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245ーユキは子煩悩

「あ! リリ殿下! ズリーよ!」

「アース、何言ってんだ!?」

「いってんら!?」


 アハハハ、アウルース言えてねーよ!


 アースとレイがついてくる。リュカが走って側に戻ってくる。


「俺もユキに乗りたい!」

「アース、一周したらな。後で交代してやるよ」

「やりゅよ!」

「お!? アウル、いいのか? カッコいいなー!」

「あい! ユキしゃんカッコいいれす!」

「アハハハ! 可愛いなぁ!」

「アース様!」


 アンシャーリがアースを呼んでる。アスラールを引っ張ってこっちに歩いて来ている。


「おい、アース。アーシャが呼んでるぞ」

「レイ、お前相手してやれよ」

「お前さぁ、本当にもっとよく考えろよ。お前が呼ばれてるんだろ?」

「だりょ〜?」

「アウルは可愛いな〜!」

「レイしゃまも、かわいーな〜!」

「アハハハ、殿下この可愛いのは何ですか!? どうします!?」

「な、レイ。可愛いだろ?」

「だろ〜? キャハハハ!」

「ほら、アース。行ってきな」

「リリ殿下まで。俺小さい女の子は苦手なんですよ」

「アースが苦手なのは小さい女の子だけじゃないだろ? 女の子全般苦手だろ?」

「リリ殿下、ヒデーよ」


 あー、平和だ。良いね〜。こんな平和な日々。お休みサイコー!



「リリアス殿下!」


 アスラールに抱かれてアンシャーリが来たよ。


「アスラ殿、どうしました?」


 俺は、ユキに乗ってゆっくり移動しながら答える。


「アイシャとレイリを覚えておられますか?」

「ああ、もちろん!」

「りょん!」


 この意味不明な合いの手? は、アウルースだからな。


「二人も殿下にご挨拶したいと言ってまして」

「ああ、もちろん。どうなの? 上手くやってるのかな?」

「はい、殿下。2年前にアイシャとレイリが婚姻しましたよ」

「ええ!? 良かった! レイリ頑張ったんだ!」

「いえ、殿下。逆です」

「逆?」

「ぎゃきゅ?」


 言えてねー! それがまた可愛いー!


「はい。アイシャがレイリに婚姻を申し込みまして。」

「ええー!」

「ええー!」

「えーー!」


 アウルースが一緒に驚いた振りをしている。ちゃんと顔までビックリした顔をしている。もう一人の「えーー!」はリュカね。


「アウル、上手だね」

「エヘヘへ」


 んん〜! 可愛い! いかん! 俺はショタコンじゃねーからな!


「レイリは、両思いだったんだね」

「はい。レイリがグズグズしているので、アイシャが痺れを切らした様で」

「アハハハ、いいじゃん!」

「キャハハハ!」

「アウル、一周したらあたしと交代よ?」

「えぇー!」


 アウルースが嫌な顔してるよ。まだ乗っていたいんだな。アウルースはユキが好きみたいだ。


「アウル、独り占めは駄目だよ。みんなで仲良くしなきゃね」

「あい! リリしゃま!」

「リリ、我はおもちゃじゃないぞ」

「ユキ、いいじゃん。アンシャーリも乗せてあげて?」

「まあ、構わなんがな」


 なんだよ、ユキさん。尻尾が大きく揺れてるぜ? やっぱ子供には優しいね。



「はい、じゃあアウル交代だよ」

「あーい」


 リュカが抱き上げて下ろしてくれている。


「アース様! 一緒に乗って!」

「ええー! 俺!?」

「アース、いいじゃん。ご指名だよ?」

「クフフフ」

「レイ、笑うなよ」

「いや、アース。頑張れ」

「仕方ないなぁ。ユキ、いいか?」

「ああ、しっかり落ちない様に支えてやってくれ」

「ああ、ユキ。分かった」

「いや、ユキ。そんな良いのか?」


 アスラールが躊躇してるよ。まあ、ユキさんは神獣だからね。


「構わぬ」


 アースが先にユキに乗る。アスラールがアンシャーリを抱き上げてユキに乗せる。


「じゃ、一周してくる」

「ああ、アース。しっかりアーシャを支えるんだよ!」

「リリ殿下、分かってる!」


 ユキがゆっくりと動き出す。なんだかんだ言っても、アースは面倒見がいいよな。



「いやぁ、殿下。神獣様に申し訳ない」

「アハハハ、アスラ殿。ユキは子供が好きみたいですよ」

「そうですか?」


 ユキがアースとアンシャーリを乗せてゆっくり移動しているのを眺めている。

 アンシャーリ、嬉しそうだ。


「はい。でもアスラ殿。アーシャはアースがお気に入りみたいですね」

「もう、女の子はオマセで。昨日は近衛師団の制服がカッコいいとか言っていたのに。何を考えているのか。

 アースも兄君の様に騎士団を目指しているのですか?」

「そうみたいですよ」

「そうだ、レイのお父上はもしや、事務次官をなさってる……?」

「はい、そうです。父をご存知ですか?」

「もちろんですよ。知らない貴族はいないでしょう」


 ほぉ……まあ事務次官なんだもんな。

 てか、俺はレイの父親が事務次官だなんて知らなかったよ。5年も友達してんのにさ。


「そうですか。優秀なお父上で」

「有難うございます」

「殿下、明日はニルズに会いに行きますか?」

「え! 行きたい! いいのですか!?」

「れしゅかー!?」

「アウル、お前いちいち煩いよ」

「ぶぅー……!」


 アスラールに叱られて、アウルースはほっぺを膨らませた。


「アハハハ、アウル、ほっぺが膨れてるよ! アスラ殿、いいじゃないですか」

「リリしゃま! ぶー?」

「ううん。アウル、いいよ」

「あい!」


 アウルースがズッと俺と手を繋いでいる。このまま素直に育ってほしいなぁ。


「リリ殿下、お顔が父親の顔になってます」

「あらら……」

「ありゃりゃ……」

「ブフフ……」


 リュカ、今絶対に思い出したろ? 3歳の頃の俺をさ。だって俺も思い出したからね。


「しかし、アウルがこんなに殿下に懐くとは」

「もしかして、姉さまの血を継いでるからとか……」

「殿下……なかなか鋭いかも知れませんね!」

「リュカ、そうだろ?」

「はい。フィオン様もね……」

「ああ……なるほど。血筋ですね」

「アスラ殿まで納得しないで下さい。ラルク、船は大丈夫?」


 皆、船なんか見た事もないだろう? 船酔いしないか?


「船ですか? 乗った事がないので、何とも……」

「そうだよね。帝都にいたら船に乗る事なんてないもんね。レイ達はどうする?」

「アースがじっとしてないでしょう? 僕もご一緒しますよ」

「では、ニルズに伝えておきます」

「はい、アスラ殿。お願いします」

「リリしゃま、ボキュも」

「あー、アウルはまだ小さいからなぁ」

「いや! ボキュも!」

「アウル、母さまに聞いてからだ」

「おじしゃま、だめ。ボキュも!」


 こんな所もフィオンにそっくりだな!


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