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317/442

317ー村へ

投稿遅くなりました。

すみません!

 「失礼致します。殿下、こんな時間に申し訳ありません」


 ソールがやってきた。ニルの婚約者だ。


「ソール、構わないよ。何か分かった?」

「はい。リュカは例の魔道具を持ってますので報告してきました。どうやら、村の外へ歩いて行くのを見た者がいたそうです」


 『例の魔道具』とは、あれだぜ。俺が作った離れた場所にいる人と話せるピアス型の魔道具だ。こんな時は超便利だ。


「村を出るのを見たなら、何で引き止めないかなぁ」

「それが殿下、彼女はちょくちょく村を黙って出ていたそうです」

「はあ!? 何それ、危ないなぁ」


 何だそれは? 不良少女なのか? え? 古い? てか、少女て歳じゃねーよな。


「前に狼の獣人だからって奴隷商に捕まった事あるのに」

「殿下、その件なのですが」

「ソール、どうしたの?」

「あの事件の時に、偽の商人を村まで案内したのがソニアだった様です」

「え……」


 おいおい、マジかよ。


「もちろん、彼女は何も知りませんでした。まだ13歳だったそうです。あの時は、村の外に薬草を採取に出ていたらしいです。ミーミユ湖の近くで偽商人とたまたま会って、村までの道を聞かれて案内したそうです」

「何それ」

「村の者はそれを責めている訳でもないそうで、ソニアも騙されたのだろうと。しかし、その頃から少し反抗的な、捻くれている様な態度になったそうです」


 何だよ、それは。負い目がある、て事か?


「リュカには懐いていた様なのですが」

「昼間に少し見ただけだけど、リュカが好きなんだろうね」

「はい。村の者もそう思っている様です。しかし、リュカは……」

「リュカは何?」

「相手にしていないと言うか、他に想う者がいるのではないかと。それはリュカ本人から聞いて下さい」


 そうか。人伝に聞くのは良くないか。そこまで言ったら一緒だろ? て、気もしなくはない。


「ボクも村に行くよ」

「殿下、朝になってからになさいませんか?」

「それじゃ、遅いかも知れないよ? だから、直ぐに探してあげないと」

「しかし、殿下。ご自分の身を守って頂きませんと」

「大丈夫だよ。どうせもう寝られないし。オク、いる?」


 俺はドアの外に声を掛ける。


「はい、殿下」


 やっぱね。オクソールならいると思ったよ。


「オク、リュカの村に行くよ」

「はい、準備してあります」


 さすがだよ、オクソール。


「殿下、呉々もお気をつけ下さい」

「うん、ソール。兄さまには朝まで残ってもらって」

「はい。畏まりました」


 多分さ、クーファルは調べてくれる筈さ。


「殿下、私も」

「駄目。ニルはお留守番。もし来るとしても、兄さまと一緒ね。ソールと一緒に兄さまをサポートして。ああ、それとラルクをお願い」

「分かりました。殿下、これを」


 ニルは俺のマジックバッグをくれる。


「りんごジュース、補充しておきました」

「有難う!」


 ニルもさすがだよ! オクも、ニルも俺の事をよく分かってるね。


「ユキ、お願いします」

「ニル、案ずることはない。我が守る」


 ユキさん、相変わらず男前だよ。

 邸の玄関に向かうとクーファルとシェフが待っていた。


「殿下、馬車の準備はできてます」

「シェフ、有難う」


 あれ? もしかして。


「もちろん私もご一緒しますよ」

「アハハ、シェフ有難う」

「リリ、騎士団も10名つける。気をつけなさい。絶対に無茶はしない様にね」

「クーファル兄さま、有難うございます。後をお願いします」


 さあ、行くぞ。早く探し出してあげなきゃな。もしも怖い思いをしていたらかわいそうだ。


 真っ暗な道を馬車は走る。まだ俺は少しネムネムだぜ。

 馬車にはユキが一緒に乗っている。馬車の前に騎士団5人とオクソール。後ろには、シェフと騎士団5人が走る。

 俺は、前に二つ、馬車の両側に二つ、後ろに二つライトを出している。

 それでも、前世の様な街灯はないので道は暗いが、何もないよりはマシだろう。


 あのソニアて子、何か引っかかったんだよ。あの時、話しておけば良かった。ちょっとだけ後悔してるんだ。

 犯罪に巻き込まれていなければ良いが。何れにしても無事でいてくれよ。

 村に着くと、リュカが出迎えてくれた。


「殿下、申し訳ありません!」

「リュカ、いいから。大体はソールに聞いたけど、どう?」

「はい、ご報告します。うちへどうぞ」


 リュカの実家に行くと、皆起きていた。


「リリアス殿下、申し訳ございません!」


 ご両親なんだろう。頭を下げてこられた。


「殿下、ソニアの両親です」

「心配ですね。なんとか早く探し出しましょう」

「ご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありません」

「リュカ、話は聞いたんだよね? 分かってる事だけでも教えてくれる?」

「はい、もちろんです」


 俺はまず、リュカの報告を聞いた。

 ソニアは昼食は食べに戻っていたそうだが、夕食の時間には戻らなかったらしい。

 しかし、普段からそれはよくある事だそうで、ご両親はそう心配はしなかったそうだ。

 だが、夜になっても戻らない。ご両親だけで、村の中や近辺を探したらしいが見つからなかった。

 普段から、フラフラと村を出る事はあっても、夜まで戻らない事はなかった。

 心配になった両親は村長であるリュカの父親に相談した。


「もし街に行ったとかだと、あの街?」

「はい、殿下。そうです」

「リュカ、それ以外はないの? 街まで結構距離があるでしょ?」

「殿下、獣人にとっては大した距離ではありません」

「オク、そうなの?」

「はい。暗闇も平気です」


 あー、凄いね。獣人て本当に身体能力が違うんだ。


「念の為、街にも探しに行かせています」


 村長が考えられる事は対処してくれてるみたいだな。

 街かぁ。またあの街か。

 俺が3歳の時にリュカと知り合うきっかけになった事件だ。

 街の奴隷商がリュカ達獣人をさらったんだ。その時にフレイが奴隷商の関係者を一掃したはずだ。

 それに、あの街を治めている伯爵はちゃんと領地を見ていると言っていた。


「捕まっているか、そうでなければ怪我等で身動きできない状態になっているかだと思われます」


 ずっと話を聞いていた、フォカが答えてくれる。やっぱそうだよな。


「フォカ、村はここだけじゃないんだよね?」

「はい。小一時間程北に入ったところに同じ狼獣人の村があります。そこにも聞きましたが、村人以外の者は見ていないそうです」

「他はない?」

「はい。後は1番近い街でも馬車か馬でないと無理な距離です」

「そっか」


 ん〜、どうすんだ? 今回、俺は全く分からんぞ。


分かりにくい様ですので加筆しました。

後半最後の方でリリに答えているのは、リュカの兄のフォカです。

誤字ではありません。

リュカよりフォカの方が村の事には詳しいと言う事を現したくて敢えてフォカを出しています。

次のお話でも、フォカが出てきます。誤字ではありません。

また、リュカに変えるつもりもありません。

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