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264ー攻略準備

「父上、早くダンジョンコアを見つけて破壊しなければ。放っておくと、どんどんダンジョンは大きくなります。スタンピードになったりしたらどれだけの被害が出るか」

「ああ、アスラール。分かっている」

「ウル、ダンジョンに入るメンバーを選んでくれ」

「はい、アラウィン様」

「辺境伯、騎士団も出るぞ」

「フレイ殿下、お願いできますか?」

「ああ、もちろんだ。何人で出る?」

「はい。ウルの報告ではまだ出来て間もないダンジョンだと思われます。階層が進んでいたとしても、よくあって30階層ほどではないかと。10階層毎に区切って、攻略するメンバーを選出します」

「よし。騎士団30名を3班に分けよう。近衛師団は念の為、領都の守備にあたらせよう」


 おー、フレイ即決だ。


「有難うございます」

「リリ、オクソール、リュカ。出れるな?」

「はい、兄さま」


 俺が返事をすると、オクソールとリュカも力強く頷く。当然だ。俺が役に立つなら行くさ。


「よし。俺もリリ達と出る。最下層を目指すぞ」

「フレイ殿下! それは危険過ぎます!」

「アスラール、オクソールがいるのだぞ? 最強の騎士が最下層を目指さないでどうする?」

「しかし……リリアス殿下まで」

「リリも強いぞ? それに、良い機会だ」


 ええー! フレイさん! 良い機会で10歳児をダンジョンに連れて行くなよ!


「リリ、お前は魔法が使えるだろ? それに回復もできる」

「はい、兄さま」


 あー、そっか。回復魔法か。忘れてたわ。

 やっぱフレイて、統率力があるんだよ。もちろん、クーファルもない訳じゃない。

 しかし、フレイはやはり次期皇帝だからか? カリスマ性が違う。決断に迷いがない。それは大事な事だ。

 迷いがあると皆に不安を与えるからな。フレイは迷いなく的確に決めていく。俺の兄達は優秀だ。

 

 結局、騎士団から10名、領主隊から10名で10階層分を攻略する事になった。

 最初は騎士団30名、領主隊30名でダンジョンに入るが、選抜された10名は指定された10階層分の魔物を倒す為に残る。

 1階層から10階層までを両隊から10名ずつ。次の10階層分をまた両隊から10名ずつと言った具合だ。

 最終的にダンジョンコアを目指して最下層まで行くのは俺達と騎士団10名と領主隊10名だが隊員達は最下層のある10階層分を攻略する為に残る。とにかく出来る限りダンジョン内の魔物を減らすのが目的だ。

 ダンジョンコアのある最下層を目指すのは、フレイ、デューク、オクソール、リュカ、そしてシェフ、ユキ、アルコース、側近のローグそれに俺だ。


 よく転生モノにある様な、冒険者達が魔物の素材を採る為や、レベルアップの為等と言った悠長な場合ではない。

 辺境伯領の街が直ぐそこにあるんだ。それに、ダンジョン等がなくても魔物はやってくる。倒しても倒しても、河を渡って隣国からやってくるのだ。

 ダンジョンなど、ない方が良いに決まっている。

 リアルと架空の物の違いだな。


「アラ殿、以前ボクが作った魔石は皆持ってますか?」


 俺が以前、辺境伯領に来た時に作った防御と結界を付与した魔石だ。


「リリアス殿下、もちろんです。皆、肌身離さず持ってますよ」

「良かった。今回も必ず持って行く様にと……マジックバッグはどの程度ありますか?」

「マジックバッグはダンジョンに入る隊員、10名のチームに2個持たせます」

「2個なのか?」

「フレイ殿下、そう数がありませんので。

「リリ、余分を持ってきてないのか?」

「はい、ボク余っていたのは皆あげてしまって」


 フレイがこんな事を言うのも理由がある。

 実は、騎士団と近衛師団全員が腰の剣帯に付けている揃いの小さなポーチ。

 マジックバッグだ。

 見た目は本当に小さなポーチなんだが、そこそこの容量で作っている。

 もちろん、俺が作ったのさ。いや、父の側近セティに作らされたと言うべきか。

 俺も愛用のマジックバッグを腰につけている。オクソールやリュカ、シェフもだ。

 実はニルまでエプロンの腰のリボンに付けている。

 王国に行く時に頑張って作った。かなり便利で役立ったので、セティに是非皆の分もと言われたんだよ。


「辺境伯、出発は明日の朝か?」

「はい、フレイ殿下。そうしようかと」

「リリ、作れるか?」

「はい、兄さま。元にする物があれば、直ぐに作ります」

 

 結局、作る事になった。しかし、マジックバッグにする元のポーチや鞄がそんなに数がなくて、今回は隊員用のポーチ6個と、アスラール用のポーチだけになった。

 皆、騎士団や近衛師団が腰に付けているのに気付いていたんだな。

 剣帯に付けられるポーチを出してきた。


「アラ殿、別に肩から斜めに掛けるバッグでもいいのですよ?」

「リリアス殿下、そうなのですが。それだと兵士達には邪魔になります」


 ああ、そっか。動くし、剣を抜かなきゃいけないもんな。


「アラ殿、用意できるならボクが作りますので言って下さい。こちらにいる間でもいいですし、城に帰ってからでも言ってくれれば作りますよ」

「リリアス殿下! 有難うございます! 甘えさせて頂きます! 隊員達が喜びます。毎回、魔物の回収が大変だったのです」


 なんだよ、水臭いなー。早く言ってくれよ。んー、誰か作れないかなぁ?

 レイリ位なら作れそうな気もするが。試してみよう。


 この後、ダンジョンの予想される事を話し合い、対処方法を検討し、明日の朝1番に出発が決まった。


「では、殿下方。どうか宜しくお願い致します。お力をお貸し下さい」

「辺境伯、帝国の為だ。当然だ」


 そうだ。フレイの言う通り、これは帝国の為だ。

 もしも、最悪辺境伯領が魔物に蹂躙されでもしたら、帝国全土に魔物が広がってしまう。そんな事には出来ない。


 昼食を食べて、明日までまだ時間がある。俺は、早速レイリを部屋に呼んだ。


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