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280ー宴会

 俺はアウルースと一緒にいつの間にか寝ていた。

 夢を見た……気がする。

 これは前世の母か? いや、祖母だ。泣いている。何故だ?

 場面が変わった……ああ、妻と息子達だ。姉も母もいる。

 やはり、泣いている。泣かないでくれ。

 俺は元気でやってるよ。もう会えないけど、忘れてはいない。忘れない。

 どうか、幸せでいてくれ。

 また場面が変わった……これは今の世界だ。今よりも若い父と母。大人になりきれていない兄達。

 俺は皆に囲まれて幸せだった。

 また変わった。アウルースだ……産まれた時か? 俺はアウルースが産まれると、フィオンが呼んでいると知らせをもらって出産に立ち会ってしまった。

 少ししか居られなかったけど、赤ちゃんのアウルースを覚えている。

 そうだ、あの時も俺の指を握って離さなかった。

 赤ちゃんのアウルース。ジッと俺を見ていた。ニコッと笑いながらずっと俺の指を握っていた。

 そして……多分初代皇帝。前世の俺と同じ歳位だろうか? 最後の時の様だ。まだ早いだろう。若すぎる。

 帰りたかった……だが、幸せだった。

 白い光が初代皇帝の身体を包み込む……


「……しゃま……リリしゃま……?」

「ん……アウル」

「リリしゃま、いっしょ寝てましたか?」

「うん、寝てた。アハハ、アウルと一緒に寝ちゃったよ」

「エヘヘへ」


 夢を見ていたよな……? なんだったか……覚えてないや。

 アウルースがモゾモゾと動いてくっついてくる。まだ赤ちゃんぽさを残した体温と匂い。温かい。

 俺もアウルースを抱き寄せる。


「エヘヘ、リリしゃま。おかえりなしゃい」

「アウル、ただいま。お腹すいたね」

「あい」


「あら、起きてたの?」


 フィオンが入ってきた。


「姉さま、寝てしまいました」

「フフフ、2人共よく寝ていたわ。兄弟みたいね」

「かあしゃま、リリしゃまとボキュでしゅか?」

「ええ、そうね。仲良しね」

「あい。かあしゃま」

「さあ、夕食にしましょう」


 明日はアウルースとたくさん遊ぼう。


 


 その日の夕食は外でバーベキューだった。もう既に前庭は宴会の様だった。

 領主隊、騎士団、近衛師団が集まっている。辺境伯一家も兄達もアースとレイ、ラルクもいる。

 もちろん、オクソールとリュカ、ニルとユキもだ。

 串にさした肉が焼かれ、シチューも用意されシーフードや肉のカツもある。

 ワインが樽ごと出されて開けられている。


「ひょぉ〜! しゅごいでしゅ!」

「アウル、凄いねー! 何から食べようか?」

「リリ様! お帰りなさい!」

「アーシャ、ただいま! もう食べてるの?」

「はい! 美味しいです!」

「そうか、良かった!」

「リリ殿下!」

「リリアス殿下!」

「アース、レイ、ラルク!」

「リリアス殿下、ご無事で良かったです」

「ラルク、有難う。皆、食べてる?」

「はい!」

「リリ殿下、肉うまいよ!」


 アースは片手に肉を持っている。


「殿下、ご無事で」

「うん。ニル、有難う」

「リリ、美味いぞ」


 ニルにはいつも心配かけるな。ユキさんもうガッツリ食べてるね。


「アウル、ボク達も食べよう!」

「あい!」


 アウルとフィオンと皆と一緒に簡易に用意されたテーブルセットに座る。


「リリアス殿下、アウル様、さあ、沢山食べて下さい!」


 シェフが皿に色々盛って持ってきてくれた。


「シェフ、有難う! 疲れてない?」

「なんの! 楽勝でしたからね!」

「アハハハ、そうだね」

「リリアス殿下、此度もまた殿下に助けて頂きました。有難うございます」

「アラ殿、ボクだけではありません。皆の力です。領主隊の皆さんは強いです!」

「有難うございます!」


 ――殿下!

 ――リリアス殿下!

 ――お疲れ様ですー!


 アハハハ、皆もうお酒が入ってるよ。


「有難う! みんな! お疲れさまー!」


 ――おぉー!!


「リリしゃま……ウマウマ……おいしいでしゅよ!」


 ふと横を見ると、アウルが焼かれた肉にかぶりついていた。リスみたいにほっぺが膨らんでいる。

 アウルと皆と一緒に沢山食べた。

 幸せだね。うん、俺は幸せだ。

 



「リリしゃまー!」

「アウル! おはようー!」

「リリ殿下!」

「アーシャ! おはよう!」


 食堂で可愛い天使2人のお出迎えだ。


「リリ殿下、疲れてませんか?」

「うん、レイ。有難う。全然大丈夫だよ。アース、どうしたの?」


 レイの横で、アースの元気がない。


「ああ、気にしないで下さい。アースは昨日調子に乗って食べ過ぎただけですから」

「レイ、そうなの?」

「はい。途中で止めろと言ったんですよ」

「レイ、もう言うなよ。分かったよ」


 アハハハ、フレイにちょっと似てる。プププ。


「おはようございます。昨日皆様飲み過ぎたらしくて、トマト味のアッサリしたリゾットにしました。リリアス殿下、ホットサンドもご用意できますが」

「シェフ、有難う。リゾットでいいよ」

「はい、畏まりました。お持ちします」


 ああ、男性陣は全滅か?


「リリ、おはよう」

「フレイ兄さま、おはようございます。テュール兄さまはもう戻られたのですか?」

「ああ、昨夜のうちにな」

「リリアス、フレイみたいになったら駄目よ」


 うわ、皇后様酷い。


「もう昨夜は酷かったのよ。調子に乗って飲み過ぎて」

「母上、もうお小言は充分頂きました」


 朝からもう叱られたのか? フレイ、どんだけだよ?

 朝食はシェフが言っていた通り、男性陣が皆元気がなくリゾットで正解だった。

 きっと皆、女性陣に叱られたんだろうな。心なしか小さくなっている。

 仕方ないよね。ダンジョン攻略したんだからさ。テンション上がっちゃうさ。


 ……が、領主隊、騎士団、近衛師団は元気だった。もう朝から鍛練を済ませたらしい。一体どうなってるんだ? 強靭すぎるだろ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] オーク肉が出てきたし、豚の角煮のとかも作ってくれると良いなぁ
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