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207/442

207ークーファルお前もか!

「兄上! またいないと思ったら! 何をしているんですか!」


 クーファルが来て、第一声がこれだ。


「だからリリ。叱られると言ったじゃないか」

「クーファル兄さま、ちょっと検証していたんです。怒らないで下さい」

「リリ、兄上を庇わなくても良い。甘やかすと調子に乗るからな!」

「クーファル兄さま、本当なんです。兄さまも試して欲しいです」

「え? リリ、本当なのか?」

「はい、ほら兄さま。ウォルターもシオンもレピオスもいます」

「あ、ああ。そうなのか」


 クーファルに説明した。で、クーファルも試して欲しいと。


「あのアスラール殿がされていた?」

「はい、そうです。リュカ、剣を兄さまに」


 リュカが、ピューッと剣を持って走ってきた。


「おや? リュカどうした?」

「え? 兄さまにも分かりますか?」

「ああ、動きが全然違うじゃないか」


 また、俺は説明した。何回目かなー。


「しかしリュカ。どうして今迄気付かなかった? 原因は何だろう?」


 だよな、だよな? 俺もそう思うよ。

 まあ、リュカだしな。それでも身体能力は高かったんだよ。


「じゃあ、兄さま。先ずは剣に付与して下さい」

「ああ、リリ」


 クーファルが、集中して剣をゆっくり撫でる。


「えッ!?」

「なんとッ!?」

「これはまた、素晴らしい!」


 これは、ウォルターとシオンとレピオスのセリフね。

 さすが兄弟だよ。ビックリしたよ。

 クーファルが剣を撫でると、なんと炎の剣になったんだ。

 火属性を付与したんだろう。普通だと、剣が赤くなるはずだ。

 それが、剣自体が炎になったんだ。剣の形をした炎だよ。これ、剣は大丈夫か? 溶けてねーか?


「リリ! クーファルのこれは何だよ! こっちの方が、カッコいいじゃないか!」


 フレイよ。子供かよ。落ち着こうぜ。


「フフン」


 クーファルまで自慢気だ。この兄二人は争ってんのか?


「兄さま、凄いです。炎の剣だ!」

「リリ、そうかい? 兄さまは凄いかい?」

「はい! 兄さま! 風属性もやってみて下さい」

「風か」


 クーファルが集中すると、そのまま剣が風の剣になった。

 撫でてないんだぞ。いきなり炎がシュンッと消えて、剣の形の緑の風になった。

 柄はそのままで、剣身、ブレードと呼ばれる部分が緑の風がまとわりついているのではなく、風そのものに変わった。

 こんなの見た事ねーよ!


「クーファル殿下! 素晴らしい!!」

「ウォルター、そうか? 出来るもんなんだな? しかし、これは……」

「クーファル殿下! 駄目ですよ! 斬ったら普通に死にますからね!」


 クーファルに見られたリュカが、先に言った。

 アハハ、リュカ面白い。斬る訳ねーじゃん。


「リュカ、斬る訳ないだろう。しかし、斬ってみたくなるな」

「殿下、巻藁で試してみますか?」

「オクソール、良いか?」

「はい」


 オクソールが目で合図すると、騎士団が巻藁を持ってきた。

 巻藁とは、あれだ。藁を必要な量束ねて、藁縄で巻き締めてある筒の様な形をした物だ。


 騎士団の隊員達も、見ながら自分でも試している。そうだな、1/3位の隊員が付与できている。

 しかし、魔力操作がイマイチだ。


「では、遠慮なく」


 そう、クーファルが言って軽く剣を振った。

 本当に軽く振っただけだ。それだけで、風の斬撃が飛び巻藁を真っ二つに切断した。


 見ていた騎士団から、おおー! と、歓声が起きる。


「オクソール、俺もやってみたい!」

「フレイ兄さま、待って下さい。先にクーファル兄さまの検証をやってしまいましょう」

「えー、リリー!」


 もう、子供じゃないんだからさ。


「クーファル兄さま、次です」

「ああ」


 あれ、解除したら普通の剣に戻るんだな。どうなってるんだ? 不思議。


「リリアス殿下、一度この時点で鑑定して下さい」

「レピオス、分かった。クーファル兄さま、鑑定してもいいですか?」

「ああ、いいよ」


 軽ッ! クーファルも軽い! じゃあ、遠慮なく。


『鑑定』


「あら、殆ど魔力量は減っていない」

「では、クーファル殿下。次です」


 ウォルターが説明して、クーファルが集中する。


「おお……」


 フレイ程ではないが、クーファルの身体に風が纏わりついた。


「リリアス殿下、鑑定を」

「うん、レピオス」


『鑑定』


 あれ? まただ。フレイに比べると、ほとんど魔力を使ってないな。


「ウォルター。これはクーファル兄さまの、魔力操作が上手と言う事なのかな?」

「リリアス殿下、よくお気付きになられました。そうですね。フレイ殿下は全力なのに対し、クーファル殿下は魔力を加減しておられる」

「え……それどう言う事だ?」

「フレイ兄さま。兄さまより、クーファル兄さまの方が魔力操作がお上手と言う事ですね」

「リリ……兄さま立場なくなってきたよ?」

「兄さま、今まで魔力操作を教わりましたか?」

「いや、全く」

「でしょうね」

「リリ、兄さまに教えて?」

「兄さま、ボクよりウォルターかシオンです」

「ああ……」

「フレイ殿下、魔力操作を覚えたら超人化していられる時間も長くなると思いますよ?」

「レピオス、そうか!」

「クーファル兄さま、そのままプロテクトできますか?」

「ああ、リリ」


 すると、瞬時にクーファルの身体の周りに風ができた。


「凄い、兄さま上手ですね」

「ハハ、リリに褒めてもらうと嬉しいね」

「リリアス殿下」

「うん、レピオス」


『鑑定』


「やっぱりだ。殆ど魔力は減っていない。クーファル兄さま、受けて下さい!」


 俺は木剣で、思い切り斬り付けた。


 ガキーーン!!


「うおッ! 凄い硬い!」

「クーファル殿下、もう解除して下さって構いませんよ」

「レピオス、これは身体に影響はないのか?」

「はい。クーファル殿下、ありません。気をつけるのは、魔力量のみです」

「そうか、騎士団に有益だな」

「クーファル殿下。しかし皆、殿下方と同じ様には出来ません」

「オクソール、お前は?」

「私ですか。さあ、どうでしょう」

「ウォルター、シオン、レピオス。オクソールも検証しよう!」


 ちょっと俺もノリノリだ。


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