20ーぶどうジュース
「ボクもぶどうジュースのんじゃった……!」
リュカから全てを聞いて、俺が先ず言った一言だ。
「殿下、そこが重大なのではなく…… 」
「ねえ、リュカ。そのぶどうジュースは紫だった? うすい緑だった?」
「……え? 緑……?」
「緑? 紫じゃなかった?」
「あ、ああ。緑だった」
「殿下、ですから葡萄ジュースが重要なのではなくてですね……」
いや、レピオス何言ってんだ! 重要だろうが!
「ニリュ、シェフに聞いてきて! ぶどうジュースを売った商人が、まだ街にいりゅか知りたい!」
「あ、成る程。その商人から辿るのですね」
そうだよ、レピオスやっと分かったのかよ。事によっては商人も保護しないと危ないぞ。
「るー! るー! いないの!?」
「いるよ!」
ボンっと、ルーが光と共に姿を現した。
「るー、全部聞いてた?」
「ああ、聞いていたよ」
「じゃあ、オクを探して聞いた事をお話してきて!」
「分かった!」
ポンっとまた消えた。あいつ、やっぱ姿が見えなかっただけなのか?
「リュカ、お話してくりぇてありがとう。そいつりゃ、ゆりゅさないかりゃね。絶対に!」
リュカが変な顔して俺を見てる。あれ? 通じなかった? 『ら行』が、まだうまく言えないからさぁ。
「リュカ? どうしたの?」
「人間は、貴族は……俺達を売り払おうとした。お前は……違うのか?」
「リュカ。このお方は、この帝国の第5皇子であらせられる、リリアス・ド・アーサヘイム殿下だ」
なんとか黄門様みたいな紹介じゃねーか。レピオスやめてくれ。超ハズイ!
「……皇子殿下!」
「そうだ。私達はこの方にお仕えしている。安心しなさい。このお方はその様な貴族達とは違う。私達と一緒に怒って下さる。ご自分よりも、周りの人間を大切にされる。だから、私達は困るんだ。だから、私達はこの小さい皇子殿下が好きなんだ。お前は最高のお方に救われたんだ」
レピオス、ちょっと大袈裟だぞ。俺は普通だぞ。
「……俺達を……助けてくれるのか?」
リュカが俺を見た。
「リュカを保護してかりゃ、オクがしりゃべてりゅんだ」
「……??」
あー、もう! 『ら行』の呪いだぜ! ニル訳して!
「貴方が倒れているのを殿下が見つけられて保護されてから、殿下の護衛のオクソールと言う者が調べに出ています」
そうそう。流石ニルだね。完璧だ。
「オクも何か掴んでいりゅかも知りぇない。オクとルーが戻ったりゃ、とーさまにもしりゃせてもりゃう」
「オクソールが……」
「あ、いや。今度は分かった」
ニルが訳そうとしたのに。リュカ凄いじゃん。俺の『ら行』もう分かってくれるのかよ。
「オクが戻ったりゃ今の話してね。詳しく、覚えてりゅ事全部。支援者の事も、どんな邸だったのかもね。おねがい」
「ああ、分かった」
「リェピオス、リュカの身体はどうなの?」
「殿下がハイヒールを掛けて下さったお陰で、もう大丈夫ですよ。柔らかい物から食べていきましょう」
「そう! よかった!」
「えっ!? ちょっと待ってくれ」
何だ? リュカは何ビックリした顔してるんだ?
「3歳だろ?」
おうっ! 俺は3歳児だぞ! ドヤッ!
「3歳の子供がハイヒールなんて……!」
「本当ですよ。殿下がヒールとハイヒールを重ね掛けして下さったお陰で、君は助かったのですよ」
フンスッ! へへん! スゲーだろ?
「マジか……!」
リュカさんよぉ、マジなんだぜぇ。