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316ー問題発生

「殿下! お昼ですよー!」

「あ、シェフが呼んでる」


 シェフが大声で俺を呼んでるぜ。リュカ、行こうぜ!


「お爺さんとセレーネは一緒に食べないの?」

「殿下、私共は別です」

「えぇ〜! みんな一緒に食べる方が絶対に美味しいよ?」

「そうだよ。取り敢えず、祖父ちゃんとセレーネも一緒に戻ろう」


 リュカもそう言ってくれて、一緒に戻る。


「シェフ! お待たせ!」

「リリアス殿下、お昼はなんと鹿肉のステーキです!」

「おぉー! ボク食べた事ないよ!」

「でしょう? 私も初めて触りました!」


 おお! シェフの初めてか! マジ、鹿肉なんて食べた事ないぜ。

 どうなんだろ? 前世では、ジビエと言って流行ってたな。

 しかし、鹿肉はどうやって手に入れるのか分からんし。スゲー! 楽しみだ!


「ねえ、シェフ。みんな一緒に食べられない?」

「おや、私の方は大丈夫ですよ。クーファル殿下に聞いてみられてはどうでしょう?」

「有難う。そうする!」


 そして、俺はユキに乗ってリュカの家に急ぐ。


「クーファル兄さま!」

「リリ、どうした?」

「お昼、みんな一緒に食べませんか?」

「そうだね。私は構わないが、リュカのご両親はどうだろう? 大勢お邪魔する事になるだろう?」

「あ、そっか。ねえ、リュカ! 駄目?」

「いいと思いますよ。よく、祖父ちゃんも一緒に食べてますから」

「リュカ。オクもリュカも一緒だよ?」

「はい。でも、俺達はダイニングの方で頂きますよ」


 まあ、そっか。仕方ないか。


「親父に言ってきましょうか?」

「うん。リュカお願い」


 そうだよな、一般家庭だもんな。

 城や、辺境伯邸とは違って皆一緒とは無理か。


 結局、リュカとリュカ一家、お爺さんとお婆さん、クーファルとオクソール、俺が同じリビングで食べる事になった。

 土間を挟んだ隣のダイニングで、ニルがセレーネと一緒に食べている。ラルク、ソール、ユキも一緒だ。


「うわ、美味しい! 鹿肉のイメージが変わる!」

「リリ、鹿肉のイメージなんてあったのか?」

「兄さま、ありません! 食べた事がないですし。でも、それ程美味しいって事です!」


 マジ、激ウマだった! 臭みなんてあるかよ。超美味しかった。しっかり塩胡椒がしてあって、バジルとニンニクの風味がする。


「兄さま、赤身でヘルシーですね」

「そうだね。兄様もこんなに新鮮で美味しい鹿肉は初めてだよ」

「今の時期の鹿肉は特に美味いんだ! 美味いでしょう!」

「はい! とっても!」

「リリアス殿下は畑に行かれていたんですかな?」

「はい、村長。お爺さんとセレーネといました。この村はお花がいっぱいですね」

「ワハハ、花ですか! セレーネの趣味が高じてこうなったんです。花で虫から野菜を守るなんて発想は誰にもなかったですからな!」


 全くだ。俺も花には疎いから感心したぜ。村長さん、喋り方までどんどんワイルドになってるぜ!


「いやぁ、リリアス殿下は面白いですな! クーファル殿下、帝国も安泰ですな!」

「ハハハハ。有難う御座います」


 村長は、酒を呑みながら上機嫌だ。

 俺達は1日、リュカの村で和やかな楽しい時間を過ごした。


 夜はまた別邸に戻って1泊してから、明朝北の鉱山に向かって出発だ。

 朝早い出発に備えて俺はもう寝ていた。

 さっさと調査を済ませて、休みをもらうんだ。アウルに会いに行くんだ。そんな事を考えながら眠りについた。



「……殿下。リリアス殿下」

「ん……ん? ニル、どうしたの?」


 どれ位寝ていただろう? ニルが俺を起こす声で目を覚ました。


「お休みのところ申し訳ありません。リュカの村から使いが来ました」

「え? 何かあったの?」

「リュカの村の、ソニアと言う娘が戻ってこないと連絡がありました」


 何だって!? ソニアだって!?


「えっ! ニル、今って夜中だよね?」

「はい、そうです」

「大変じゃない」

「リュカが村に向かいました」

「そう。ボクも行くよ。ソニアて、あの煩い子だよね?」

「私は面識がないので」

「そっか。もしかして会ったのはボクだけ?」

「殿下はどこで会われたのですか?」

「リュカのお爺さんの家にいる時に突然来たんだ」

「そうですか。では、殿下だけです」

「そっか」


 ベッドから出て着替えをしながらニルから状況を聞く。


 ソニアの家は、父親は純血種だが母親は違うそうだ。

 俺は知らなかったのだが、リュカの村の純血種は目の色が金色の様な琥珀色、アンバーのウルフアイなのだそうだ。リュカの目の色だ。

 純血種から離れる程、オレンジや茶色になる。

 髪も純血種はダークシルバーがメインで青味や茶色等掛かっていたりするらしい。

 ダークシルバー一色又はダークシルバーが多い髪色になるらしく、ダークシルバーよりも黒や茶色が多い髪色は別の種族か、別の地域の狼が入っているからだそうだ。

 リュカの髪も、青味掛かったダークシルバーだ。セレーネも金眼で、髪はダークシルバーだった。

 しかし、今や純血種の方が少ない。リュカの村もそうらしい。


 なのにソニアは、父親が純血種だからか自分が純血種ではなく色味も違う事にコンプレックスを持っていたそうだ。

 俺はそこが理解できない。俺を狙った姉もそうだった。

 髪の色が違う、瞳の色が違う。だから何だ? と、言いたい。

 狼の純血種なんてもっとだ。希少種と言う事はそうじゃない方が多いんだぞ。なのに、何を気にしているんだよ。と、思ってしまう。

 そりゃあさ、うちの家族みたいに金やブロンドの両親から真っ黒の髪の子が産まれたら驚くぜ? コンプレックスにもなるだろう。

 でも、そんなんじゃないのなら、そこまで気に病む必要があるのか?

 と、俺は思う。ま、人それぞれだからな。押し付けはしないさ。特に女子はさ、見掛けに拘りがあるかもだろ?


 おっと、話が逸れてしまったが。そのコンプレックスからか、ソニアは反抗的な態度だったらしい。

 夕食の時間に帰っていない事も度々あったそうだ。それで、両親も探すのが遅れたと言う事だった。


 しかし、こんな時間まで帰ってないなんて普通じゃないよな?

 彼氏とお泊まりとか? いやいや、違うだろ。アレはどう考えても、リュカに気があるだろ。

 そうさ、俺も少し大人になったんだぜ。中身はとっくにオッサンだけどな。


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