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219ー10歳のアースとレイ

「リリアス殿下!」


 おう、来たか。アースとレイだ。

 5歳の時に友達になったから、こいつらとの付き合いももう5年になる。


「レイ、大きな声を出してどうしたの?」


 レイが大きな声を出すのは珍しい。いつもうるさいのはアースの方だ。

 

「魔力量の測定ですよ!」

「ああ、どうだった?」 

「僕は平均の約10倍だと言われました! リリ殿下に言われた通り、毎晩魔力を使い切っていたんです! そしたら10倍です! もう、驚きました! 兄より多いのですよ!」

「そりゃあ、良かった」


 7歳の時に、レイとアースには教えていた。

 毎晩寝る前に、魔力を使い切れと。枯渇しない様に注意して、ギリギリまで魔力を使うと魔力量が増えると。そしたら、この結果だった。


「アースは?」

「俺は5倍でした」


 ん? その差はなんだ?


「あー、俺鍛練で疲れてしまって。魔力を使う間もなく寝てしまう事がよくあって」


 なるほど、そうか。

 レイは真面目に毎晩やっていたんだな。日々の努力の成果だ。


「で、二人とも属性は?」

「はい。俺は火でした。両親や兄二人も火なので、やっぱりて感じです」


 そうか、アースは火か。戦闘では、1番使われる属性だからいいじゃん。


「僕は、水と風でした」


 おお、レイは2属性か。


「両親の、両方の属性を貰った感じです」


 ほぉ、なるほど。属性も遺伝が関係あるのか?


「リリ殿下! 教えてください!」

「え? レイ、何? どうした?」

「殿下、7歳の時に言ったでしょう?」


 ああ、あれかぁ。

 

 7歳の時に、俺がせっせと魔石に付与しているのを見て、レイは自分も魔法が使える様になりたいから教えて欲しいと言ってきた。

 あの時は、両親に相談しろと話した。

 レイは両親に、10歳の魔力量の測定と属性の確認が済んでからだと言われたそうだ。

 それで、レイはずっと我慢していた。魔法の指南書での知識はガンガン入れていたが。


「あー、ご両親はいいって?」

「はい! もちろんです!」


 そっか。でも教えると言ってもなぁ。

 

「レイ、鑑定してもいい?」

「はい! どうぞ!」


 え、いいのかよ。皆なんで躊躇しない? 嫌じゃないのか?


「いいの? 全部見えちゃうよ?」

「なあ、鑑定て何だ?」

「アース、お前は黙ってろよ」

「レイ、なんだよ」


 コラコラ、喧嘩するんじゃないよ。子供らしくて微笑ましいな。


「レイ、落ち着いて。アースあのね、鑑定てスキルをボクは持っているんだ。それで、その人の持っているスキルや能力、状態とか全部見えるんだ」

「リリ殿下、スゲーんだな」

「アース、お前何をいまさら」

「まあまあ、レイ。ボクもさ、まだシオンに教えてもらってる立場だから、教えられるか分かんないんだ。とりあえず、レイの能力を見せてね」

「はい、どうぞ!」


 ま、本人がそう言ってるんで、遠慮なく。


『鑑定』


「レイ、物作りが好きなの?」

「え……はい。実は、大好きで」


 レイを鑑定してみて、ちょっと意外だった。

 レイは俺の印象では、本の虫。いつも本を持ち歩いているし、実際にいつも読んでいる。

 だから、この鑑定結果は少し意外だった。


「レイは生産てスキルを持ってる。だから、何か作ったりするのが得意なんじゃないかな? エンチャント、付与だね。もしかして、錬金術も興味あるかな? あ、そうか。だからボクが魔石に付与してるのに、興味を持ったんだ。

 あと、これは後から出来たんだろうけど、計略と並列思考。いつも、本を読んだり考えたりしてたから、出来る様になったんだね。凄いや」


「へ? 殿下、何? 俺、全然分からん」


 ああ、アースは脳筋だからいいんだ。


「でも、レイ。まだまだ下位だ」

「下位……まだまだ成長すると言う事か……」

「そう。だから、使いまくって」

「え? 使い……?」

「うん。スキルは使わなきゃ駄目。使えば使う程、上位にレベルアップするから。

 沢山の本を読んで理解して考える。いろんな物を作る、合成する、付与する。そうしてると、レベルアップするよ」

「リリ殿下! 教えて下さい! 付与! 錬金!」


 え、えー! レイ、性格変わった?


「本を読んだりとかは、僕の趣味ですから。今迄通り続けます。でも、合成とか錬金、付与なんて無理です!」

 

 あー、まあ、それ位ならできるか。


「レイ、分かった。ボクが教えられる範囲だけど、それでもいい? 侯爵家のお抱えとかいるんじゃない?」

「いえ! 僕は殿下がいいです!」


 あら、そう? レイが良いなら、良いけど。


「待て、待て! 俺は?」

「アース、何?」

「リリ殿下、俺も見てよ!」

「え? アースはいいじゃない。そのまま真っ直ぐ騎士団を目指したらさぁ」

「いや、騎士団も数年前から魔法の訓練をしているらしいんだ」


 あー、あれだな。剣に付与するのと、自分でブースト、プロテクトする為にだな。


「俺、魔法は苦手なんだよ」

「アース、苦手て程使ってないだろ?」

「レイ、黙ってろよ。今は俺の番じゃんか」


 番て何だよ。いつの間に順番制になったんだよ。


「あー、じゃあアースも鑑定していい?」

「おう!」


 こいつ、絶対分かってねーぞ。ま、いいか。


『鑑定』


 あー、はいはい。脳筋ですね。


「アース、そのままでいいよ」

「えー! なんだよそれ! 俺、短いじゃん!」


 短いも長いもないんだよ。


「アースだけじゃなくて、レイもだけどさ。まだ全然魔力操作が出来ないだろ? とにかく、それが1番最初だよ。魔力操作は基本だからね。今、騎士団でもやってるだろ?」

「そうなのか?」


 アース、お前しょっちゅう騎士団の鍛練を見に来てるのに、分かってないのかよ。


「よし、じゃあまず自分の中の魔力を感じよう」


 即席シオン先生じゃなくて、俺の魔力操作の講座開講だ。


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