158ー初めてのお友達。
いつも読んで頂き、有難う御座います!
このお話で、やっと第2章が完結です。
長かった!
次から第3章に入ります。
今迄、見たことのないリリが登場したりします。
細かい事に拘らず、のんびりと読んで頂ければ幸いです。
これからも、リリ達を宜しくお願い致します。
アースですが、三男から五男に訂正しました。
部屋に入ると、緊張した面持ちで座っていた二人が、慌てて立ち上がり挨拶をする。
「リリアス殿下、お久しぶりです!」
「殿下、今日はお招き頂き、有難うございます」
「ああ、座ってね。あんまり堅苦しくしないで。ボク達だけなんだし」
そう言いながら、一緒に来た令嬢を紹介する。
「紹介しよう。アイスクラー侯爵のご令嬢で、ディアーナ嬢だ」
「ディアーナです。先日は助けて頂いて、有難う御座います」
「僕は、シグフォルス侯爵の五男で、アースです」
「僕は、ジェフティ侯爵の次男で、レイリオンです。レイとお呼び下さい」
「オク」
「はい、殿下。お二人が、早急に私に知らせて下さったお陰で、大事にならずに済みました。お手柄ですよ。有難うございました」
オクソールが二人に礼を言うと、アースが目をキラキラさせて、モロに嬉しそうな顔をした。
「あー、アースはオクに憧れてるんだっけ?」
「はい! 殿下! オクソール様は私の目標であり、憧れです!」
「将来は、騎士団に入りたいんだって」
「殿下、そうですか。アース殿、頑張って下さい」
「オクソール様、有難う御座います!」
「失礼致します。お茶をご用意致しました」
ニルがお茶と、クッキーやらお菓子を持ってきてくれた。
「ニル、有難う」
「殿下、りんごジュースもございますが?」
「じゃあ、ボクはりんごジュースでお願い」
「はい、畏まりました」
「殿下は、りんごジュースがお好きなのですか?」
レイが尋ねてきた。
「うん。大好き」
「実はボクは、ぶどうジュースが大好きで」
「レイ、ぶどうジュースなの? もしかして、紫じゃないぶどうジュース飲んだ事ある?」
「はい! 殿下、ご存知なのですか?」
「うん。飲んだ事あるよ。あれは美味しい。特別だ」
「はい。あれは特別です。毎年、売りに来てくれます」
「そうなの? 城には来てくれないのかな?」
「殿下、城に出入りする商人は、決められております」
「ニル、そうなの?」
「はい。あの時は別邸でしたから」
「ああ、そうか」
俺が3歳の時に一時的に滞在した、別邸。
近くのミーミユ湖に、実の姉に突き落とされて、死にかけた。
その時に、前世を思い出したんだ。
嫌な思い出もあるが、なんか懐かしいな。
お茶を出し終えて、ニルが部屋の隅に下がる。
オクソールも隅に待機だ。
クッキー食べよう。シェフのクッキーは美味しい。
「殿下、宜しければ、パーティーの時に話されていた、剣に魔法を付与する話が聞きたいです」
「ああ、アース。ボクあんまり知らないよ」
「ええ〜…… 」
「ごめんね。見た事はあるけど、付与の仕方は知らない。オク、知ってる?」
少しオクソールに振ってみる。
「殿下、殿下もアスラール殿から、教わってらしたじゃないですか」
「そうだっけ?」
「殿下、教わったと」
「アース、ごめん。覚えてないや」
「ええ〜……!」
「フフフ…… 」
あ、令嬢が笑った。
「あ、申し訳ありません。リリアス殿下はお強くて、全属性魔法を使えるのに。と、思ってしまいました」
「えっ!? リリアス殿下は光属性だけでなく、全属性ですか?」
レイが何故か食い付いてきたな。
「うん……ゴクン。これ、このクッキー美味しいよ」
「まあ、そうですか? 頂いても宜しいですか?」
「いいよ、いいよ。食べて。二人も食べて」
「「殿下…… 」」
「え? 何?」
「ウフフ、まあ、本当に美味しい」
「「ディアーナ嬢…… 」」
「え? 何か?」
ディアーナ嬢と二人でキョトンと、アースとレイを見る。
「レイ、これはあれだな。お二人は」
「ああ、アースそうだな」
「クフフフ…… 」
なんだよ、オクソール。何笑ってんだよ?
「オクソール様、殿下はいつもこんな感じですか?」
レイが、オクソールに聞いた。
こんな感じ、て何だよ。
「はい。そうですよ。ですので、畏まらずお友達として話されると宜しいかと」
「ハァ〜…… そうですか。分かりました」
何? 何だよ? 俺なんか変な事言ったか?
「リリアス殿下、僕達とお友達になりましょう。ですので、このメンバーで話す時は敬語も止めます。宜しいですか?」
「うん、レイ。その方がいいよ」
「では、ディアーナ嬢も?」
「はい。嬉しいです。私の事はディアとお呼び下さい。嬢はいりません」
「じゃあ、ボクはリリ」
「クフフ…… 」
オクソールまた笑った。さすが、リュカの師匠だ。ま、いいけどさ。
この笑いがないと寂しいしな。
実は、笑うかな? て、ちょっと期待してたりなんかする。
「じゃあ、時々みんなで集まろうよ!」
「アース、それは無理だろう」
「え? レイ。なんでだよ?」
「皆、勉強もあるだろうし、殿下はお忙しいだろう?」
「ボク? そんな事ないよ? いつでも城に遊びに来て」
「いや、そんな訳にいかないし」
「うん。アース、そうだな」
「じゃあ、お手紙出しませんか? この日はどうですか? て、お手紙で都合を聞きませんか?」
「手紙かぁ…… オク?」
「殿下、それは陛下と、侯爵様方にご相談しないといけません」
「そっか。魔石も小箱もないしね」
「はい」
そうさ、俺が思ったのは辺境伯家と城にある、お手紙転送のお道具さ。
「殿下、何です?」
「ああ、レイ。辺境伯領に行った時にね、遠いじゃない? だから、お手紙を転送するお道具を作って、置いてきたんだ」
「殿下! 詳しく!」
「え! え? レイ、もしかして、興味あるの?」
「はい! かなり!」
「ええ〜!」
と、3人とはいい感じでお話できた。
何より、ギラついてないのが良い。
俺に初めてのお友達が出来たんだ。中身は55歳なのに、小っ恥ずかしい!
この3人とは、長く付き合って行く事になる。
それは、まだこれからのお話だ。
みんなまだ5歳だ。未来はまだまだ夢や希望がいっぱいだ。
本編を加筆したり訂正したりしていたら、158話が157話の内容になっていた時間がありました。
申し訳ありません。
訂正しております。
誤字報告で知らせて下さった方、ありがとうございます!