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144ー転送装置を作りたい

 さて、朝食を済ませてクーファルの部屋に来ている。


「殿下、りんごジュースはないのですが、アップルティーをどうぞ」

「ソール、ありがとう」


 うん、りんごの香りがいい。ちょっとフーフーしてゆっくりと飲む。大人の味だ。


「で、リリなんだい?」

「兄さま、お手紙を転送できるお道具を作ろうと思うのです」

「手紙を転送?」

「はい。こっちでお手紙をのせて、魔力を流したらお城に届く様な感じです」

「いいね、それ」

「でしょう? こっちに転移門を使って来たとしても、誰も知らなくて扉が開いてないとか嫌ですしぃ。

 何日に行くよー、とかお知らせできたら良いなー、と思ったのです」

「そうだね。父上も喜びそうだ」

「はい。辺境伯領だとお手紙出しても、届くまで何日もかかりますから。不便ですよね」

「ああ。本当に。取り敢えず、フィオンが確実に喜ぶね」

「はい! 兄さま!」

「じゃあ、ルー様に父上の意見を、聞いてもらおうか」

「はい。ルー?」


 俺が呼ぶと、ポンッとルーが現れた。


「リリ、呼んだかな?」

「うん。ルーに確認して欲しい事と、教えて欲しい事があるの! あー、それとね……」


 俺は、ルーに説明した。


「じゃあ、取り敢えず皇帝に聞いてくるよ」

「うん。おねがい! ルー、ありがとう!」

「なんだリリ。今日はえらい素直だな」


 俺はいつも素直だよ!


「ルー、姉さまの事でも動いてくれていたんでしょ?」

「あー、まあな。まとまって良かったよ」

「うん。だからありがとう。ルーのお陰で、姉さまも幸せになれるよ」

「辺境伯一家と縁が出来るのは、良い事だ。それに、フィオンも次男も、気持ちを抑えて諦めようとしていただろう? それは、辛い事だよ」

「うん。そうだね」

「こっちで、クーファルとリリが解決したからこそ、出来た事だよ」

「そうかも知れないけど。でも、ルーありがとう!」

「ハハハ、良いって事さ。じゃあ、ちょっと聞いてくるな」


 そう言ってルーは、ポンッと消えた。


「リリ、でもどうやって作るんだい?」

「兄さま、全然分かりません!」

「え……?」

「だってボク、そんなの作った事ないです」

「まあ、誰も作った事はないと思うけど」

「だから、ルーに聞きます。あ、もしかして魔術師団の人だと知ってるのかな?」

「リリ、マジックバッグの作り方は、誰に教えてもらったのかな?」

「あれはレピオスです」

「レピオスが⁉︎」

「はい。レピオスです。て、言うか、ボクが魔法を教わっているのは、ルーかレピオスです」

「そうなのかい? レピオスは医師だよ?」

「はい。医師ですね。でも、詳しいですよ?」

「兄様は知らなかったよ」

「そうなんですか? 兄さまは誰に魔法を教わったんですか?」

「私は城の魔術師団団長だね」

「ボク、城の魔術師団て全然知らないです」

「そうだったか。城に帰ったら会ってみるかい?」

「はい! 兄さま! ボク、教わりたい事が沢山あります!」

「そうか。じゃあ、兄様と一緒に魔術師団に行ってみよう」

「はい! 兄さま!」


 その時、ポンッとルーが戻ってきた。


「おまたせー!」

「ルー、早いねー」

「いや、皇帝が食いついてきたよ。良い考えだってさ! 是非、作って欲しいそうだよ」

「そう! じゃあルー教えて!」

「ああ。それとな、リリ」

「なぁに?」

「城に帰って来てからでいいから、何個か作って欲しいそうだ」

「いいけど。なんで?」

「売るんだとさ」


 何をどう考えたら、そうなるんだ?


「……マジで?」

「父上は何を考えておられるのか……」


 ほら、クーファルも呆れてため息ついてるぜ


「父さま、商売するの?」

「城の専売にしたいんだとさ」

「えぇー、それは駄目」

「駄目か?」


 駄目に決まってるじゃねーか!


「うん。商売は民に任せなきゃ。経済が潤わないよ」

「なんか小難しい事言ったな」


 ハッハッハ、なんせ中身は55歳だからな!


「しかし、リリの言う通りだ。ルー様、誰にでも作れる物ですか?」

「いや、そこそこ普通に魔力はいるよ?」

「魔術師団には作れますか?」

「どうだろ? 僕は城の魔術師団が、どの程度なのか知らないからね。

 街で魔道具を作って、商売している者がいるだろ? 彼等なら、作り方さえ教えてあげれば、作れるんじゃないかな?」

「じゃあ、魔術師団も作れますね。なら、作り方の権利だけ城にして、物を売るのは民に任せないと」

「そこは、クーファルかフレイが、決めれば良いんじゃないか?」

「そうですね。そうします。父上は普段呑気なクセに、時々テンションが変になる。悪い癖だ」

「ハハハ! 息子達の方がしっかりしてるからな!」


 本当だよ。父よ、しっかりしようぜ。


「リリ、取り敢えず魔石がいるな」

「あらら。ボク持ってないよ」

「リリ、兄様と街に買い物に行こう」

「兄さま! 行きます!」

「はいはい。じゃあ行ってきな。帰ってきたらまた呼んでよ」

「うん!」


 俺はルーに、どうしたいか構想を説明した。

 その為にどんな魔石が必要か聞いて、ルーはまた消えた。


「じゃあ、兄さま行きましょう……あ!駄目です!」

「リリ、まだ何かあるのかい?」

「兄さま、大変な事を忘れてました……」

 

 忘れてたよ! どーすんだ!?


「リリ、どうした!?」

「兄さま……ボク、お金がありません」

「……リリ、兄様が持っているから」

「兄さま、買ってくれるのですか?」

「もちろんだ」

「兄さま! ありがとうございます!」


 やったぜ!クーファル太っ腹だ!


「そうか。リリはまだ買い物をした事がなかったね」

「はい。ありません。街に行った事がないです」

「そうか。じゃあ今日は練習だ」

「はい! 兄さま!」


 こっちで生まれて初めての街だ。買い物だ! ちょっと、ワクワクするぜ!


 それと、もう一つの考えをクーファルに相談した。容量はあるんだ。だからな、出来たら便利だと思うんだ。


「リリ、分かったよ。辺境伯に相談しておこう」


 やったね。できたら本当に便利だ。もしもの時にも良いと思うんだ。



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