」
「え!? リュカさん俺より年下ですか!?」
「はい。俺は26歳です」
「マジッスか……!?」
「ルドニーク。そこにクールに控えているオクソールも、ルドニークより一つ年下だよ」
「ええー! 殿下、俺より絶対年上だと思ってました! 貫禄ありますもん!」
だろうね。君はね、若いよ。色々とさ。
「いや、オクソール様って、あの有名な騎士のオクソール様ですか!?」
「ルドニーク君、気付くのが遅いね。そのオクソールだよ。帝国最強の騎士のオクソールだよ」
「マジッスか!? リリアス殿下てスゲーですね!」
はいはい。俺じゃなくて周りが凄いんだよ。本当、助かってるよ。
「ルドニーク、明日もお願いね」
「はい! リリアス殿下、いくらでも案内しますよ!」
うん、いい奴だ。きっと可愛がられているんだろうな。
今日は俺達は鉱山近くの町の宿屋で一泊する。明日、何が出るか楽しみだ。
ブクマ、評価有難う御座います!
これからも、宜しくお願いします!