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210/442

210ー魔石とミスリル

「リリアス殿下、結局150近くになってしまいます」


 そうか、150か。て、150セットだよな。


「父さま、時間をもらえますか? 騎士団一団位の数だったら、1日でできますが。150になると、流石に時間が欲しいです」

「ああ、リリ。それはもちろんだ。あと、皇后と側妃、テュールとフォルセ、其々の侍女と側近にも持たせたいんだ。それで150だ」

「分かりました。で、魔石は?」

「殿下、私の方でご用意します」

「セティ、あのね。魔石に付与するのはボクがするから、それを形にする人を寄越してほしいんだ」

「殿下、形にですか?」

「うん。認識票につけられる形にとか、ネックレスのトップにする形に加工する人だね。

 王国に行く時は時間がなかったから、ニル達侍女の皆が頑張って作ってくれたんだ。でも、今回は数が多いから、職人さんを寄越してくれたら助かる」

「ああ、なるほど。分かりました。手配致しましょう」

「お願い」

「では、殿下が付与別に分けて頂いた魔石を、職人に渡す事に致しましょう」

「うん。それは助かるよ」


 うん、それがいい。そしたら、俺は魔石に付与するだけで済むからな。助かるわ。


「それはそうと、リリ。今日は皆で何をしていたんだい?」

「今日ですか? 何をと……あ……」

「うん。教えてくれるかな? 詳しく」

「父さま、フレイ兄さまかクーファル兄さまが、ご相談すると思いますよ?」

「そうだね。でも、父様は今知りたいんだ」


 はぁ……ニッコリされたよ。そうかよ、今かよ。

 俺は事の詳細を、父に話して聞かせた。


「殿下、それはまた……!」

「セティ、でもね。フレイ兄さまが良い例だけど、騎士団は魔力操作が苦手みたいなんだ。制御となるともっと駄目なんだ」

「まあ、普段は剣ですからね」

「うん。でも、剣の威力が上がって、隊員達の身体能力が上がるなら、するべきでしょう?」

「もちろんです」

「だからね、フレイ兄さまが、ウォルターとシオンに相談している筈だよ」

「フレイが、魔術師団長にか?」

「はい。父さま。良い事でしょう?」

「ああ。今まで、騎士団と魔術師団は妙な確執があったからね。これを機に、交流できると素晴らしいね」

「はい。実際にシオンが、即席でほんの少し騎士団を指導しただけで、出来る者が増えました。

 そうなると、他の隊員達も、自分も出来る様になりたいと思っている筈です。

 何より、目の前でフレイ兄さまの、超人化の様な変化を見ていますからね」

「そうだね。しかし、どうして急にそんな事をやり出したんだい?」

「えっと……きっかけは……

 ああ、シオンです。アスラ殿が、剣に魔法を付与するのに興味を持って」

「なるほど、アスラールか」

「はい。昨日、アスラ殿に見せてもらって……シオンが騎士団に即席で教えて、て感じです」

「リリ、じゃあアスラールも出来るのかな?」

「えっと……昨日、アスラ殿もブーストとプロテクトは出来ていましたが、兄さま達の様な感じではありませんでした。魔術師団に付与してもらう時と、同じ感じです」

「そうか。フレイにクーファル、オクソールにリュカ、シェフとニルか」

「はい。フレイ兄さまは別格です。魔力操作を覚えれば、無敵です」

「そうか、フレイが」

「2属性同時付与なんて、ボクもできません」

「リリが出来ないのか?」

「はい。試した事ないです」

「リリ、出来ないと、試した事がないのとは違うね」

「父さま?」

「まあ、リリはまだ子供だ。ゆっくりでいい」

「……?」


「陛下、これは鉱山の調査も、早く進める方が良いですね」

「ああ、セティ。ミスリルか」


 ああ、王国の事があったから、すっかり忘れてた。ミスリルは硬いだけでなく、魔力との相性も良い。魔力が良く馴染むんだ。


「セティ、騎士団と近衛師団の分位なら、余裕であの鉱山にあるよ」

「殿下、あの爆発のあった鉱山にですか?」

「うん。余裕だよ」

「リリ、本当に?」

「はい。父さま。マジ余裕です」

「そうか。セティ、採掘しよう!」

「陛下、では鉱夫を増やしますか?」

「セティ、鉱夫なら土属性の人がいい」

「リリアス殿下、それは何故です?」

「硬いの」

「硬い?」

「うん。ミスリル鉱脈の前にある岩盤が超硬いの」

「それと、土属性とどう関係が?」

「魔法でないと、岩盤を破壊するのは無理なんだ。だから、今まで採掘されていなかったし、発見されていなかった。

 でも、前に説明した様に坑道には粉塵があるから、引火の原因になりそうなのは使えない。静電気でも駄目。

 鉱石の成分で、水に反応する物があったら引火するから、水も駄目」

「はあ……」

「だからね、岩盤を土属性の魔法で砕くか、土属性の魔力を流して崩すの。風も悪くはないと思うけど、1番安全なのは土」

「なるほど。分かりました」


 俺は、マジックバッグからりんごジュースを出して飲む。よく喋ったよ。


「コク……コク」

「ああ、思い出した。リリ、エイルがマジックバッグにする物を探していたよ」

「そうですか。何でもいいのに」

「拘りがあるんだろうさ。父さまにも作っておくれ」

「はい。いつでも作ります……コクン」


 俺はりんごジュースをマジックバッグに仕舞った。


「そうだ、リュカ。お前も凄くなったそうだな」


 セティが、後ろに控えていたリュカに話しかける。


「セティ様、リリアス殿下のお陰です」

「リリ? 何をしたんだい?」

「父さま。リュカは身体の中で、魔力がうまく循環していなかったのです。胸の下辺りで止まってしまうと言うか、堰き止められると言うか。それを、流しました」

「はぁ? 殿下、全く意味が分かりません!」

「えっと、セティ。とにかく流しました。そしたら、魔力の流れがスムーズになって。良くなりました!」

「はぁ……」

「はい! 良くなりました!」

「リュカ、分かってないだろう?」

「セティ様、なんとなくです」

「でも、リュカがよく転んでいたのは、それが原因だったと思います」

「だそうです!」

「ハハハ! リュカ、お前全然分かってないじゃないか!」

「リュカの、叙任式もそろそろ考えないとね」


 リュカの叙任式かぁ……なんか俺、泣いてしまうかも知れん。リュカは護衛や、従者てだけじゃないからな。

 俺、感動してしまうかもよ? リュカ。


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