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327ー鉱山へ

いつも読んで頂き有難うございます!

今日は投稿が遅くなりそうなので、1話だけ先に投稿しておきます。

宜しくお願いします!

 まあ、無事で良かったよ。ソニアが行方不明だと聞いた時はどうなるかと思ったけど。

 男爵がしていた事は許せないけど、それでも今発見できて助けられた事は良かったと思うよ。

 俺はもっと精神面で強くならないとな。

 毎回毎回、クーファルにフォローしてもらっていたら駄目だ。


「リリ? どうした?」

「兄さま、いつも有難うございます」

「何だ? 急に?」

「ボクはいつもクーファル兄さまにフォローしてもらってるなぁ、と思ったんです」

「リリの兄だからね。当然だ。リリはもっと周りに甘えても良いんだ」

「ボク、甘えてますよ。兄さまだけでなく、オクにもいつもフォローしてもらってます」

「それで良いんだよ。人、1人の力なんて限られている。出来る者が出来る事をして皆で協力すれば良いんだ」

「兄さま、有難うございます」


 うん。有難い。クーファルもオクソールもいつも有難う。


「殿下! 俺もですよ! 俺にもドンと甘えて下さい!」


 リュカが胸を張って言う。


「ああ、リュカ。気持ちだけ有難う」

「殿下! 何スか、それ! マジで俺も役に立ちますよ!」

「あーはいはい。リュカはヒマ友だからね〜」

「また殿下!」

「リュカ、まだまだ10年は早いぞ」

「ユキまで!」

「リュカ、お前本当に役に立ってんのか!?」

「兄貴! 当たり前じゃんか!」

「殿下はヒマ友と仰ってるぞ?」

「殿下! 何とか言って下さいよ!」

「シェフ、めちゃ美味しいー!」

「アハハハ! 沢山食べて下さい!」


 賑やかに、楽しい夕食だった。



「クーファル殿下、リリアス殿下、是非また遊びにいらして下さい。待っとります」

「ああ、有難う」

「はい、お爺さん有難う!」

「また、殿下方に助けて頂きました。有難うございます! リュカの事、宜しく頼んます!」

「村長、リュカは大丈夫だ」

「村長、また来ます!」


 そうして、俺達は別邸に戻ってきた。

 リュカの家では賑やかだった分、別邸の部屋は静かで少し寂しい。


「殿下、明日は朝が早いです。お休み下さい」

「うん。ニル、分かった。ユキ、一緒に寝よう」

「ああ、リリ」


 ユキさんが小さくなってベッドに入ってきた。

 ユキの体温は人より少し高くて温かい。

 俺は直ぐに眠りについた。



「ゔぇ〜……うぇ、ヒック……うぇ」

「殿下、大丈夫です。もう終わりました」

「ニル……ごめ、ごめん。ヒック……」


 俺はその夜、自分の泣き声で目が覚めた。


「殿下、どうされました」

「オク……大丈夫、うぅ……ごめん」

「殿下、謝らないで下さい。大丈夫です。ニル殿も私もおります。もう終わったんです」

「うん、うん。ゔぅ……」


 オクソールが抱き締めて背中をトントンとしてくれる。

 情けない。いくつなんだよ。何泣いてんだよ。しっかりしろよ!


「殿下、大丈夫です。我慢なさらないで下さい」

「ゔぅ〜、オク……ごめん。ヒック……」


 俺は、オクソールに抱き締められたまま泣き疲れて眠った。


「オクソール様……」

「ニル殿、暫く気をつけておいてもらえるか?」

「はい。もちろんです」

「まだ10歳の殿下には衝撃だったんだろう。それに……」

「オクソール様、それに何ですか?」

「殿下は、初めて人を攻撃された。魔法ではなく、初めて人を殴られたんだ」

「……そうだったんですか」

「ああ。ご自分では分かっておられないだろうが、ショックを受けておられる筈だ。魔物を討伐するのとは違う」

「はい。オクソール様、有難うございます。後はお任せ下さい」

「ああ、頼んだ」


 その夜はまた泣く事はなく、俺は朝まで眠った。



「……ふぅ〜、ニル昨夜はごめん」

「おはようございます。とんでもないですよ。大丈夫です」

「有難う」


 俺は起き上がって身支度をする。

 今日はこれから北に向かう。暫く馬車の中だ。ああ、もう既に帰りたい。母に、アウルに会いたいや。

 俺って、結構弱っちい。情けねー。

 前世、どんだけ平和でぬるま湯だったか身に染みて分かる。


「リリ、おはよう。眠れたかい?」


 食堂に入ると、もうクーファルがいた。


「兄さま、おはよう御座います。大丈夫です。眠れました」


 きっとクーファルは、昨夜俺が泣いて目を覚ました事を知っているんだろうな。


「殿下、おはよう御座います! さあ、朝はしっかり食べて下さい!」

「うん! シェフ、有難う!」


 こんな時はシェフの明るさが有難い。




 馬車の中だ。もう昼前だ。朝からずっと馬車に揺られている。あぁ、外に出たい。


「ニル、ボク午後はオクに乗せてもらおうかな」

「馬ですか?」

「うん。もう馬車に飽きちゃった」

「殿下、まだ半日ですよ?」

「ラルク、分かってるよ。転移玉が使えたらなぁ。パッと行ってパパッと帰れるのに」


 本当に、もう飽きたよねー。マジで。


「殿下、昼休憩をとるみたいですよ」

「ラルク、本当?」

「ええ。先頭の騎士団が街道を逸れてますから」

「そっか。早く降りたいな」

「殿下、まだですよ」

「ニル、分かってるよ」


 今回調査に向かう三つの鉱山。その最初の鉱山まであと2日は掛かる。あぁ、早く終わらせて帰りたいなぁ。

 ん〜、ちょっと気持ちが弱くなってるのかも知れない。いつもより、母に会いたい。俺が何日も城から離れるのはもう慣れた筈だったのだが。

 身体が10歳になった様に、気持ちも10歳に引っ張られているのだろうか。

 

「殿下、止まりましたよ」

「うん、ラルク。早く降りたい!」


 早く、リュカ迎えにこないかな。


「殿下、お待たせしました。昼休憩です」


 来た! リュカだ! ニルに馬車のドアを開けてもらう。


「リュカ! お昼はどこで食べるの?」


 そう言いながら俺は馬車からピョンと降りた。


「殿下、もう馬車が飽きたんですか?」

「うん。飽きちゃった!」


 リュカと一緒に移動する。後ろからニルとラルクとユキがついてくる。


「殿下! お昼ですよ!」

「シェフ! お昼は何?」

「鹿肉のソテーとサラダです!」

「おぉー! 鹿肉、あの!?」

「はい!リュカの村で鹿肉と猪肉を沢山頂きましたからね!」

「うわ! 楽しみだ!」


 クーファルやオクソールはどこで食べるのかな? と、キョロキョロと探す。お、いたいた!


「クーファル兄さま! オク!」

「殿下、どうされました?」

「さては、リリ。もう馬車に飽きたのかな?」

「はい! 兄さま! 飽きました!」

「殿下、まだ半日ですよ?」

「だってオク、飽きちゃったんだもん」

「アハハハ! じゃあ、リリ。午後は兄様と馬で移動するかい?」

「兄さま! 良いのですか!?」

「ああ。久しぶりに乗せてあげよう」

「やった! 兄さま、有難うございます!」


 やったぜ! 午後からは馬だ!


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