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147/442

147ー作ったよ

「……ふわぁ〜……」


 いつもの様に、俺は昼寝から目が覚めた。

 いつもの様に、ニルが言う。


「殿下、お目覚めですか?」

「うん、ニル」


 いつもの様に、ベッドからおりてソファーに座る。


「殿下、りんごジュースどうぞ」

「ニル、我も」

「はい。ユキもありますよ」


 いつもの様に、ユキとりんごジュースを飲む。


「殿下……また、いつでも来れます」

「うん……グシュ……」


 いつもの様には、笑えなかった。

 やっぱ、ちょっと寂しい。滞在が長かったからな。


「リリ、起きてるかしら?」


 ヤベ、フィオンだ。


「殿下!」

「うんッ、ニル!」


 ニルと2人で、慌てて涙を隠す。


「……リリ、ニル」


 あ……バレバレか?

 フィオンが入ってきて、そぅっと抱き寄せられた。

 あれ? いつもの、ガバッとじゃないぞ? どうした? フィオンよ?


「リリ、いつでも来れるわ。それも、リリのお陰よ。私が笑顔で帰れるのも、リリのお陰。リリ、ありがとう。また、一緒に来ましょうね」

「ねえさま……! うぇッ……ヒグッ……」

「姉様が嫁ぐ地を、好きになってくれて嬉しいわ」

「姉さま……! やっぱ嫌です!」

「リリ……!?」

「姉さまと離れるのは、嫌です!」

「リリ……! まだまだ先よ。それまで、沢山一緒にいましょうね」

「姉さま!」


 俺はフィオンに抱きついた。

 やっぱ、姉なんだよ。

 大好きな、大切なねーちゃんだ!



「リリ、起きたかな?」


 ポンッとルーが現れた。


「ルーて、本当に空気読まないよね」

「なんだよ! ボクほど空気の読める精霊はいないよ?」

「え、鳥さんじゃなくて?」

「リリ、そのくだりはもういい」

「あらら」


 さて、俺は座ってりんごジュースを飲もう。


「フフフ、リリはルー様と本当に仲良しなのね」

「「…………」」

「え? あら? リリ、姉様は何か変な事言ったかしら?」

「フィオン、僕はリリに揶揄われているんだよ?」

「ルー様、それも仲が良いからこそですわ」

「ま、そう言う事にしておいてあげよう」

「ルー様、リリ、お兄様が起きたら部屋に来るようにと、仰っていたわ」

「はい、姉さま。ルー、行こう。魔石買ってきたんだ」

「そうか、じゃあ早速行こう」

 

 フィオンはそれを伝えに来てくれたのか?

 何か用事だったんじゃないのか?

 さっさと部屋に戻って行ったからいいか。



「兄さま、リリです」


 俺とルーとリュカも一緒に、クーファルの部屋にやってきた。


「ルー様、リリ。早速、作ってしまおう」

「はい、兄さま。ルー教えて」

「ああ、買ってきたのを見せてよ」


 ソールが魔石と、転送の道具に使うつもりの小箱を持ってきた。


「うん。いいね。リリ、マジックバッグと似た感じだ。この小箱にだな…………」


 ふむふむ。ルーに教えてもらった。

 早速、やってみよう。俺は魔石を手にした。


「リリ、分かったのか?」

「うん、なんとなく」

「なんとなくで出来るのか?」

「ん〜、多分」


 ルーが疑いの目で見てる。


「リリ、本当に分かったのかな?」

「兄さま、大丈夫です」


 俺は、魔石を小箱の上にのせて、魔力を込める。

 ほんのちょっと魔力を込めただけで、魔石が光りだした。

 もう少し魔力を込めると、小箱ごと光りだした。

 光が小さくなって消えた。よし、出来上がりだ。


「うん、できた!」

「どれどれ」


 ルーが魔石のついた小箱をじっと見る。


「うん、完成だな」

「じゃあ、ルー。城の分も作ってしまうよ。出して」

「リリ……なんで分かったんだ?」

「話をしただけで、盛り上がっていた父さまが、欲しがらないワケないじゃん」

「それもそうだ。じゃあ、頼むよ」


 ポイっとルーが、豪華な小箱と光の魔石を出してきた。


「ルー、魔石はこれなの?」

「ああ、変か?」

「そうじゃなくて、これ光属性でしょ? 兄さまや姉さまは使えないの?」

「リリ、魔石を良く見な」


 なんだよ。どう見ても、光属性の魔石だろ?


「リリ、よく見てごらん?」

「兄さま」


 なんだ? クーファルまで。

 言われた通りに、魔石をじっと見る。

 そうだ、俺って鑑定できるんだった。


「あ……兄さまこれ!」

「分かったかな?」

「はい。兄さまが言ってた白金ですか?」

「そうだね。しかし、父上は何を考えているのか」

「クーファル、僕も同意見だ」

「兄さま? ルー?」


 なんだよ、俺は分からんぞ?


「リリ、とてもとても高価な物なんだよ」

「え……」

「ああ、リリ。そうなんだ」

「多分……父上の事だから、リリが作る魔道具だから! とか思っているんだよ」


 は? マジか?


「さすが、クーファルだ。その通りの事を言っていたよ」


 マジかよ……。


「ルー、駄目。父さまに返してきて」

「リリ、やっぱそうなるか」


 当然だろ!? そんな高価な物を使ってどうすんだよ。


「ほい、じゃあこっちで」


 また、ルーがポイッと魔石を出した。


「ルー、何? どう言う事?」

「リリが何も言わずにそれを使ったら、これは出さない約束だったんだ。リリが駄目だと言ったから、こっちだ」


 なんだよ、それは!


「あー、リリ。父上は狡いね」

「兄さま、本当ですね。ルー、これはクリスタル?」

「ああ、そうだ。皆が使える様にな」

「分かった」


 俺はクリスタルを小箱にのせて、魔力を込めた。



「ああ、リリ。言ってた事だけどね。取り敢えずだけど、なんとかなりそうだよ。

 また後でちゃんとした物を作るそうだ。」

「兄さま、そうですか! ありがとうございます」

「後々、その方が便利だろう? リリが言ってた様に万が一の時にもね。対応できるようになったのなら使わないとね」


 やったね。クーファルが提案してくれて何とかなりそうだ。


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