347ー後処理
投稿遅くなりました!申し訳ないです。
ではでは、どうぞ!
次の日、午前中にハルコス親子が帰って行き、夕方近くにクーファルが戻ってきた。
「兄さま、お疲れ様でした!」
「リリ、やっとなんとか片付いたよ」
「人数が多かったですからね」
「そうだね。セティが早目に騎士団を動かしてくれていたから、何とかなったけど」
クーファルと一緒に応接室に行くと、ロウエル伯爵とイルマルがやって来た。
「クーファル殿下、有難うございました」
「クーファル殿下、キース達の村はどうなるのですか?」
「ああ、村長とも話したんだけど」
クーファルが後処理の内容を話してくれた。
ペブルス伯爵が捕まり、爵位と領地の没収は免れないだろうと言う事だった。
ペブルス伯爵は、男爵令嬢の父親ザントス男爵だけでなく、ソニアが監禁されていたリュカの村近くの町の男爵とも繋がっていた。
そして同じ様に、税に上乗せして徴収した分を横領していた。領地が広い分、僅かな上乗せでもそこそこの額になっていたらしい。
逆に、僅かな上乗せだったから発覚しなかったと言う事らしい。それでも、横領には違いない。
そこで、村長と話をした。あの村は元々治めているペブルス伯爵家より、セルジャンの家であるビスマス伯爵家と縁があった。
縁と言っても、村人が帝都の学園に行きたいとか、貴族に仕えて勉強したい等の際はビスマス伯爵家に相談していたそうだ。
だから、キースの両親もビスマス伯爵家に仕えていた。
おかしなもんだ。自分の村を治めている伯爵より、隣領の伯爵の方が頼りにされているとはな。
また、ビスマス伯爵も良い人だ。嫌な顔一つせず、気さくに親身に応じていたらしい。
そんな付き合いが何代も前からあったそうだ。だから、村長の意見としてはビスマス伯爵家に治めてもらうのが自然ではないかと言う事だ。そりゃ、そうだよな。
また、村長が言うには隣村はロウエル伯爵を頼っているらしい。じゃあ、ペブルス伯爵は何をしていたんだ? て、話だ。
領民には頼られず、税を横領して麻薬まで売買して、良いとこないじゃないか。
民はよく見ている、て事だな。
そこら辺を考慮して、領地を決めるそうだ。そこに実際に住む人達が住みやすい事が1番だからな。
どっちの領地にどの村や街が入るにしても、ロウエル伯爵もビスマス伯爵も大丈夫だろう。
そして、キースの村の人達は今回は花を卸した訳ではない。男爵が勝手に大量に持って行ったと言う事でお咎め無しだ。
しかし、花と茎の取り扱いには厳重に注意をする事、村の外には無断で持ち出さない事を厳守する様徹底される事になった。
「リリ、リリの活躍が凄い噂になっていたよ」
「え? 兄さま。ボク大した事は何もしてませんよ?」
「夜中に返り討ちにしたろう?」
「ああ、あれはでも皆知らないでしょう?」
「それがね、リリが最初に攻撃魔法を使った音で村人は皆起きていたそうだ。危険なのに、わざわざ見に行った村人がいたんだ」
「あらら……」
マジかよ。全然気がつかなかったよ。
「真っ白の神獣にのったリリが特大の攻撃魔法で、賊をやっつけていたとね」
「あー、あらら……」
「もう今頃は帝都にも広がっているだろうね」
「うわぁ……やだやだ」
「アハハハ、リリならそう言うと思ったよ」
「兄さま、熱りが冷めてから戻りましょう」
「アハハハ! リリは悪い事はしていないじゃないか」
「でも、兄さま。ボク、そんな噂の中に帰る勇気はありません」
「勇気がいるのかい?」
「はい。騒がれるのは嫌です」
「リリは何でそうなのかな?」
「苦手なんです。目立ちたくありません」
「あんな特大の魔法を使っておいて、それは無理だよ」
「あー……はい」
「まあ、あと2ヶ所調査しなきゃいけないからね。調査を終えて帰る頃には、そこそこ落ち着くんじゃないかな?」
「そうだと良いですけど」
もう絶対に大人しくしようと、思ったよ。やだやだ。
「リリ、早速明日の朝に出発しようと思う」
「はい、兄さま。予定が遅れてしまいましたからね」
「そうだね。あまり長引かせたくはないね」
いや、俺は超ゆっくりしたいぜ。今回の噂が消えるまでな。いざとなったら、転移して帰ろう。うん、そうしよう。
「リリ」
「はい、兄さま。分かってます」
「良い子だね。ロウエル伯爵、長居してしまった。世話になった」
「いえ、クーファル殿下。私達も助けて頂いたのです。村では息子達もリリアス殿下に助けて頂いたと聞いております。有難うございました」
「まあ、ペブルス伯爵と縁が切れていて良かったよ」
「はい。もう本当に」
ああ、ロウエル伯爵。それで責められまくっているからな。ちょっとかわいそうだ。
そう言う事で、俺達は明朝次の鉱山に出発した。
次の鉱山は、ハルコスの父親ビリューザ子爵が管理しているビスマス鉱山で、セルジャンの家の領地だ。
ロウエル伯爵家から3日かけてビスマス鉱山に到着した。