250ー愛された子
いつも読んで頂き有難うございます!
投稿が遅くなってしまいました。
申し訳ないです!
間違えて同じお話をアップしてしまいました!
250話が正解です。申し訳ありません!
「リリアス殿下、アウルースがベッタリで申し訳ありません」
俺達は夕食を終えて応接室に来ている。例のユキ待ちだ。もう、アウルースもアンシャーリも部屋でおネムだ。
「アルコース殿、全然そんな事ありませんよ。ボクも可愛くて仕方ないですから」
「有難うございます。まさかこんなにリリアス殿下を追いかけるとは思いませんでした」
「アハハハ、嬉しいです。アウルは本当に良い子です。まだ2歳なのに大切な事は分かっている」
「そうですか? ただの甘えん坊にしか思えませんが」
「まだ2歳ですから。両親が大好きなんですよ」
「あら、じゃあ10歳のリリはもう両親が大好きじゃあないのかしら?」
「え!? 母さま、ボクは母さまが大好きですよ!」
「あら、良かったわ」
「リリアス殿下、明日も船で出られるそうですね」
「はい、アスラ殿。浅瀬に気になるところを見つけたのです」
俺はシェフが見つけた浅瀬の話をした。遠浅になっていて、珊瑚礁が見える場所があると。そこが、気になるんだ。
「ああ、シェフは凄いですね。潜った時に気付いたのでしょう?」
「アスラ殿、その通りです」
「ニルズがのっているサイズの漁船が通れるルートがあるのです。そこ以外は殿下の仰る通り遠浅で珊瑚礁になっています」
「そうなのですか? アスラ殿は浅瀬に船で行った事はありますか?」
「いえ、漁場はある程度深さがある所ですから。皆あまり浅瀬には行きませんね」
「あー、もったいない」
「もったいないですか?」
「ええ、珊瑚もアクセサリーになりますよ。真っ赤な珊瑚があるのですが貴重です。乱獲は駄目ですけど」
「珊瑚がですか?」
「ええ、アスラ殿。とても綺麗ですよ。そんな珊瑚があるかどうかは分かりませんが。それに明日はそれが目的ではないんですけど」
「私も明日もご一緒してもよろしいですか?」
「もちろんです」
「……ん〜、ふわぁ……」
「殿下、おはよう御座います」
「ニル、おはよう。めちゃ良く寝たよ」
「それは宜しかったです」
翌朝、俺はベッドから下りて顔を洗って着替える。
「ニル、今日も海に出るんだ」
「はい、ラルクから聞きました。また気になる所があるのですか?」
「うん。ちょっとね。もしかしたらまた領地の産業に繋がるかも知れない」
「まあ、そうなんですね」
「もしかしたら……だけどね」
俺は朝食を食べて、港に向かう。オクソールに馬に乗せて貰っている。
朝、アウルースがグズらずにちゃんと送り出してくれた。聞き分けのいい子だ。
早く帰って一緒に遊ぼう。
アースは朝からアンシャーリに捕まってしまった。今日は1日アンシャーリの相手だ。
レイもそれに付き合う。アース一人だと不安だからな。
「殿下、アウル様お利口さんでしたね」
リュカが並走しながら話してきた。リュカはラルクを乗せている。
「ね、リュカ。あの子は賢いよ。ちゃんとボク達が話している内容を理解している」
「そうですか?」
「うん。大きくなるのが楽しみだ」
「殿下、またおじさん臭い事を」
「アハハハ。ラルク、そう?」
「アウルはいい子だ。この地に必要な子だ」
俺の直ぐ横を走っているユキが言った。
「ユキ、そうなの?」
「ああ。我はそう思う」
「そっか。次男のアルコース殿の息子なんだけどな。」
「後継者と言う意味ではないぞ」
「ユキ、そうなの?」
「ああ。リリは特別だが。時々その地に愛された子が産まれる。アウルはそうだ。この地に愛されている」
「そっか。そうなんだ」
アウルースは言ってたなぁ。
空が綺麗だと。海も川も畑も綺麗だと。
あの子の目には、どんな風に映っているんだろう。
「リリ殿下! こっちだ!」
「おっちゃん! ニディ!」
港で二人が待っていてくれた。
「今日は少ないんだな」
「うん。アースとレイがアンシャーリの相手してるんだ」
「そうか。嬢ちゃんか」
「アンシャーリの我儘に付き合ってもらって申し訳ない」
「アスラ殿、気にしないで下さい。大丈夫ですから」
「殿下、有難うございます」
「アハハハ、まぁ子供は皆そんなもんだ。さ、今日はこっちだ」
俺達は馬を預けて、ニルズとニディの後を歩く。
今日のメンバーは、オクソール、リュカ、シェフ、ラルク、ユキそれにアスラール、アスラールの側近セインだ。
側近のセインは何度も会っているが、控えめな人でまだあまり知らない。
「それよりフレイ兄さまだよ。大人なのに」
「フレイ殿下がどうかしたのか?」
「食べ過ぎなんだよ」
「へ? 食べ過ぎ?」
「おっちゃんそうなの。兄さまて、子供みたいな所があるんだよ」
「クーファル殿下とはまた全然違うんだな」
「うん。クーファル兄さまはいつも冷静で頼りになる。でもね、カリスマ性はフレイ兄さまなんだ」
「ほぉ。さすが次期皇帝じゃねーか」
「親父、俺先に乗るから」
「ああ、分かった。殿下、今日の船だ。昨日より小さい船じゃないと、あそこに行けないんだよ。浅いからな」
「うん。おっちゃん」
「シェフ、どこら辺だった?」
もう船は動き出している。昨日シェフが見つけたポイントを目指している。
「殿下、もう少し沖ですね。白く見えたので、きっと珊瑚礁があるのでしょう」
「うん。どうなってるんだろう。楽しみだ」
実は少し思い浮かべているのがある。
前世、地球で世界遺産に登録されていたりするアレじゃないかな? て、思っている。
だって、遠浅で珊瑚礁だからな。前世でも見た事ないからな。是非見てみたい。
「殿下! もうすぐだ! あそこに白く見えるだろ?」
ニルズが指差す方を見る。
確かに白く見える。もう少し近くで見たい。
どんどん船が近づいて行く。
今、船が進んでいる海底にも珊瑚がある。海の色が違う。その上、透明度が高い。綺麗な海だ。地球だと、良いリゾート地になるだろうな。まあ、ここには魔物がいるんだけどな。