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35ーおや?

 俺の知らない所で色々な事が動いていた……らしい。

 本当、ルーはやめてほしい。そりゃ、気分良かっただろうよ。後日、ドヤりながら話してきた。またいないと思ってたらそんな事してたのか。

 俺、そんな良い子ちゃんじゃないぜ。普通だぜ。ごくごく普通のド庶民よ。


 さて、父と兄の捕物はどうなったのか? 結局、昨日は帰ってこなかったなぁ。と、思いながら俺はソファでボーっとしていた。最近泣きすぎだ。ちょい疲れたわ。幼児ってこんなに泣くのかよ。干からびちまうぜ。



「失礼致します。殿下」

「リェピオス、どうしたの?」

「暫く、お邸からお出にならない様にお願い致します」

「どうして? 何かありゅの?」

「邸近くの街で、流行り病かも知れません」


 流行り病だと……!?


「リェピオス、近くの街って奴隷商のあった街?」

「そうです」

「なんで? いつかりゃ? 症状は?」


 我慢しきれず突っ込んで聞いてしまう。医者の性だね。


「殿下、まだ何も分かっておりません。私がこれから様子を見て参ります」

「リェピオス一人で?」

「いえ、リュカが護衛に付いてくれます」

「そう。あ、もし採取出来りぇば……」

「はい、殿下。水ですね」

「うん、流石リェピオス。でも、気をつけて。口を布で……」

「はい。口を布で覆って手袋に白衣に戻ってきたらクリーンですね」

「完璧。また教えてね」

「はい、殿下。では、行って参ります」


 なんだよ、予防対策マジ完璧じゃん。この時期の病か。まだ肌寒い日もあるから食中毒は考えにくい。インフルか? 朝方は特に肌寒いからなぁ……


「リリ、どうかしたの?」

「かーさま」


 思わず駆け寄りまた抱きついてしまう。どんだけ母親好きなんだよ。て、そりゃそうか、まだ3歳だもんな。自分の3歳の時を覚えてはいないが。いや、これも俺だ。

 母親に手を引かれてソファに座る。


「何か飲まれますか?」

「ニル、有難う。紅茶をお願い」

「畏まりました。殿下はりんごジュースで?」

「うん。ニリュありがとう」

「まあ、リリは相変わらずりんごジュースなのね」

「はい、かーさま。でも少し前にシェフが仕入りぇてくりぇた、とっても美味しいぶどうジュースも飲んでました」

「まあ、とっても美味しいのね」

「はい。初めて飲みました」

「まあ、そんなに?」

「はい、かーさま」


 紅茶とりんごジュースが置かれた。


「ニル、レピオスが来ていた様だけど?」

「はい。近くの街で流行り病かも知れないので、念の為お邸から出ない様にと」

「まあ! 大変。私も行こうかしら」


 えっ!? なんでだよ!?


「かーさま!?」

「殿下、エイル様は回復魔法を使われます」


 なるほどね。だからって、私も行こうかしら。に普通なるか?


「殿下、エイル様はそう言う方です。殿下のお母上ですから」


 なんだよ、ニル。それ、どう言う意味だよ?


「ふふふ。なんだか私よりニルの方がリリを良く分かっているみたいで妬けちゃうわ」


 なんだ、この可愛い生物は!?


「かーさま!」


 思わず抱きついちまったぜ!


「ふふふ。リリも魔法を使える様になったんでしょ?」

「はい、かーさま。るーに教わりました。いつもいないけど」


 その時……ポンッと光が弾けてルーが現れた。


「おい、リリいるよ!」

「だっていつもいない」

「いや居るから」

「邸を襲撃さりぇた時いなかった」

「いや、あの時はだな…… 」

「解呪すりゅ時もいなかった」

「いや、だからな…… 」


 ジトッとルーを見る。ニルも一緒にジトッと見てる。


「リリ、ごめんて!」


 ぷんっ


「リリー!」


 ぷぷんっ


「じゃあ、今日はずっといるから、この前の続きを教えてやろうか?」

「あ、今日はかーさまがいりゅかりゃいいでーす」


 要らないと、片手を前に出す。


「なんだよー!」

「ふふふ! ルー様、リリの母のエイルと申します。大変お力になって頂いたそうで感謝致します」

「あー、やめて。丁寧に話さなくていいから。普通でお願いします」

「あら。でも、ルー様の武勇伝をお聞きしましたよ」

「へっ? 僕の武勇伝?」

「かーさま、何ですか?」

「お城でね、お偉い貴族の方々をギャフンと言わせたんですって。陛下が、見ていて気持ち良かったと仰っていたわ」

「るー、何やったの?」

「リリ、何でそんな目で見るんだよ」

「だってるーだもん。調子にのったんでしょ?」

「いやいや、リリ。僕は精霊だからね。分かる?」

「うん。知ってりゅ……コクン 」

「いや、このタイミングでりんごジュース飲むのかよ!」

「ふふふふ! リリはルー様とお友達なのね」

「かーさま、違います。るー様じゃなくて、るーです」


 俺の可愛い小さい人差し指を見な。横にフリフリしてやるよ。


「まあ! リリったら。ふふふ」


 どーだよ、3歳児は無条件で可愛いだろ? なんてな! 中身はおっさんだけどな!

 せっかくなんで、母も交えてルーに魔法を教わる。


「るー、みんな一度にすりゅのがいい」

「なんだ? 分かんないよ」

「リリ。例えば、ヒールならエリアヒールね。ハイヒールならエリアハイヒール」

「かーさま、そりぇはどの魔法でも使えますか?」

「どれでも、て訳じゃないわ。限られた魔法だけよ」


 おや、けど俺全員纏めて解呪したぞ?


「かーさま、前に解呪した時……」

「ディスエンチャントかしら?」

「はい。エリアつけなかったりぇす」

「ディスエンチャントはエリアとかないわよ?」


 ん? なんだと? じゃああれは何だ?


「あー、あれだろ。リリ、全部纏めてできたらいいなーて思ったろ?」

「うん、るーの言う通り。思ってた」

「それでリリ、できたの?」

「はい、かーさま。19人です」

「19人!? リリなんでそんなハッキリ数が分かるんだ?」

「20人いて最初に一人して、あと残り全部」

「成る程ね」

「リリ、普通は出来ないわ」


 …………おや……?


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