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237/437

237ー出発まで

 さて、クーファルの婚約者選びもまぁ一段落して俺はまた魔石に付与している。

 なんでかって? 以前作った転移玉(命名by.俺)だが、あの時は即興だったし多分最前線に出るだろう者にしか渡していなかった。それを最近、思い出した奴がいる……セティだ。抜け目ない。


 あれを騎士団長や近衛師団、従者達に持たせたいから作って欲しいと要望がきた。

 それと、インカムだ。いや、違う。インカムをイメージしたピアス型の魔道具だ。あれも主要人物に持たせたい。らしい。


 はいはい、作りますよ。と、作っている。で、俺のすぐ側でガン見している奴がいる……レイとラルクだ。

 


「……何? やりにくいんだけど」

「殿下、お気になさらず」

「うん。リリ殿下、気にしないで下さい」


 ラルクもレイも身を乗り出して見ている。マジ、やりにくい。


「殿下、辺境伯領への出発は明後日ですよ。早く作らないと間に合いませんよ」

「ラルク……」

「はい?」

「だから、やりにくい……」

「殿下、お気になさらず」


 静かになったので、ふとレイを見ると魔石を握って付与しようとしている。


 いや、レイ。転移玉は無理だよ。まあ、

ピアス型の魔道具も無理だと思うけどさ。

 レイはまだ空間魔法が使えない。

 それを考えると、レピオスは医師なのに魔法に長けている。レピオスはマジックバッグを作れるからな。

 俺がマジックバッグの作り方を教わったのがレピオスだ。俺が作ったのと、レピオスが作ったのとでは容量が違うらしいが。


 今回の辺境伯領行きはレピオスはお留守番だ。王国に行った時に、レピオスがいれば! て、場面が何度もあったので同行を願い出たのだが今回は必要ないと、セティに却下された。

 俺はさぁ、お休みなんだよ。レピオスとウダウダと医療談議でもしながらゆっくりしたい訳だよ。お休みに連れて行くなよ、て意見もあるがな。

 だってさ、仕方ないじゃん? レピオスが1番気が合うんだからさ。やっぱあれだね。歳が近いからだね。前世の俺の歳だけど。



「リリ、何グダグダ考えてんの?」


 ポンッとルーが現れた。


 ルーは以前の様に常に側にいる事はなくなった。俺の周りもかなり落ち着いたし、本人曰く『加護を与えているから、側にいなくても分かる!』らしい。本当かよ。

 だが、呼べば直ぐに来てくれるし、要所要所ではアドバイスをくれるので、今の俺はそれで充分だと思っている。


「あらら、ルー久しぶりだね」

「ああ。僕も色々忙しくてね」


 ――ガタッ‼︎


 あー、ラルクが跪いちゃったよ。レイとアースは固まってるよ。あれ? レイとアースはもう5年も遊びに来てるのに、ルーは初めてだったんだな。


「ルー、お願い」

「ああ、初めてだったかな?」

「みたいだね」

「あー、その、普通にしてほしいんだ。僕はルー。リリに加護を授けた光の精霊だ。

 でも、堅苦しいのは嫌だから普通にしてよ」


 普通にしてと言われても、鳥さんが喋ってるんだから驚くよね〜。


「ルー様、ラルクと申します。まだ側近候補ですが、私はリリアス殿下にお仕えするつもりでおります。宜しくお願いします」

「うん。見ていたから知ってるよ。リリの事よろしくね」


 ラルクが片膝をついて、丁寧に挨拶した。


「本当に加護してたんだ……」

「おう、アースだね。本当だよ。そっちはレイか。君は努力家だね」

「「……!!」」

「フハハハ。ルーは相変わらず、そう言うの好きだね」

「リリ、なんだよ」

「私は何でも知ってるぞ〜みたいなさ」

「知ってるんだから仕方ないだろ?」

「はいはい。レイ、アース。ルーだよ、よろしくね」

「あ……ルー様、レイと申します。宜しくお願いします」

「あ! アースです!」


 2人共、緊張してんのか? 直立不動だぜ。


「アハハハ、良い子達だ」

「でしょう? ボクのお友達なんだ」

「リリ、また辺境伯領に行くんだって?」

「うん。今回はボクのお休みなの。フィオン姉さまの子供に会いに行くんだ」

「そうか、お休みか」

「ルー、このタイミングで出てくると何かあるの? て思っちゃうんだけど」

「そんな事はないさ」

「本当に?」

「ああ。ただ……まあ……な、あれだ。どこに行くにしても、気をつけるに越した事ないからね。リュカ、頼んだよ」

「はい、ルー様!」

「あれ、使ってる?」

「はい! 練習してますよ。オクソール様もガンガン使ってます」

「マジで!?」

「リリ、何だ? リリはレベルアップするの忘れてるだろう?」

「うん、忘れてた」

「リリは魔法を使う習慣がないからなぁ」

「うん。困らないからついね」

「でも、ボクが前に辺境伯領で言った事覚えてる?」

「何だっけ?」

「リリは澱みの後とか、魔素の濃い所には近寄らない方がいいよ、て言っただろ?」

「あ〜……」


 そんな事も言ってたなぁ。すっかり忘れていたぜ。


「辺境伯領は多いから気をつけてね」

「うん、分かった」

「何かあったら直ぐに呼んで」

「うん、有難う」

「それだけだ。じゃあね」


 ポンッとルーが消えた。


「……マジか……」

「ビックリした……」

「畏れ多い……」


 はい、順にアース、レイ、ラルクの言葉ね。


 しかし、態々ルーが一言言いにやって来ると言う事は……もう少し気を引き締めた方が良いかも知れない。

 せっかくの俺のお休み、バカンスなのに!



 それから俺はサクッと転移玉とピアス型魔道具を作った。 

 毎日のオクソールの鍛練も続けている。鍛練には毎日ラルクも参加している。アースは1日で根を上げた。

 ルーに言われて思い出したので、スキルのレベルアップもやり始めた。

 こうして、出発の日になった。



 今回は大所帯だ。なので俺が転移門に魔力を流すので、転移するのは1番最後だ。

 まず、フレイの第1騎士団を転移させた。次は近衛師団だ。これで総勢40名。騎士団30名に近衛師団から選抜された10名。

 今回は皇后様も一緒だから、近衛師団が護衛として同行する。

 次に皇后様、皇后様付きの侍女2名、母、母付きの侍女2名、フレイ、フレイの側近のデューク、レイ、レイ付きの侍従、アース、アース付きの侍従を転移させた。

 そして最後に、オクソール、リュカ、ニル、シェフ、ラルク、ユキ、俺だ。


「ご一緒出来なくて、残念です。お帰りをお待ちしております」 

「うん。レピオス」

「リリ、兄様も一緒に行きたかったんだが」

「クーファル兄さま、また今度一緒に行きましょう」

「ああ。気をつけるんだよ」

「はい、兄さま」

「リリ、気をつけてな」

「はい、テュール兄さま」

「リリ、楽しんでおいで」

「はい、フォルセ兄さま」

「リリアス殿下、フレイ殿下を宜しく頼みます」

「大丈夫ですよ、シャル様」

「リリアス殿下、無事にお戻り下さいね」

「有難うございます。ナリーシア様」

「リリ、のんびりしておいで。皇后とエイルを頼んだよ」

「はい、父さま。じゃ、行ってきます!」


 皆に送り出され、俺は転移した。


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