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120ーテスト?

 クーファルがテスト内容をふってきた。まあ、無難にいくか。


「何か薬湯でも作ってもらいますか? ああ、回復薬も」

「なるほど。実際に作らせるのですな」

「うん。アラ殿」

 

 作ってもらうにしても、俺は基準が分からん。


「ねえ、レピオス。ポーションが作れる人は、皆ハイポーションが作れるの?」

「そんな事はありません。それは殿下だけですよ」

「あら。そうなの?」

「はい。普通ハイポーションは、ポーション作成を何年もやって慣れてからですね」

「じゃあ、1番難しいのは?」

「万能薬じゃないでしょうか?」

「あらら」

「はい、殿下は簡単にお作りになられましたからね」

「んー……じゃあ、例えばで架空の患者の状態を設定する。それに対してどんな薬湯を作るかと、併せて治療方針を提出してもらう?

 それと、ハイポーションを作れるか? が、基準かな? 万能薬だと無理っぽい?」

「そうですね。回復薬で、自分が作れる1番上級の物を、作ってもらいましょうか?」

「うんうん。そうだね。アラ殿、どうですか?」

「それは良い考えだと思います」

 

 うん、アラウィンも納得かな。


「では殿下、判定はどうしましょう?」

「レピオス、判定?」

「はい。ハイポーションが作れても、質が悪かったり効果が低いと話になりません」

「あー、そっか。んー……ボクが鑑定するよ」

「お願いできますか?」

「うん。それが1番確実だよね。アラ殿にも立ち会ってもらえますか?」

「それはもちろんです」

 

 やっぱレピオスは頼りになるね。俺が気付けない事に気付いて言ってくれる。


「それで、レピオスが見て薬師達の実力はどうなの?」

「殿下、そうですね……まあ、まだまだと言う所でしょうか?」

「え、そうなの?」

「はい。実力と経験のある者は、ケイアが辞めさせていたらしいですから」

「あー、それじゃ駄目だね。この領地を任せるにはちょっと不安だ。いっそのこと、領内で希望する薬師も参加させちゃう?」


 魔物を討伐しなきゃいけない領地で、その程度だと不安だろ。新しい風を入れるのも、良いかもよ?


「殿下、それはいい考えです。ねえ、父上」

「ああ、アスラール」

 

 あとは、そうだな。城のシステムを真似するか。


「アラ殿。城では定期的に、薬師達の実力を見極める為の、テストを行なっています。可能であるなら、それも今後行う方が良いと思います」

「なるほど、そうですな」

「あと、アラ殿。肝心なのは薬師としての心構えです。いくら腕が良くても、心が歪んでいては駄目です」

「はい、殿下。それはもう痛感しております」

「ですので、併せてそれも確認する方が良いと思います」

「それは、城ではどうやって確認されているのでしょう?」

 

 そこは俺よりもだな。


「レピオスおねがい」

「はい。私からご説明を。城では、薬師をまとめる者の中からランダムで2名選出されます。それと、皇族の側近の方。今は陛下の側近のセティ様かフレイ殿下の側近若しくはクーファル殿下の側近ですね。どなたか1名。あと、官職の長の中からランダムで2名。合計5名の面接官が選ばれ、実技の合格者を面接致します」

「なんと、その様な」

「はい。新人採用の登用試験は毎年行われますが、実力の確認は3年に1度です。面接官をランダムで選ぶのは、不正防止の為です」

「しかし、我が領地では選ぶ者がおりません」

「アラ殿。今回はレピオスにやってもらいませんか? あと、アラ殿が考える方1名で。アラ殿かアスラ殿が参加されても良いですね」

「殿下、何から何までお世話になる事になってしまい、申し訳ありません」

「ああ、気にしないで下さい。辺境の地を守ってくれている領主隊の命綱ですから」

「ああ、リリの言う通りだ」

 

 うん。クーファルも賛成かな。


「では、父上。早速領地全域に触れを出しますか?」

「そうだな。リリアス殿下に鑑定をお願いするのであれば、出来るだけ早くテストを行いたいな」

「希望者はその地の衛兵に邸まで連れて来させれば、明日と余裕をみて明後日まであれば充分でしょう。3日後にテストは如何でしょう? こちらもその間に準備できます。テスト受験者の中で、必要があれば邸に滞在させましょう」

 

 おお、いい感じだ。それなら領民に負担がかからないな。


「じゃあ、リリ」

「はい、兄さま」

「リリは明日、転移門の修復をしようか?」

「兄さま、分かりました。でも、ルーがいないと。ボク一人では全然分かりません」

「ああ、大丈夫だ」

「兄さま、そうなのですか?」

「ああ。全て把握されているよ」

「へえ〜、ルーて凄いんですね」

「リリ、ルー様は精霊様だからね」

「兄さま、そうでした」

 

 なんて言ったら怒って出てきそうだ。


「リリ、その通りだ」

 

 ポンッと、ルーが現れた。


「あ……」

「リリ、あ……じゃないよ?」

「ルー、ごめんなさい」

「いいけどさ。明日だね」

「はい、ルー様。お願いします」

「クーファル、分かったよ。じゃ、リリ。シェフは調理場かな?」

「うん、多分」

「そう。じゃあまた明日ね」

 

 そう言ってルーは消えた。

 またシェフに食事をもらうんだ。

 本当、ルーも毎日大変だね。


「今日は早朝からテティと、街の女性達が来てますよ」

「アスラ殿、そうなんですか?」

「ええ。干物を持って来たついでに、またシェフに色々教わっている様です」

「そうなんだ。テティがいるなら、ボクも行こうかな。兄さま、いいですか?」

「ああ、構わないよ。辺境伯、もう構わないよね?」

「はい、有難うございます」

 

 俺はリュカと一緒に、調理場に向かう。

 何作ってんのか、楽しみだ。


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