表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/442

115ー海の幸 1

 ニルズが大きい鍋で茹でる用意をしてくれた。


「殿下、これこのまんま突っ込んでいいのか?」

「うん、いいよー!」

「生きてるぜ?」

「うん、いっちゃって!」

「よし!」


「殿下、剥きましたよ。」

「じゃあ、これは一口大に切って、前みたいにソイをつけて食べよう」

「こっちの大きな貝はどうしますか?」

「ああ、それもそこにナイフを入れて…… 」


「殿下、もういいか?」

「うん、おっちゃん。いいよ!」

「これどうすんだ?」

「もうこのまま食べれるよ。食べやすいように、ここにね…… 」


 さあ、出来たぜ!

 シェフが剥いたり切ったりしていたのが、伊勢海老とアワビだ。

 刺身にしてもらった! 超新鮮! 超贅沢!

 伊勢海老なんて身が透き通ってるぜ!

 おっちゃんこと、ニルズが茹でてたのが……そう、蟹だ!

 まず、茹で蟹を用意した。


「兄さま! みんな! 食べよう!!」

「リリ、生で食べるのかい?」

「はい! 兄さま、美味しいですよ! この、ソイをつけて下さい」

「さあ、殿下。どうぞ」

「シェフ、ありがとう! ソイをちょんちょんとつけて……んー! 超おいしい! とけちゃう!!」

「うわ、うまっ!!」


 リュカ、お前はもう食ったのかよ! はえーな。躊躇がないな。リュカの横でオクソールまでアワビを食べている。前に船で刺身を食べているから、2人は生と言う事にもう全く躊躇しない。


「リュカ、生でも平気なのか?」

「クーファル殿下、いっちゃってください! 超美味いです!」

「そうか……ん、これは美味い……!」


 いつのまにかオクソールが俺の真横にいて、伊勢海老を食べていた。


「オクソールも? リュカ、抵抗ないのかい?」

「ああ、前に船の上でも食べましたから、慣れました! クーファル殿下、これも美味いですよ、どうぞ!」

 

 リュカに勧められて、クーファルが伊勢海老を口に入れる。


「そうか、じゃあ…… お、美味しい! 甘いな!」

「でしょ? クーファル殿下、美味いでしょ!?」


「リリ殿下、こっちはどうすんだ?」

「おっちゃん、足をバキッてやって!」

「え? マジか?」

「うん! マジ!」

「こうか?」

 

 ――バキッ……バキッ……!


「おっちゃん、1本ちょうだい!」

「おう! 熱いぞ。」

「うん! シェフ!」

「はい、殿下」

「これ、この切り口から剥いてほしいの」

「殿下、こうですか?」

「うん、そうそう。これをこうやってとって……ん、あまーい!」

「え? 殿下、甘いですか?」

「うん! シェフ食べて!」

「では……うん! 甘い!」

「でしょー!」


「シェフ、これね、焼いても美味しいの。グラタンもいいね。こっちはバターでソテーしても美味しい。ソイで甘辛く煮ても美味しい。これは、焼いても美味しいし、生でも食べれるよ。あー、しゃぶしゃぶしてもいいかなー」

「ふむふむ。ソテーですね。ん? しゃぶしゃぶ?」

 

 シェフ、いつの間にかメモってるよ。


「で、殿下。これは何と言うのですか?」

「え? おっちゃん、これ何ていうの?」

「知らねー。俺たちは、『海の蜘蛛』て呼んでるが、ちゃんとした名前は知らねーよ。モグモグ…… 」

「えー!! 蜘蛛!?」


 おっちゃん、めっちゃ食ってるよ!


「こいつはな、デケーだろ? 漁の網は破るし、魚は食い散らかすし、共喰いまでするんだよ。オマケにこの足だよ。鋏に挟まれて怪我した奴もいる。で、この見た目だ。昔から忌避されてきたんだ。まあ、単純に見た目で『海の蜘蛛』て、いつからか呼ぶ様にになったらしいぞ」

 

 なるほど、それで食べていなかったのか。確かに俺が知ってる蟹よりかなりデカイ。バケモン級だよ。でもその分、身もたくさんあるぞー!


「殿下は何と?」

「かに」

「では、これは?」

「これは、伊勢海老」

「こっちは?」

「アワビ」

「はいはい。了解です」


「こら、ソール。お前食べ過ぎだ」

 

 ん? ソールが? そのクーファルの声で、ソールを見てみると。どんだけ食べたんだ!?

 ソールの前に、でっかい蟹の足の殻が小山になってるよ!


「だって殿下、めちゃくちゃ美味いですよ! 止まりません!」

 

 いや、止めようぜ!


 みんな食べてるのかな? と、思って見回してみると……

 スッゴイ人が集まっていた。ビックリしたよ。

 まあ、デカイし沢山あるから大丈夫だろうけど。

 ニルズが茹でていたのは最初だけで、もう漁師のおかみさんらしき人達が、次から次へと茹でている。シェフも、奥さん連中に囲まれて色々作っている。


「殿下、どうしました?」

「テティ。みんな食べてるかな? て思って」

「食べてますよ。港中の人が集まってしまって、大騒ぎになっちゃいましたね」

「うん。ビックリしちゃった。テティは食べた?」

「はい。頂きました。とっても美味しかったです。今まで食べなかったのが、こんなに美味しいなんて。驚きました」

「アハハ、前も言ってたよ」

「前もそうですが、今日食べ方を教えて頂いたのは…… 」

「あれでしょう? 見た目で敬遠されていたんでしょう?」

「ええ、そうなんです。さっきうちの人も言ってましたけど、危険ですし」

「まあ、ね。だって見た目もだけど大きいもんね」

「ウフフ。ですね」



 ――大変だー!!

 ――大変だ!! 出たぞー!!


 ん? 何だ? どうした?


「リリ殿下! 港に魔物が出た! 避難してくれ!」

「おっちゃん! 魔物て!?」

「ああ、クラーケンてやつだ! 早く!」

「オク!」

「はい! 殿下!」

「行こう!」

「いえ、殿下! 避難して下さい!」

「オク! 駄目! 行くよ!!」

「殿下!」

「リリ! 駄目だ! 避難しなさい!」

「兄さま! 大丈夫です!」

 

 だって、あれだろ? クラーケンて、でっかいタコだろ!?

 食えるんじゃないかな? もしかして。

 てか、なんでもでっかいなぁ!


「オク! 抱っこ! クラーケンのとこまで走って!!」

「殿下! 駄目です!」

 

 くそ! ユキがいれば、乗って走るのに!


「オク! おねがい! 大丈夫だから!」


 ――キャー!!

 ――なんで!? どっから来やがったんだ!?


「え? 今度は何?」


『リリ!!』

「えッ!?』


 ――シュタンッ!!


「リリ、呼んだか?」


 ユキがどこからともなく現れた!


「えッ!? ユキ! 何で!? お邸にいたはず!」

「リリの声が聞こえたのでな」

「ユキ! 凄い! そんな事できるの!?」

「我はリリを守ると言ったであろう? どこにいても、リリの声は聞いておる」

「ユキ! ありがとう! 行くよ! 乗せて!」

「ああ!」

 

 俺はユキの背に乗った。


「殿下! ユキ! 危険です!」

 

 オクソールが叫びながらついてきている。

 リュカもだ。よし! 行くぞ!


ご指摘頂きまして加筆しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] カニを食べない理由の作り込みが欲しいですね。 禁食の傾向は、知識として言えば、毒や菌等を持つ若しくは腐敗が早く食用に適さない若しくは適しにくいが1番多く、次に宗教的に禁じられている、そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ