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232ーオクソールの餌食

 オクソールとリュカと一緒に部屋に戻ると、アースとレイが来ていた。


「殿下、鍛練はもう終わりですか? その腰の剣は?」


 部屋でニルに色々教わっていたらしいラルクが剣に気がついた。


「父さまに頂いたの。オクとリュカの剣も新しくなったんだよ」


 1番に反応したのは、アースだ。


「剣! リリ殿下も!?」

「うん、アース。ボクのは子供用だけど」

「リリアス殿下、こちらが?」


 そうか。オクソールはまだラルクに会ってなかったな。


「うん。ラルクだ」

「オクソール様、お初にお目に掛かります。ラルク・ナンナドルと申します。宜しくお願い致します」

「こちらこそ、オクソールです。ラルク殿は側近ですか?」

「はい。正式には候補です。が、私はリリアス殿下にお仕えするつもりでおります」


 あ……オクソール。俺、分かっちゃったぜ。


「ふむ。では明日から殿下と一緒に鍛練を始めましょう」


 やっぱりな……ラルク、お前も死ぬよ?半分死ぬよ? かわいそうに。


「はい! 宜しくお願い致します!」

「あらら……」

「え? 殿下、その反応は何ですか?」

「ううん。ラルク、頑張ってね」

「いいなぁ……」


 おい、アース! 余計な事言うんじゃないよ! お前も死にたいのかよ!


 俺が剣をラルクに渡してソファーに座ると、ニルがりんごジュースを出してくれる。よく出来た子だよ。

 ユキもりんごジュースを貰いに寄ってくる。ユキさん、よく分かってるね。


「アース殿は興味がおありで?」

「もちろんです! でないと僕、騎士団の訓練を見に行ったりしませんよ!

 オクソール様、オクソール様は僕の憧れなんです!」


 あー、もう知らねー。前は小さかったから相手にされなかったけど。俺、知らねーよ?


「では、試しに参加されますか? 毎朝騎士団の鍛練場でやっておりますので」

「いいんですか!?」

「まあ、お試しに」

「はい! 有難うございます!」


 あー、犠牲者が増えたよ。マジ、半死するよ? 俺は知らないぜ。


「アース。お前な、だからもっと考えろって!」

「なんだよ、レイ。いいじゃんか!」

「オクソール様、宜しいのですか? お邪魔になりませんか? アースは子供ですし素人です。リリ殿下の鍛練のお邪魔になりますよ?」

「まあ、お試しですので。ついて来れなければ放っておきます」

「頑張ります!」


 アース、やる気だね。アースはスキルも持ってるし、いい機会と言えばそうなんだけどね。


「殿下、この剣は……!」


 俺の剣を持っていたラルクが気付いたらしい。


「ラルク、ミスリルだよ」

「「ミスリル!?」」


 アースもレイも煩いよ、何だよ?


「ねえ、ニル。お昼まだかな?」

「殿下、お腹が空きましたか?」

「うん」

「我も空いた」

「ユキ、なんもしてないじゃん」

「しなくても、空くものは空くのだ」

「もう少し我慢して下さい。今何か食べると、お昼が食べられなくなりますからね」

「はーい。ニル、りんごジュースおかわり」

「いやいや、殿下! ミスリルの剣!」

「ん? アース何? オクとリュカの新しい剣もミスリルだよ」


 アースとレイがグインッと首を回してリュカを見る。


「アハハ、興味津々ですね。見てみますか?」

「リュカさん! いいの!?」

「はい。ただ絶対に触らないで下さい。よく切れますからね」

「「はいッ!!」」


 リュカが皆から少し離れて、シャランと剣を抜いた。おー! 音が違うぜ。


「「おぉーー!!」」

「素晴らしい……!」


 ん? ラルクもか? 3人並んでめちゃ見てる。ラルクは両手で俺の剣を持ったままだ。

 手に同じミスリルの剣を持っているのに、リュカの剣を見に行っている。変なの。


「ねえ、オク。フレイ兄さまが言ってた様に、慣れないと剣を抜く時に手を切るの?」

「はい。時々ありますよ。殿下は腰に下げられますから、慣れないと余計に危ないです。以前、本当にテュール殿下が切られてましたから」

「そうなんだ。よく切れる、てセティが言ってたし。怖いね」

「ですから、その扱い方をお教えします」

「うん……テュール兄さまは騎士団を担当されるの?」

「ええ。テュール殿下はお小さい頃から騎士団を目指しておられましたから」


 オクソールが言うには……

 テュールは今年、アカデミーを卒業して、第3騎士団に入る予定だそうだ。入隊だ。そこで何年か経験を積んで、第3騎士団を担当する事になっているらしい。

 フレイやクーファルは騎士団の経験なしで担当しているので、わざわざ入隊しなくても構わないらしいが、テュールの希望で経験を積みたいと入団する事になったそうだ。

 スゲーなぁ。テュールは小さい頃からブレないなぁ。俺が3歳の時にはもう騎士団の話をしていたもんなぁ。

 

「そうか……テュール兄さまとフォルセ兄さまどうしてるかなぁ……」

「お二人なら今日はいらっしゃいますよ。お昼ご一緒できると思います」

「ニル、そうなの? 嬉しい」


 リュカの剣でワイワイやってた、ラルクが戻ってきた。


「殿下、第3皇子殿下と第4皇子殿下ですか?」

「うん、ラルク。お二人共お優しいんだ。フォルセ兄さまなんて、妖精さんみたいに可愛い」

「え!? リリ殿下、何その表現」

「アース、マジだよ。フォルセ兄さまは本当にとんでもなく可愛いでしょ?」

「そうですね。フォルセ殿下は本当にお可愛らしい。あの殿下は本当に人ですか?」

「いや、レイ。何言ってんの?」

「リリ殿下、それ程可愛いと言う事ですよ。正直、リリ殿下も初めて見た時は驚きましたけどね」

「え? ボク?」

「そうだよな。リリ殿下も、なんて可愛らしい皇子殿下なんだ、て思ったよ」

「やっぱアースも思ってた?」

「ああ、レイ。めちゃ思った。周りに集ってる女の子なんて、霞んでたもんな」

「え……」

「あれ? リリ殿下、自覚ないですか?」

「は……?」

「いや、だから殿下」

「アース、止めとけ。リリ殿下は全然自覚ないから。天然だから」

「ああ、レイ。そうだったな」


 なんだと? 腑に落ちないぜ!


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