動き出す歯車
「おい!ライ!起きろ!」
うるせぇ……もう少し寝かせろ
「ほれ!起きろと言うとるに!」
朝から爺の怒鳴り声で起こされる気分は毎日のことながら最悪だ
まあ、そうでもないと起きられない俺も俺なんだが
「今日は休みだろ?もう少しくらい寝ててもいいじゃねぇか
だいたい昨日は剣技大会で疲れてるんだよ」
「それにしても寝すぎじゃい、もう12時じゃぞ」
爺が時計を指差す
「それにな、大変な事が起きた」
「大変な事?」
神妙な顔つきになる爺をみて笑いを堪える
薄くなった髪は俺と同じ黒髪、鋭い眼も俺と同じ金色
つくづく俺は爺の孫なんだと思い知らされる
「ゼスとユアラちゃんが城へ連行されたのじゃ」
ゼスとユアラが?
「なんでだよ?連行ってことはいいことじゃないんだよな?」
「わしにも詳しい事はわからん、ただ今朝、アストンさんのところに国の兵士とお偉いさんが来たみたいでな」
ゼス達に何があったんだ?くそっ、冷静にならないと
「なんですぐに起こして教えてくれなかったんだ!」
「馬鹿者!お前を起こしたところで話がややこしくなるだけじゃろうに!」
確かに!と納得してしまう自分が悲しい
もし、その場に居合わせたらそのお偉いさんとやらに掴みかかってしまうだろう
「わかったら、その手を離せ!苦しくてしかたない」
いや、掴みかかってたのは爺の胸ぐらだった
とにかくアストンさんのところ行かないと
「行ってくる!」
「気を付けてな」
俺がなにをしようとしているか端からわかっていたように爺は送り出してくれた
しかし、何故ゼス達が?
「遅かったわね」
アストンさんの家にお邪魔して最初に言われたのはネシスからの一言だった
「……」
アストンさんはゼス達のお父さんであり、この街の自警団長、普段は気の良いおっさんだが今日はピリピリとしたオーラを放っている
「アストンさん!ゼス達が連行されたって?」
アストンさんに詰めより問いただす
正直今のアストンさんは魔物より恐いがそうはいってられない
「そうだ……あの馬鹿どもが!」
怒りに手を震わしているアストンさんが静かに答えた
「ゼス達は国の軍事基地に侵入して、機密事項を知ってしまったそうよ、それで他国のスパイと、繋がりがあるとか、色々な容疑で連れていかれたらしいわ」
「スパイって……そんな」
「そんなことあるわけない!」
俺が言い終わる前にアストンさんが口を挟んだ
「昨日はゼスとユアラには何の仕事もまわしてなかったし、依頼人も俺がすべて管理してる
国の奴にも証言したし、家も仕事場も全て調べてもらった」
「じゃあなんで!?」
「元々奴らは俺達が気にくわなかったんだろう
ここ最近街の自治を国の管轄している兵士に任せろとかほざいて来やがったから断ったんだ」
なんで国がそんなことを?
「街を守る代わりにお金をとって国益を増やそうってことなのよ」
理解していない俺にネシスが簡単に説明してくれる
「それだけの為にゼス達は連れていかれたのか!?」
許せねぇ、今すぐ追って、取り返してやる!
「いや、基地に侵入したのは事実上だそうだ
それだけでも重罪だ、連行される理由にはなる」
アストンさんはゼス達が実際基地に侵入した証拠を兵士から見せられ、しかもゼス達はあろうことか基地の兵士に重症を負わせたとも言われたらしい
「そんな……じゃあゼス達はどうなるんだよ……」
「それは私達ではわからないわね
どんな罰をうけるか、機密事項を知ってしまった以上ただではすまないでしょうね」
でしょうね、って
「ネシスは心配じゃないのかよ!アストンさんも!なんでこんなところで呑気に……」
「心配に決まってるじゃない!!そうでなきゃここにいるわけないでしょう?」
そうだ、ネシスは俺より早くにここに来ていた
両目で色が違う白と黒の眼で俺を睨んでいた
「今、俺が動いたらあいつらの立場が余計に悪くなる
他の自警団はどうなる?俺自身もスパイの容疑が完全に晴れたわけじゃない、まあこれは昔からなんだが……」
最後の方はゴニョゴニョとよく聞き取れなかったが、アストンさんには色んな考えがあるのか
「打つ手なしかよ……」
なんかいい方法はないものか……くそっこんなときネシスやアレスみたいに頭がよければ……ん?
「アレスはどうしたんだ?」
話に熱が入ってしまって気づくのが遅くなったがあいつはなにもしてるんだ?
決して友達を見捨てるような奴ではないはずだ
「アレスは情報を集めにいってるわ」
「情報?」
「俺はこの国の王とは古い友人でね、もし、ゼス達がやむ終えない理由があったとしたら、その根拠があったら……もしかしたら許してくれるかもしれない、そんな話をしてしまったんだ」
それでアレスは……
「でも、君達を巻き込むわけにはいかない
君達までよからぬ疑いをかけられてしまったら俺はどうしたらいいんだ」
「アストンさん俺達に任せてください
自警団じゃない俺達の方が今は動きやすいだろ?大丈夫!アレスやネシスは頭がいいんだぜ!」
そして、俺はいざというときネシス達を守る
「……俺からは何も言えない、すまん」
アストンさんは俺達が家からでるまで頭を下げ続けていた
「自警団長という立場上私達には何もするなと言うけれど、本心はユアラ達を救いたいはずよ」
「わかってる、ゼス達が悪意がないってことを証明できれば国王と話をつけてくれるんだろ?」
古い友人と言っていたし話くらいは聞いてくれるはずだ!
「……そうだといいのだけど」
ネシスが暗いかおをして呟く
白と黒の瞳、銀色の髪、透き通るような白い肌
小さい頃ネシスが初めてこの街に来たときすごくドキドキしたのを、覚えている
「だいたい貴方が来るのが遅いせいでアレスが先に調査する事になったのよ?どうせ寝てたんでしょうけど」
しかし、この性格を知ってしまいそのドキドキは今や失われてしまった
「アレスはどこに行ったんだ?」
「最後にゼス達に会った人を探しているはずよ、ほら、急用があるってフレーミさんに伝えてたじゃない?それに関係があるのかもしれないし」
と、丁度その時アレスの金髪が視界に写った
「あっ、あそこ、アレスじゃないか?」
なにやら少年と話している
「アレス!こいつがゼス達と最後に会ったやつなのか?」
急いでアレスのところに駆け寄る
「ああ、ライ……ネシス達から話は聞いたんだね、そうこの子が、ゼス達に最後に会った少年だよ、それで?ゼス達は基地近くの花畑に行ったんだよね?」
アレスは目の前の頭がボサボサで目付きの悪い、おそらく14歳くらいの少年にゼス達の行先を聞いていた
「ライ!急に走り出さないでくれないかしら?」
ネシスが息を切らしながら走ってくる
「運動不足だぞ」
「貴方やゼスみたいな体力馬鹿と一緒にしないで」
いや、毎日勉強ばかりしているから体力がないんだろ
「ゼス達は基地近くの花畑にこの子の妹を探しに行ったらしい」
「妹?そんなところに何故行ったのかしら?」
花畑自体立ち入り禁止では無いが、確かに街道を結構外れた位置にある
街道を沿いには魔物の侵入を防ぐ結界があるが花畑は魔物がでることもあるから危険なはずだ
「母ちゃんが病気で、それであそこには薬になる花があるって!そう書き置きしたあって……」
なるほど、お母さんの病気を治すために花を取りに行ったのか
「俺、どうしたらいいかわかんなくて、そしたらゼス兄達が居たから相談したんだ」
ゼス兄……ゼスは面倒見が良く、街の子供たちに慕われている
「それでゼス達が探しに行ったのね?それで妹は?」
「リリィはまだ帰ってない……」
今にも泣き出しそうな少年
俺には兄弟がいないからわからないが兄妹仲が良いゼス達にはその苦しみがよくわかったんだろう
「これは花畑にいってみるしかないかな」
アレスの提案に俺もネシスもうなずく
「ネシスもいいのか?学園長に報告とかは?」
「大丈夫だわ、報告なんかしたらきっとダメだって言われるに決まっているもの」
確かに、昨日も話していたが学園長はネシスの本当のお父さんではない
ただ、ものすごくネシスを大切にしているのは俺も知っている
「それに世界一の剣士になるんでしょ?女性一人守れなくって?」
憎たらしい奴だ
適当に返事をしながら俺達は花畑へ向かうことにした
「確かここらへんのはずなのだけど……あそこたわ!」
ネシスが指差した先には色とりどりの花が咲く花畑があった
道中はとくに魔物に襲われることがなかった、俺達は一息つく
「さて、ここでゼス達は何をしたんだろう?あの子の妹がいたとしたらすぐに連れ帰ってるだろうし」
「その花が見つからなくて一緒に探していたとか?」
こんだけの花だしお目当ての花は希少かもしれない
「それはあまり考えられないわね……これがその花なんだけど、たくさんの生えている上にユアラは薬草学を専攻しているのよ、他に何かあったと考えるべきね」
「じゃあなんなんだよ」
食い付く俺とネシスにアレスが「しっ!」と人差し指を口の前に指しながら制す
「軍の兵士だ……」
別に悪いことをしてるわけでもないがゼス達が連行された事が頭によぎり、俺達は身を隠す
「昨日の子は凄かったらしいなぁ!なんでも抑制装置をしているにも関わらず壁をぶち抜くほどの風の能力だったとか!」
ふとっちょの兵士が大声で話す
「ああ、近辺の子供に手を出すと後が面倒だからって避けてたが、昨日の子供はいい拾い物をしたもんだ、凄い潜在能力だって」
「拐っているのを見られちまったせいでボーナスは無しだったけどな、あのクソガキ二人がよ……まあ城に連行されたんだ、ただじゃすまされないだろうよ」
のっぽの返答にふとっちょが声を荒げる
連行された二人?まさか!
「ライ、堪えて」
アレスが俺を押さえるように手を出す
兵士ふたりはただの通り道だったのか姿が遠ざかっていく
「リリィは拐われたのね」
「それを見つけたゼス達は助けるために基地へ侵入した、と」
話をまとめるアレスとネシス、あの二人が言ってたことが事実ならば悪いのは完全にあいつらじゃねぇか
「最近ひとさらいがあるって噂でも聞いたしもしかしたら、大きな事件なのかもしれない」
「ゼス達が連行された時点で大きな事件なんだよ!よし、アストンさんのところへ報告しに行くぞ」
ゼス達は拐われたのリリィを助けるために基地へ侵入した、多分その時見つかって兵士と戦闘になったのだろう
でも、これを知らせればアストンさんも黙ってはいないはずだ
「待って!国が人を拐っていたのよ?そんなことを認めると思って?知らぬ存ぜぬで終わりよ」
「じゃあ、どうしろってんだよ!」
ちんたらしてたらゼス達はどうなるんだよ?
それにひとさらいなんか放っといたら更なる犠牲者が……
「今の国王はこの国始まって以来の良王とだと聞くわ、三大国の戦争を終戦させ、貧しい土地や民にも資源や富を与え、私腹を肥やす貴族達の特権を破棄した、そんな国王がこんなことするとは思えないわ」
あくまでも私の意見だけどね、と付け足すネシス
「だから!仮に王様がやってないとして、俺達はどうしたらいいってんだよ」
情けない事にさっきから同じことしか言ってない気がする
こういう時に自分で判断できる人間になりたい
「私達には二つの選択肢があるわ、一つはアストンさんに話して全てを委ねる
もう一つは私達で軍がひとさらいをしている証拠を掴んでからアストンさんに協力してもらい王様に証拠を突きつける
前者はアストンさん次第なのだけれど、私達には危険はないわ、後者はリスクは伴うものの証拠を掴めればきっとアストンさんも動いてくれる」
なんだよ、考えてるんじゃん
なら、答えは一つだな
「よし、基地に侵入して証拠を見つけ出そう」
アストンさんは自警団や他の人のことを背負っているから話しても身動きがとりづらいだろう
なにより、頭を下げられたんだ、やるしかねぇ
「貴方ならそういうと思ったわ、では、リスクについて説明するわね
まず大きな問題が一つ、もし仮に証拠を無事に掴んで王様に報告したとしても元より王様の指示あるいは了解のもとこの騒動が起こっていた場合ゼス達は助けられないどころか携わった人達全員犯罪者になるでしょう
他には基地に侵入したものの、ゼス達みたいに捕まってしまうパターンこれも最悪ね
ゼスはともかくユアラは一時の感情で基地に侵入なんてするタイプではないし、同じようにひとさらいの証拠をつかもうとした、いいえ、掴んだ可能性もあるわ」
「それが機密事項かもしれないね」
確かにユアラは妹といってもしっかりゼスに意見するし、ゼスも気まぐれだけどいつだって冷静だ
「そして、ゼス達は私達よりこういうことには慣れているのよ、仕事でね」
そういえば前にゼスが近くに陣取り始めた盗賊団のアジトに自警団の何人かで侵入して壊滅させたって話してたな
「それでも、俺は行くよ、ネシス達は危ないから手を引けばいい」
そうだ、危ない目にあうなは俺だけでいい
いざとなりゃ、犯罪者にでもなんにでも……
「僕も行くよ」
俺の肩に手を置いたアレスがにっこりと微笑む
「なにか勝算があって?」
俺だけなら馬鹿だのアホだの言われていただろうがアレスが味方になってくれたのは心強い
「聞き込みをしてた時に噂を聞いてね、なんでも【ウロボロス】がイール港に現れて駐屯兵を壊滅させ、占拠したらしい」
ウロボロス……どっかで聞いたような?
「なんですって?イール港は王国にいくための重要拠点で兵士の数もそこら辺の市町村とは比べ物にならないのに……」
「それだけ能力者が力をもっているってことだよね、そこでおそらくここの基地の兵士もイール港に援軍に行ったはずなんだよ、これは僕の目で確かめてる
この基地の規模からいって半分以上が援軍に行ったはずだよ」
アレス基地とイール港を人差し指でつなぎながら説明する
なるほど、ということは今は基地の中はゼス達が捕まった時の半分以下、つまりはチャンスってわけだ
「それに王様がひとさらいを命じてるってのは僕も思えないんだよ、この基地ができたのはだいたい6年前、その時から僕は疑問だったんだ」
疑問?
「僕たちの街には自警団がいるから警護の必要性は他の所に比べて薄いし、街にも兵士の駐屯地がある、立地的にも他の国とは面してないから、戦場になる確率は少ないし、研究所かなんかなら王国に近い方がなにかと便利だろうからね、何かしら理由があってここに作ったんじゃないかと思う」
「それが、王様にばれないように悪事を働くため、と」
もし、それが本当ならここのボスだけは許しては置けないと思う反面、アレス達は普段色々な事に注視して考えて生きているのかと感心してしまう
「わかったわ、私も行くわ」
しばらく考え込んでいたネシスが思わぬ答えを出した
「私も行くって危険なんだぞ?」
「何度も言わせないで、世界一の剣士とは女性一人守れないものなの?」
それを言われると反論しづらい
「まだライは世界一なんてほど遠いし、やっぱり危険だよ、僕も剣は扱えるけどやっぱし、訓練を受けてる兵士相手に守り抜く自身はないかな」
悔しいが確かに俺はまだまだ半人前なのだろう、事実【仮面の騎士】には負けてるし、奴がここの兵士の可能性もゼロではない
「私なら大丈夫だわ、いざとなれば【結界術】で自分の身くらい守れるわ」
そういったネシスの眼は強い意志が感じられ懐から数枚の札を取り出した
ネシスは色んな分野を学校で学んでいるが、【結界術】は学園長の専門分野、つまりはネシスの育ての親が教えている
「それなら、安心かな」
アレスはネシスの眼を見て諦めたみたいだ
学園長はここらの街道を全てに結界をはった張本人であり、世界有数の結界術士でもある
そんな人から教わっているのだし、なんせネシスだ、負け戦はしないだろう
「じゃあ、早速いくぞ!」
「待って!兵の数が少ないとはいえ昨日の今日よ、策もなしに行けば侵入すらできないわ」
意気揚々と基地へ向かおうとした俺をネシスが引き留める
「私に考えがあるの」
「そんな!無茶だよ!それにこの作戦君が一番ハイリスクじゃないか!」
ネシスの作戦を聞いて開口一番アレスがもう反対をした
「リスクをとらないでリターンを得られると思わないことね」
「他の方法はないのか?」
ネシスの作戦は基地の入り口て見張っている兵士を誘き寄せ俺とアレスで縛り上げ制服を俺たちが着て変装する
問題は誘き寄せる方法なのだが
「ユウに協力してもらいましょう、小さな子供を欲しがっているみたいだし、女装でもさせて後ろ姿しか見せなかったら身元は特定されないわ」
平然な顔をして恐ろしいことをいうやつだ
「貴方達がなりすましたら、私を捕まえたという名目で基地に入りましょう、後は出たとこ勝負だけど」
ここでアレスが反対したのだ
「おそらく先程の兵士みたいに二人一組で行動していてよ、それに女の私が着たら不格好ではなくて?仮に三着分手に入っても見張りが三人、なんの意味もなく基地に戻るのは不自然というものよ」
どうやらネシスは折れる気はないらしい
といっても俺も代案が浮かぶわけでもなく
「早くしないとこの期を逃してしまうわ、【ウロボロス】が侵略してきた今しかチャンスは無くてよ」
そうだ、時間がない
【ウロボロス】を、倒すなり、徹底するなりで兵士が戻ってきてしまったらそれこそ、リスクが高まる
「……わかったよ、ユウに頼んでみる」
アレスは納得がいかないといった顔でユウを迎えに行った
「ユウの奴引き受けてくれるかなー?かなり危険だぜ?」
「それはアレス次第でしょ、それにユウはゼスにもなついていたわ」
確かに、ユウは人懐っこい奴で俺やゼスなんかも可愛がっていた
「それより、ユウに協力してもらうことには反対してなかったな、あいつ」
ゼスならユアラを囮のようにつかうって聞いたら鬼のような形相になるに違いない
「それは貴方を信じているのよ」
サラッと答えられて少し動揺してしまう
「自分の剣の腕も貴方の剣の腕も、ユウが上手くやることも」
ネシスは少し寂しそうにうつむく
「いや、アレスはネシスの作戦だから上手くいくって最終的に判断したんだ、俺だってネシスは負け戦には乗らないと思ってる」
ネシスはたまにこういう表情をする
自分は本当の両親から捨てられたと思っている
その事が心のどこかで自分の存在を否定している、そんな感じだ
「貴方の慰めなんてなんの心にもひびかないわね」
良かった、普段のネシスだ
ちょいとムカつくけどあんな顔されるよりよっぽどましだ
「お待たせー♪」
そう言いながら俺の背に子供が飛び付く
「よお!ユウ、悪かったな」
へへへ、と笑いながらユウは女装した姿をクルリと一周してみせた
「似合うでしょ?」
満面の笑みで見上げるユウにアレスはあきれ顔で注意する
「ユウ、遊びじゃないんだからね」
「とても、似合ってるわ」
「お前実は女なんじゃねぇの?」
皆が皆思い思いの感想を口にだして作戦は開始する