123ー海の幸2
Ukke様にご指摘頂きまして、ニシンの調理方法を教える場面を変更致しました。
細かいところまで気付いて頂いて、有難う御座います!
「んん〜……」
「殿下、お目覚めですか?」
「うん、ニル。りんごジュースちょうだい」
「ニル、我もほしい」
「はい、分かりました」
俺はベッドからおりて、ソファーに座る。
あれから、昼食食べてお昼寝してた。ユキもちっちゃくなって、一緒に寝ていた。
ぴょん、とベッドからおりてくる。
「殿下、大騒ぎでしたね」
「え? ニル。何が?」
「お昼前に邸の裏で」
「ああ、あれね。楽しかった」
「それは良かったです。邸の窓から皆見ていましたよ」
「そうなの? 全然知らなかった」
「殿下が台の上で、ピョンピョン跳ねてらして、可愛いとフィオン様が」
「…………」
フィオンよ、見るとこ違うだろ……
「殿下、起きておられますか?」
「リュカどうしたの?」
「ニルズが、また変わった魚を持って来ているのですが、殿下に見て頂きたいと言ってます」
「おっちゃんが!? ニル、ユキ、行こう!」
「はい、殿下」
「何、美味いのか?」
「美味しいかどうかは、見てみないとね」
皆で調理場に向かう。
小さいユキが、トコトコついて来る。可愛いなー、おい。
「よお、リリ殿下。急にすまないな!」
「おっちゃん! 全然いいよー!」
「殿下、この魚なんだがな。小さいだろ?沢山いるんだが、骨も多いし食べてなかったんだ」
俺はニルズが持ってきた魚を分ける。
「おっちゃん。こっちのと、これとは別の魚だよ?」
「お? そうか?」
「うん。こっちはイワシ。これはニシンだね」
「食べれんのか?」
「当たり前じゃない! 美味しいよ! 小骨が多いけど」
「だよなー」
「シェフ!」
「はい、殿下!」
「このお魚は、頭と内臓をとってソイとお砂糖で甘辛く煮よう」
そう俺が言うと、料理長がきた。
「これはこっちでやっときます。殿下、シェフ、次を」
「そう? じゃあお願い。料理長、臭みを消すお野菜ないかな?そうだ、ジンジャーない?」
「ジンジャーですか? ありますよ」
「そう! その千切りも一緒に入れて!」
「了解です」
料理長が他の料理人に指示を出す。
「シェフ、このお魚ね、卵もってないかな?」
「捌いてみますか?」
「うん、お願い」
シェフが、鱗をとってお腹をあけてくれた。
「やっぱり! この卵食べるから!」
「リリ殿下、こんなのも食べれんのか!?」
「うん。このまま塩焼きにしたり、煮付けても美味しいよ。あ、3枚におろしてからフライにしてもいいかな。卵だけ別にして煮物にしてもいいな。このお魚の卵はプチプチしていて美味しいよ!」
カズノコだ。懐かしいなぁ。正月にはかかせないよな。作れんのかな? 俺は分からん。
また別の料理人もきて二人でニシンを捌きはじめた。
「そうだ! 昆布! 昆布に巻いて煮るの!」
「ああ、テティが今干してるやつか?」
「そう! あれで巻くの」
ニシンの昆布巻きだよ。正月だぜ!
「殿下、この黒い貝は?」
「うわ、おっちゃん! 沢山あるねー!」
「おう、なんせ今迄食べてないからな。海にはまだまだいるぞ」
「マジ!? シェフ、おっちゃんこれ今食べよう!」
シェフに言ってワイン蒸しにしてもらった。
「殿下、できましたよ。これで良いんですか?」
「うん! 皆んな、味見しよう!」
大量のムール貝だ。パエリアやパスタもいいよなぁ。
「いただきまーす! んッ、美味しい! プリプリしてる!」
「お! 美味いな!」
「殿下、これはパスタもいいですね」
「シェフ、そうなの! パスタも絶対美味しいよ!」
アクアパッツァと、パエリアも説明しておいた。
あれ? ニルとユキは? と、思って周りを見たら、やっぱり食べてた。ユキは小さいまま、ニルに食べさせてもらってる。
「殿下、今日の夕食ですが」
料理長とシェフがきた。
「うん、何?」
「さっき殿下が仰っていた……」
「うん、うん。夕食はこれだね」
「はい、殿下。試しに作ってみます」
料理長が作りに行った。
「殿下! 味見して下さい!」
どこかから声がかかる。
「はーい!」
イワシが煮えたみたいだ。うん、いい感じだ。
マジ、箸がほしい!こんな時はニルだ!
「ニル!」
「はい、殿下」
「ニルお願い。これ食べたい」
「はい、分かりました」
ニルは、ナイフとフォークで小さなイワシを、器用に切り分けていく。
「殿下、あーんして下さい」
「あーーん……うん、美味しい!」
「どれ、俺もくれ!」
ニルズが寄ってきた。さっきまでリュカと二人で、ムール貝に食い付いていたのに。
「おー、美味いな! 骨がなかったら言う事ないのになー」
「だよねえ、おっちゃんあのさ……あーん」
また自動で口の中にイワシが入ってくるぜ。ニル、いつもありがとう!
「ニル、食べた?」
「はい、食べましたよ」
「殿下、何だ?」
「ああ、おっちゃん。ホワイトクラーケンの小さいのいる? 普通のやつ」
「ああ、いるぜ。今朝、殿下に教えてもらった罠を仕掛けておいたら、入ってたぞ」
「あれ、開いて干してほしいな」
「干すのか?」
「うん。色が変わる位まで干してほしい……ニル、こっちも食べたい」
ニシンの煮付けも出来てきた。
「はい、殿下」
「干してどうすんだ?」
「1日2日干したのだと、そのまま軽く炙って食べても美味しいの。お酒にめちゃ合うよ。
あとね、1ヶ月位なのかな? 色が変わる位まで干したのもね、炙って食べるとまた風味があって絶対にお酒がすすむよ。
白いのは、干さないで生で食べても美味しいけどね」
「そうか、酒に合うのか!? それは楽しみだな。出来たらまた持って来るわ。干さないのも持ってくるか?」
「うん! 楽しみ。」
リュカとユキがめっちゃ食べてる。ユキは丸ごと、がっついてるぜ。夕飯食えねーぞ?
「殿下、味見をお願いします」
料理長がパエリアを作って持ってきた。
「いたらきます!」
あー、さすがプロだ。俺の適当な説明だけで、ここまで作るか。
「料理長、美味しい! 凄いね。さすがプロ!」
「殿下、有難うございます」
「アサリも入れたら美味しいよ」
あ、リュカがやってきた。皿にパエリアを入れてもらっている。
「ニル、あーん」
「え、殿下。私は……」
「駄目。さっき食べさせてもらったから、今度はボクがニルに食べさせてあげるの。はい、あーん」
「殿下……あーん。まあ、美味しいです!」
「だよねー! 貝の旨味もしっかり出てて美味しい!」