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312/442

312ーリュカの家族

 リュカのお父さん、村長が畏まって話し出した。


「リリアス殿下、本当はもっと早くにお礼をしないといけなかったんだが。申し訳ない。リュカや村人を助けて頂いて有難うございます。その上、こいつの我儘まできいて頂いて側に置いてもらえて何とお礼を言えば良いか。本当に感謝してます。有難う御座います」


 リュカのお父さんがそう言うと、お母さんもお兄さんも頭を下げられる。


「いえ、ボクこそ。リュカは村にとって大事な人材だったのではありませんか? ボクが独り占めしてしまって申し訳ないです」

「リリアス殿下! 何を仰る! 命を助けてもらったんです! リュカが少しでもお役に立てるのなら、何よりです!」

「村長、リュカはリリアスによく仕えてくれてますよ。立派な従者で頼りになる護衛です」

「クーファル殿下、有難う御座います! あの時は村を救ってもらいました! 感謝しとります!」


 俺は後ろに控えているオクソールを見る。オクソールが気付いて、側に来る。


「リュカの師匠のオクソールです。リュカは、毎日オクソールのシゴキを受けて鍛練していますよ」


 俺は、オクソールを紹介した。


「オクソール様! あの! 獅子のオクソール様ですか!?」

「親父、声でかいよ」

「リュカ、うるせーぞ。だってあのオクソール様だろ? お前、贅沢だな! いつもオクソール様に鍛えてもらってんのか!」


 リュカのお父さん、いいねー! 俺、好きだね!


「オクソール・ベルゲンです。仰る様に獅子の獣人です」

「ス、スゲー! カッケー! リュカ、お前いいな!」

「もう、兄貴まで。頼むよ」

「マジで! オクソール様、宜しければ軽く手合わせ願えませんか!?」

「あー! もう兄貴、止めてくれー!」

「アハハハ。リュカ、構わない。軽くで宜しければかまいませんよ」

「本当ですか! オクソール様!」

「はい。後で時間があれば」

「はい! 宜しくお願いします!」

「オクソール様、すみません。兄貴はちょっと脳筋なんですよ」

「アハハハ、リュカもだろ」

「えー! 俺は違いますよ!」


 いや、3人共普通に脳筋じゃね?

 

「殿下、村を案内しましょうか?」

「うん! リュカお願い」

「殿下、私もお供します」

「うん、ラルク」

「リリ、我も行くぞ」

「リュカいい? ユキ歩きまわっても大丈夫かな?」

「もちろんです。獣人にとって神獣様は憧れですからね」


 そうなのか? 知らなかった。でも、オクもリュカもそんな素振り見せないじゃんか?

 

「最初があれです、モヤモヤだったんで。それにずっと一緒にいると慣れます」


 リュカそぉ? そりゃそうだね。

 

「兄さま、ちょっと行って来ても良いですか?」

「ああ、行っておいで。ユキ、頼んだよ」

「任された」


 ユキさん、長老みたいだよ?

 俺はラルクとユキと一緒にリュカに連れられて裏に向かう。

 

「殿下、会って頂きたい人がいて。俺の祖父ちゃんと祖母ちゃんなんですが」

「うん。裏なの?」

「はい。裏に出ると直ぐです。隣です」


 ほぉ〜。まるで母屋と隠居屋みたいだね。

 裏に出ると、リュカの家より古い同じ様な家があった。

 

「祖父ちゃん! 祖母ちゃん!」


 リュカが玄関から声を掛けると、奥から年配のご夫婦が出てこられた。

 

「リュカ!」

「祖父ちゃん、祖母ちゃん! ただいま!」

「よく帰ってきた!」

「紹介するよ。俺がお仕えしてるリリアス殿下だ」

「こんにちは、初めまして。リリアスです」

「まあまあ! リリアス殿下! こんなところにわざわざ来て頂いて! さあさあ、ボロ屋ですけどお上がり下さい!」


 お婆さんが、招き入れてくれる。


「有難うございます。リュカ、ユキもいいの?」

「もちろんです。祖父ちゃん祖母ちゃん、側近候補のラルク様と、神獣のユキだ」

「神獣!?」


 二人共、驚いてユキをガン見している。

 しかし、リュカのお爺さんとお婆さんだろ? それにしては若くないか? ご両親も思ったより若かったぞ?

 

「殿下、獣人は人より長生きですから」


 そっか。そう言ってたな。いいな、それ。

 

「殿下、ラルク様、ユキ。上がって下さい」

「うん。お邪魔します」


 中に入ると作りはリュカの家と同じだった。土間があって、そこで靴を脱いで上がる。

 土間を挟んで、リビングと反対側にキッチンとダイニング。リビングには木のローテーブルにローソファーがある。

 年季の入った梁や柱等を見ると、ソファーがなければ囲炉裏が似合いそうだ。

 

「リリアス殿下、リュカの命を救って頂いて有難うございます。恩に着ます」


 お二人が深く頭を下げられた。リュカは愛されてるなぁ。

 

「頭を上げて下さい。当然の事をしただけですから」

「あの時は、リュカだけでなくこの村の者皆が殿下に救われました。今、平和にこうして村で暮らせるのも殿下が助けて下さったからです。その上、リュカを側において頂いて。有難う御座います」

「あれは元はと言えば、馬鹿な人間が起こした事です」


 そうだ。馬鹿な貴族と奴隷商が起こした事だ。リュカの村の人達は被害者だ。

 

「殿下は助けて下さいました。あの時はフレイ殿下が騎士団の人達と踏み込んで来られて、助けて下さいました。

 リュカがリリアス殿下にお仕えできるのも、フレイ殿下のお力添えだとか。なんとお礼を申し上げて良いのか」

「ボクもリュカに沢山助けられてますから」

「リュカがお役に立てているのでしたら、嬉しい事です」


 穏やかそうな、お爺さんとお婆さんだ。

 

「殿下、こう見えて祖父ちゃんは強いんです」

「そうなの!?」

「村長の次に強いな」

「ユキ、分かるの?」

「ああ。リリも分かるだろう?」


 え? あ、そっか。鑑定か。

 

「ユキ、ボクは止めておくよ。勝手に見るのは駄目だよ」

「我は見ようとしなくても勝手に分かるぞ?」

「ユキは神獣だもん」

「ユキ、やっぱ凄いんだ」


 ラルク、今更だよ?


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