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326ーウリ坊

ソニアのお話はちょっと重いお話だったので、ホンワカして頂きたくて書きました!

では、どーぞ!

「フォカ、どうすんの?」

「取り敢えず、連れて帰りましょうか?」

「フォカ、ちゃんと考えてる?」

「殿下、考えてますよ!」

「小さい時から飼えば、もしかしたら懐いたりするかも知れませんよね?」

「リュカ、本当?」

「いや、殿下。分かりません」

「なんだよー!」

「いや、だって殿下。飼った事ないですもん」


 もんじゃねーよ! 可愛くねーよ!


「ウリ坊用の小屋を作りますか?」


 ラルクが提案する。


「なるほど」

「で、飢えたりしなければ大丈夫じゃないですか?」

「なるほど、なるほど」

「殿下、本当に考えてます?」

「リュカ、失礼だね。考えてないけどさ」

「殿下、なんスかそれ!」

「だって考えても分かんないもん!」

「取り敢えず連れて帰って祖父ちゃんにでも聞いてみますよ」

「うん、そうだね。で、どうやって出すの?」

「え……?」

「えぇ……?」

「なんだよ! フォカもリュカも考えてないのー!?」

「もう! フォカもリュカもどいて! 俺が穴に入って抱き上げるよ!」


 話を聞いていた村人が焦ったくなったのか割って入ってきた。で、さっさと落とし穴に入った。


「うわッ! マジで!?」

「あの深さの穴から助走なしでジャンプですか!」


 俺もラルクもビックリしたよ。ピョンと入ってガシッとウリ坊を両脇に1匹ずつ抱えて、そのまままたピョンと外に出てきた。


「スゲーな! お前そんな事できるんだ!?」

「何言ってんだよ! フォカだって出来るだろ!?」

「いや、俺ウリ坊を抱き抱えんのは無理だわ」

「えぇー! フォカ、それでよく飼うとか言ったよね!?」

「え? 殿下、そうッスか?」


 はぁ〜、さすがリュカの兄ちゃんだよ。そっくりだよ。


「フォカ、こいつ持っててくれよ。俺また中に入るからさ」

「お、おう」


 フォカが恐る恐る手を出してウリ坊を受け取る。


「お前、しっかり持っとけよ! 逃げるぞ!」

「おう!」


 マジかよ。へっぴり腰じゃねーか。

 また2匹抱えてピョンと上がってきた。


「ほら、リュカ。お前も持っとけ」

「え!? 俺!?」

「当たり前だろ! ほら、しっかり持っとけよ!」

「お、おぅ」


 リュカもビビってるよ。で、最後の1匹を抱えて上がってきた。

 その時、ユキが近寄って5匹のウリ坊の鼻先に自分の鼻先をチョンチョンとくっつけた。


「言い聞かせておいた。これで暴れたりはしないだろう」


 ユキさん、そんな事も出来んの!? スゲーじゃん!

 ウリ坊を抱えて村に戻る。俺は抱いてないけどな。


「ねえ、フォカ。村の周りに防御壁ないでしょ? 大丈夫なの?」

「大丈夫とは何がですか?」

「ほら、こんなに近くまで猪が来ているなら、畑を荒らされたりしないの?」

「ああ、大丈夫ですよ」

「何で?」

「猪より狼の方が上位なんです。数でかかりますから。だから村の周りに狼の匂いをつけてあるんです。

 ここから先は狼の縄張りだぞと、狼が何頭もいると分かる様に」

「どうやって匂いをつけるの?」

「村の男が交代で獣化して複数の匂いを着けてまわります」

「そうなの!?」


 ここに来て超原始的と言うか何と言うか。


「リリ、さっき我がした事も同じ様なものだ」

「ユキ、お鼻にチョンてしてたの?」

「ああ、お前達より強いユキヒョウがいるぞと教えた」

「なるほど。そりゃ神獣のユキヒョウには敵わないよね」

「神獣でなくても、ユキヒョウの方が強い」

「そうなんだ。じゃあ、ユキに対抗できるのは?」

「オクソール位か」

「そうなんだ!?」

「ああ。獅子だからな」

「あー、なるほど」


 オクソール、自然界でも無敵じゃん。ズリーな。


「まあ! ウリ坊じゃない! あら、殿下!」


 村に入ると、セレーネが途中の畑にいた。


「よう、セレーネ」

「フォカ。これ、ウリ坊どうするの? 食べるの?」


 やだ、綺麗なお姉さんが残酷な事を言ってる!


「食べねーよ! お前残酷だな!」

「え? そう? だって猪美味しいじゃない?」

「セレーネ、まだ子供だぞ? ウリ坊だぞ? こんな可愛いのに食えるかよ」

「あら、そう?」


 やだ、お姉さん怖い。


「殿下、怖くないですよ?」

「う、うん」


 ハハハ、コエーよ。やっぱ女性は逞しい。

 さて、このウリ坊達をどうするかだ。


「飼わないんですか?」


 なんだと? 飼うのが当然の様な言い方だな。


「セレーネ、飼えるのか?」

「フォカ、何言ってんのよ。ほら、私達がまだ小さい頃にウリ坊を飼ってた事があったじゃない。あの時もたしか、フォカが可哀想だとか言って連れて来たのよ。覚えてないの? 本当に?」


 フォカ、マジかよ。


「え? そうだっけ? 俺全然覚えてないぞ?」

「あ〜、そう言えば祖父ちゃん家で飼ってた気がする」


 フォカ、リュカ、お前達兄弟はさ、ボケボケじゃん。


「フォカ、将来はセレーネの尻に敷かれるの決定だね」

「で、殿下! 何言ってんスか!?」


 何真っ赤になってんだよ。ここにもリア充がいたよ。


「祖父ちゃんに聞いてみますよ」


 うん、リュカ。それがいいよ。

 結局、ウリ坊達はリュカのお爺さんの家の裏にある小屋で飼われる事になった。


「で、前に飼っていたウリ坊はどうなったの?」

「殿下、決まってます。美味しく頂きましたよ」


 と、セレーネが微笑む。


「とってもお肉が柔らかくて美味しかったんですよ」


 怖い! 綺麗なお姉さんはやっぱ怖いぜ!


 リュカの家に戻ると、既に宴会の様になっていた。猪鍋が出されている。

 

「殿下、早く座って下さい。猪鍋できてますよ!」

「シェフ、有難う」


 俺はクーファルの隣に座る。


「おお! 良い匂いだ! 母さん! 良い酒出してくれ!」

「もう! 殿下がいらっしゃるのに!」

「アハハハ! ボクに気を使わないで下さい」

「リリアス殿下、大きくなったら一緒に呑みましょうや!」

「はい! また来ます!」

「ああ! いつでも来てくれ! 歓迎するぜ!」

「親父! リリアス殿下になんて言葉使いしてんだよ!」

「リュカ、良いから」

「殿下、すみません。だから嫌だったんですよ」

「アハハハ! みんなで食べよう! みんな一緒に食べよう!」

「さあさあ! 食べて下さい!」


 シェフと村の人達がどんどん猪鍋を運んでくる。クーファルやソール、オクソールにリュカ、ラルク、ユキも一緒に猪鍋をつつく。いや、ユキだけは猪肉の塊を焼いたものだった。


「シェフ! 美味しいー!」

「殿下、有難うございます! これ以上新鮮な猪肉はありませんよ!」

「アハハハ、本当だ!」


 ユキが俺の側で猪肉の塊をガツガツ食べている。


「美味しい! 私は猪鍋は初めてですが、こんなに美味しいものなのですね」


 ラルクも食べている。


「殿下、お疲れ様でした。体調は悪くありませんか?」

「オク、有難う。大丈夫だよ」

「リリ、猪鍋美味しいな」

「兄さま、ボクは初めてですが美味しいですね!」

「ああ。私もこんなに美味しいのは初めてだよ」

「新鮮ですからね! しっかり下処理もしましたし。美味しいに決まってますよ!」


 アハハハ、シェフもちょっとテンション高くなってるな。


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― 新着の感想 ―
[一言] ホンワカしました! いつかは食べられる運命とはいえ、 ウリ坊の時は可愛いですね! 本物は見たことがないのですが、TV等で、見たことがあります。 本当に瓜みたいで、びっくりしました! リリ君た…
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