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268/442

268ー年相応

「あれだ、話せる魔道具だ」

「兄さま、ピアス型のですか?」

「ああ、それだ」

 

 俺が7歳の時に王国に行った。その時に、インカムをイメージして作った魔道具だ。離れた所にいる人と話ができる。


「えっと……」


 俺は腰に付けているマジックバッグをあさる。


「ああ、5個だけありますよ」

「そうか! 持ってるか!」

「兄さま、使いますか?」

「ああ、其々のフロアにいる者と連絡できれば便利だろう? 本当は各フロアにいる者に持たせたいんだ」

「じゃあ、作りますよ。魔石を下さい」


 あれ? フレイとデュークが変な顔してる。


「リリ、今から作れるのか?」

「はい、ん〜と……2人に1個位でも良いですか? それ位ならなんとか。いえ、魔石があれば余分に作りましょう。あ、侍女の人達にも手伝って欲しいです。ピアス型に加工しないといけないので。職人さんが1番良いのですが」

「分かった。辺境伯にすぐ要請しよう。デューク、行くぞ」


 フレイとデュークが慌ただしく出て行った。


「殿下、ご無理なさらなくても」

「ん? ニル、無理じゃないよ。ボクはね」

「ああ、そうでした。ピアス型に加工する方が手間でしたね」

「ニル、そうそう」


 あの時は、ニルと侍女達総動員で加工してもらったんだ。懐かしいな。


「あの時は大変だったね」

「ええ、皆必死でしたね」

「ニル達には感謝だよ」


 辺境伯アラウィンの側近ハイクが魔石を持ってきた。

 侍女や数人の職人さんも俺の部屋に待機だ。

 俺は以前に作ったピアス型の魔道具を見せる。ニルが説明してくれる。

 俺は早速、魔石に付与する。

 受信する側と、送信する側。2種類の魔石が必要だ。それに、空間魔法と音声を飛ばす魔法を付与する。


「ニル、これ取り敢えず2セットね」

「はい、殿下」


 ニルが早速それを持って皆に説明してくれる。

 俺は色々魔道具を作っているけど、いつもその影にはニル達侍女の力があるんだ。

 ネックレスにしろ、認識票につけるチャームにしろ。いつもニルが手助けしてくれている。

 ニルは何でも俺が思った通りに形にしてくれる。器用だね。本当、感謝だよ。


「リリ殿下」


 あ、アースとレイにラルクだ。

 チビさん二人に捕まっていたが、解放されたか?


「お昼寝タイムですよ」


 あー、ラルク。そっか。やっとお昼寝したんだ。


「殿下、これは何の魔道具ですか?」


 レイが真っ先に聞いてきた。やっぱ興味あるよな?


「レイ、離れた所にいる人とお話しできる魔道具だよ」


 そう言いながら、付与できた魔石をニルに渡す。辺境伯が人数を集めてくれたので、俺が付与したらどんどん魔道具が出来ていく。


「そんな魔道具が出来るんですか!?」

「うん、レイ。ほら、3年前に王国に行ったでしょ。あの時に作って持って行ったんだ。めちゃ便利だった」

「凄いな! リリ殿下!」

「アース、有難う」


 アース、分かってる? これは分かったかな?


「リリアス殿下、今回私はお留守番だそうです」

「うん。ラルク、聞いたよ。でも、ラルクの服も届いてるよ」


 俺は、ラルクの戦闘服を指差す。


「え!? 私のですか!?」

「うん。父さまとセティが作ってくれたんだって。ボクのと色違いだよ。オクソール達とお揃だ」


 ラルクが服を手に取る。


「あー、なんて勿体ない! 私もご一緒したいです!」

「アハハハ、ラルク強いんだってね〜」

「そんな事はありません。オクソール様に、まだまだリリアス殿下には敵わないと言われました」

「そんな事はないよ」

「え、えッ!? リリ殿下って強いのか!?」

「アース、当たり前だろ? 毎日オクソール様と鍛練してるんだから」

「レイ、マジか!?」


 なんだよ。強くないよ? だから俺、毎回半分死んでるよ?


「そんな訳ないから。ボクなんて全然強くないからね」


 もう、止めてくれよ。マジ、強くないからさ。


「ねえ、ニルさん。実際どうなの?」

「殿下ですか? アース様、この中では1番お強いですよ」

「え……!? リリ殿下、マジで手合わせしよう!」

「だから嫌だよ」


 はい、とニルにまた魔石を渡す。

 周りで作業してくれている人達がニコニコしてるじゃん。なんか生温かい目で見られてるぜ。


「殿下、あと10セットです」

「うん、ニル分かった。みんなでやると早いね」


 それにしても、レイ。ジッと見てるね。しかも近距離でさ。興味あるんだ。うん、分かってるから何も突っ込まないでおくよ。


「あぁ〜、僕も早く付与できる様になりたい」

「レイ、毎日の積み重ねが大事」

「はい、リリ殿下」

「何? 何だよ?」

「アース、お前はいいんだよ」

「なんだよ、レイ。ケチだな」


 おいおい、モロ子供じゃねーか。ケチとか言うな。


「殿下、私はやはり留守番ですか?」


 あー、もう一人いたよ。気持ちは分かるよ。


「うん。兄さまがそう決めたなら仕方ないよ。諦めて」

「殿下……」

「ラルク、ラルクも毎日の積み重ねが大事」

「はい、殿下。次こそは必ずお供します」

「ラルク、有難う」


 いい子だね。本当、皆いい子達だ。

 この世界、子供でも責任が付きまとう事が多すぎる。まだまだ遊びが中心でも良い歳なのに。て、俺もか。


「そうだ、リュカ。新しい服もらった?」

「リリアス殿下、戦闘服ですよ。頂きました」


 だってこの歳で戦闘服なんて嫌なんだよ。


「チームリリですね」


 リュカが思い切りニカッとした。

 あれ、ラルクが感動してるよ。まいったぜ。俺もちょっとチームみたい、て思っちゃったじゃん。


「リュカ、止めて。恥ずかしいから」

「でも殿下。あのパターンの戦闘服は俺たちだけですよ? ニルさんとシェフもお揃いですし」

「えッ!? 何!? そんなのあんの!?」

「だからアース。お前はもう黙ってな」

「レイ、お前意味分かってんの?」

「分かってるよ。ラルクが持ってるだろ?」

「あ! ラルク! 見せて! 俺にも見せて!」

「もう、アースはマジうるさい」


 アハハハ、レイが本当に嫌がっている。

 アースが1番年相応なのかもな。

 あれ? そう言えばユキさんいないね? また調理場かな?


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