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164ー鑑定

 クーファルを見つけて、ルーと確認した事を報告する。


「リリ、明日早速調査したいな」

「はい、兄さま」

「それはルー様が仰った通り、父上が喜ぶよ」

「そうですね。でも、騎士団にとっても良い事ではないですか?」

「まあ、加工してからだけどね。どれだけの量があるんだろう?」

「今まで、気付いてないのです。それに、鉱脈も大きいです。きっと、かなりの量ですよ」

「それは凄い。まあ、今日はもう食事して寝なさい。リリはいつもなら、もう寝ている時間だろう?」


 そうなんだよ。到着した時は、まだ薄暗い感じだったが、もうすっかり日が暮れて真っ暗な夜だ。

 彼方此方に、松明が焚かれているから充分に明るいが。


「はい、兄さま。実はかなり眠いです」

「ハハハ、リリお手柄だったね」

「兄さま、ありがとうございます」


 さて、俺は夕食だ! お腹もすいたし、眠気もヤバイ。まだまだお子ちゃまだからな。


「ユキ、ご飯食べよう! オク、リュカも食べよう!」

「リリ、我はもう腹ペコだ」

「ユキ、そうだね〜。遅くなっちゃったね。シェフに食事をもらおう」


 シェフを探して……と、ニルはどうしてるかな?

 ちょうどニルが、俺を見つけて走ってきた。



「殿下! ご無事ですか!?」

「ニル、大丈夫だよ。ニルも危険はなかった?」

「はい! 私はもう全然大丈夫です」

「じゃあ、ニル。夕食にしよう! 遅くなっちゃった!」


 お、シェフが手を振ってるよ。


「殿下! 食事ですよ!」

「うん、シェフ。お腹すいちゃった! オクもリュカもニルも、みんな一緒に食べよう!」

「殿下は変わりませんね」

「リュカ、何?」

「いえ、3歳の頃も、みんな一緒に食べようと仰ってましたね」

「だって、みんなで食べる方が、絶対美味しいじゃん」

「そうですね」

「オク、騎士団も手の空いた人から順に食事する様に言って」

「はい、分かりました」


 そして中央の広場に即席に作られた食堂では、騎士団や調査の為の文官、レピオス達医師、そして鉱夫達や鉱山関係者。

 皆、身分に関係なく、料理人が作った同じ料理を食べている。

 いいね。この世界では身分の差は確実にあって、根強い。しかし、今は皆一緒だ。


「みんな一緒に食べると、美味しいねー!」

「殿下は変わりませんね」

「レピオスまで」

「どうされました?」

「さっき、リュカにも同じ事を言われた」

「ハハハ。そうでしたか。しかし、殿下をお小さい頃から見ている者は、皆そう思うのではないでしょうか」

「そう?」

「はい」

「でもね、レピオス。それってボクが進歩してない、て事みたいじゃない?」

「そんな事はありません。殿下は昔から、お優しい」

「エヘヘ。レピオス、ありがとう」



「リリはもう寝たのかな?」

「はい、クーファル殿下」

「オクソール、襲撃してきた者は、本当にリリを狙っていたのか?」

「はい。リリアス殿下が、騎士団から離れたところを狙われました」

「またか。一体どう言う事だ?」

「リリアス殿下が、明日捕らえた者達を鑑定されるそうです。本当は今夜にでも、されたかった様ですが寝てしまわれました」

「鑑定か?」

「はい。ルー様が指示された様です」

「そうか。リリはまだ、能力を把握できていない様だからな」

「はい。ご自分でも自覚されております」

「そうか。自覚したか」

「はい。勉強したいと、仰る様になられました」

「それは良い事だ」

「はい。ですので、クーファル殿下」

「なんだ?」

「魔術師団へ、お取り継ぎ頂ければと」

「ああ、そうだったな。忙しくて、後回しになっていたよ」

「はい。私やレピオス殿では、もうお教えできる事がありませんので」

「分かった。城に戻ったら早急に紹介しよう」

「お願い致します」

「オク、無事に帰れるよう、リリを守ってくれ」

「はい。もちろんです」

「頼んだよ」


 大人って大変だね。俺はとっくに寝落ちしてたよ。本当に鑑定したかったんだけどな。満腹になったら無理だった。睡魔には抗えないぜ。



「ふぁ〜……」

「殿下、おはようございます」

「ニル、おはよう」

「お疲れではありませんか?」

「うん。大丈夫だよ。あれ? ユキは?」

「お腹が空いたと」

「もう? ユキ早いね」

「はい。沢山食べますからね」

「ボクも食べに行こう」


 お着替えして、馬車から出る。

 うん。肌寒い。

 帝都だと春なのに、北の山脈に近いここは、まだ冬の様だ。


「殿下、おはようございます!」

「シェフ、おはよう」

「今朝は、おにぎりと、ミソスープにしました」

「うん。美味しそうだね」

「やはり、米の方が腹持ちが良いと、騎士団に言われます」

「うん。そうだね。朝食べるのには、良いよね」

「はい。オムレツもありますよ」

「うん! 食べる!」


 朝に味噌汁はいいね。身体に染み渡るぜ。


「リリ、おはよう」

「兄さま、おはようございます」

「リリ、先に捕らえた者達を鑑定してくれるかな?」

「兄さま、分かりました」

「私も立ち会うからね」

「そうなのですか?」

「ああ。どこの誰の仕業かハッキリさせたいんだ」

「兄さま、分かりました」

「リリ、警戒を忘れるでない」

「ユキ、分かった。ユキはもう食べたの?」

「まだ半分だ」


 ……半分の意味が分からん……


「えっと……サーチ……」


 これで常時警戒しておくか。

 昨日、逃げた奴等がいるからな。


「リリ、食べたら行こう」

「はい、兄さま。……もぐもぐ」


 俺はクーファルとソールとオクソールとリュカとで、捕らえた者達の所へ向かう。


「殿下、こちらです」


 リュカが仮設テントを開けてくれる。

 牢の代わりにしているらしい。

 入ってみると、中には4人。

 枷をつけられて、座っている。

 手足の枷と、魔法を無効化する魔道具を付けられている。怪我はないな。


「クーファル殿下。昨夜、尋問しましたが何も話しませんでした」

「そうか。オク、帝国の者ではないな?」

「おそらく……」

「ああ、思い出すのも嫌だが、4年前を思い出すな」

「え? 兄さま。じゃあ……」

「リリ、帝国は爆弾などを使わなくても魔法があるからね。取り敢えず鑑定しようか。」

「はい。兄さま。始めます」


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