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119ー和

「……んん〜」

「殿下、おはよう御座います」

「ニル、おはよう」

「昨夜もオクソール様が」

「ああ、やっぱり」

 

 俺はまた途中で寝てしまった。

 毎度毎度、オクソール申し訳ないね。


「殿下、お着替えしてお食事に」

「うん。分かった」

 

 俺はモソモソとベッドをおりて、着替えて食堂に向かう。


「ねえ、ニル。ルーはいなかった?」

「昨夜ですか?」

「うん」

「いえ、オクソール様とリュカだけでしたよ」

「そっか」

「ご一緒だったんですか?」

「うん。ニル、転移門て知ってる?」

「はい。城の地下にありますよね」

「ニル、見た事ある?」

「いえ、見た事はありません」

「昨夜見たんだ」

「昨夜ですか? では、このお邸に?」

「うん。地下にね」

「そうなのですか」

「ボクが直す事になったの」

「殿下がですか!?」

「うん」

「殿下! 危なくはないのですか!? もしも、魔力が尽きたりでもしたら!」

「ニル、大丈夫。ルーが平気だって言ってた。ボクが直さないと、もう修復は出来ないだろう、て」

「殿下、本当に大丈夫なのですね?」

「うん。直すだけじゃなくて、一度に転移する人数も増やす予定なんだ」

「殿下……それは何と言いますか」

「うん。ボクはできるんだって」

「でも、殿下。少しでも無理だと思われたら、すぐに止めて下さいね」

「ニル、ありがとう」


 食堂に入ったらシェフが待っていた。


「殿下、おはよう御座います!」

「シェフおはよう」

「今朝は、こちらの漁師飯を取り入れてみました」

「そうなの?」

「はい! さぁ、どうぞ!」


 そう言ってシェフが自信満々に出してきたのは、なんと!


「シェフ! おにぎりじゃん!」

「はい、殿下。船の上で食べた時に、とても美味しかったでしょう? あれから、米を炊く練習をしてまして。やっと上手に炊けました」

「シェフ、凄い! それに、ミソスープじゃん! え? これ、魚の干したやつ?」

「そうです。殿下が食べてみたいと仰ってらしたので、ニルズ殿が持ってきてくれましたよ」

「シェフー! 凄い! あー、これで卵焼きがあったら完璧じゃん!」

「んん? 殿下、卵焼きとは? それを詳しく」

「えっとね。卵をね……」


 食堂でシェフに卵焼きを説明していると、クーファルが入ってきた。


「リリ、食べないと冷めてしまうよ?」

「兄さま、おはようございます。昨日また寝てしまって、ごめんなさい」

「ハハハ、大丈夫だ。想定内だからね」

 

 想定してたのかよ。

 分かっているなら、次から昼間にしてくれると嬉しいな。要希望。


「おや、今朝は見た事がない食事だね」

「兄さま、おっちゃんに教えてもらったご飯です!」

「ご飯と言うのかい?」

「はい! これは、おにぎりです。手で持って食べます。このミソスープも美味しいです! ほっこりしますよ!」

「リリ、ほっこりなんて言葉を、よく知っていたね?」

「エヘヘ。食べてください! 船で食べた時にとっても美味しかったので、シェフが頑張って作ってくれました!」

「そうなのかい? それは楽しみだ」

「殿下、冷めないうちに、食べて下さい」

「うん、シェフ。いただきます!」

 

 俺は、おにぎりを手に取って、カプッとかぶりついた。

 いやー、こうなるとマジで箸が欲しい!! I want 箸! いや、違ったchopsticksだっけ? ま、英語も通じないから何でもいいや。     


「んーー!! シェフ美味しいぃ! めちゃ上手に炊けてるよー!!」

「殿下、有難うございます!」

「ミソスープが、しみるぅ〜!」


 マジ、俺涙出そうだよ。和食じゃねーか! 完璧な和食だよ! なんなんだ!? なんでこの世界に和食があるんだ!? もう、なんでも良いよ! 嬉しいよ!


「おや、殿下。それは、漁師の……」

「はい、アラ殿。シェフがおっちゃんに教わったそうです! スッゴイ美味しいです!」

「ハハハ! 殿下、お口いっぱいですよ。ほっぺが!」

 

 アスラールもアラウィンに続いて入ってきた。


「ほふ?」

「リリ、飲み込んでから喋りなさい」

 

 クーファルに叱られちゃったぜ。


「ふわい……アスラ殿、食べて下さい。美味しいですから!」

「はい、頂きます」

「クーファル殿下、リリアス殿下。ご相談があるのですが、この後お時間を頂けますでしょうか?」

 

 アラウィンが改めて言った。なんだ?


「私はかまわないが、リリは?」

「兄さま、ボクも全然大丈夫です」

「ではこの後、応接室でお話致します」



 さてさて、応接室に来ている。

 満腹だぜ。やっぱ和食は美味いね! 食べ過ぎちゃったよ。


「殿下、りんごジュースです」

「ニル、ありがとう」

 

 俺以外は皆んな紅茶だ。応接室には、アラウィンにアスラール、側近のハイク。クーファルと側近のソール、で、俺にレピオスだ。

 レピオスは夫人の治療にあたっていたが、もう大丈夫なのかな?


「レピオス、アリンナ様のご様子はどう?」

「ええ、殿下。もう大丈夫ですよ。あとはゆっくりと体力を戻すだけです」

「そう、よかった」

 

 さすが、レピオスだ。そう言えば……


「ニル、ユキは? 今朝まだ見てないや。食堂にもいなかった」

「シェフと一緒に調理場にいますよ。まだ食事をもらっていると思います」 

「そうなの」


 ユキは本当によく食べるよな。

 さて、アラウィンのお話は何かな?


「クーファル殿下、リリアス殿下。実は、ケイアの後任の事でご相談したいのです」

 

 ああ、成る程ね。


「実は、後任には1番実力のある者をと、伝えたのですが」

 

 うん、いいんじゃね? クーファルを見ると、少しうなづいた。だよね。やっぱ実力がないとね。


「少しもめてまして……」

 

 あらま、もめちゃったのか。


「殿下、どうしたものかと」

「辺境伯、テストをしてみればどうだ?」

「クーファル殿下、テストですか?」

「ああ。リリ?」

 

 え? 後は俺に振るの? 丸投げじゃん。んー、テストかぁ。


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